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2章

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「あなたが、この世界に来れた理由は聖女としての適性があるからです。早く準備してください」
「それでもこんな突然知らない場所に私の同意なしに連れてこられて、納得しろと?衣食住の確保はしてくれるんですよね?お給料は発生するんですか?休日は?」
「何を言ってるんです。聖女は、神の道具であり、国民の道具。給料なんて、とんでもない。神の意志を叶えることこそが、報酬です」
「まさか…休日もお給料もないの!?ありえない!そんなの誰がしたいと思うのよ。だから、聖女いなくなったんじゃないんですか?ほかの国もそうなんですか?だとしたら、一人に対する負担が大きすぎます。ありえない。無理です」

労働環境やばすぎでしょ。
奉仕活動じゃん。なんでこんな知らない国のために私が働かされなきゃいけないんだ!
むくむくと怒りがわいてくる。人を馬鹿にしすぎているにも程がある。

「しかし、先代の聖女たちだって皆、そうしていた。あなたもそうすべきだ」
「それは、この国の住民だったからなんでしょう?もしくは、イヤだったとしても、断れないようにしたんじゃないんですか?私は、絶対に嫌です。ごめんです。元の世界に返してください。それで、私じゃないほかの聖女様をどうぞ呼んでください」
「それが出来たら、とっくにしている!」

話が平行線すぎて、お互いにイライラして、怒鳴りあっている光景は周りから見たら、どう見えるんだろうか。普段の私は、こんなにも男性に対して強く言うことは出来ない。どうしても怯えが先に立って、大人しくしているのに、この時はすらすらと反論出来た。

「なら、この国を出ていけっ!」
「ええ。そうさせてもらいます!」
「お前なんて魔物に食われてしまえばいい!」
「……」

魔物?
ここには、虎やライオンに匹敵するような強い肉食動物が存在するのだろうか。
おまけにこの世界の知識もないのに、この国を出ていくのは明らかな自殺行為だ。
私のひるんだ、おびえた顔に、神官たちがどや顔で、「怖いだろう?なら、私たちの命令が聞けるな?」などと、脅してくる。
本当にこいつら、神のしもべか?
歴代の聖女たちは、こうやって脅されてきたのだろう。俺たちの命令に背けば、いつだって追い出して、殺すことが出来るのだぞ、と。
何が神の意志を叶えることこそが報酬だ。完全にお前らの意志じゃないか!
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