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1章
7.5
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「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
あの時の聖女の顔が、忘れられない。
この世界には、珍しい茶色の瞳が、雄弁に語っていた。
「あなたたちが、私抜きでやっていけるの?」
私達は、「選ばれし勇者」なんだ。
お前とは違う。と私たちはずっと叫びたかったんだ。
どれだけ自分の力に傲慢なんだ。
私のおかげで、貴方たちは助かっているんだから、といつも言いたげな顔をしているのも、パーティーのリーダー気取りでいるのも、うんざりだった。
選ばれし者は、私たちのほうだ。なぜ、それが貴方に分からないのだ。
◇
「帰ってこないな」
「構わん。あの女が帰ってきて、ごちゃごちゃ言われても困る」
「その通りよね~。あー、やっと解放されるのね」
どうせ、いつも通り酒場でグダグダしているのだろう。
聖女のくせして、酒が好きで、酒場狂いをしている聖女など、あの人以外いないだろう。
他の国の聖女は、きっともっとおしとやかで、美しいはずだ。
お姫様みたいに、煌びやかなんだろう。
…私たちは見たことがないが。
少なくとも、私たちの国の聖女のように旅をしている聖女など、聞いたことがない。
聖女というのは、国の重要機密であり、トップシークレットであり、王族と同じくらい権力を持つ人間だからだ。
だから、基本的に他国の聖女というのは、顔が分からない。
小汚い恰好をして、薄汚い顔と髪をした異国の女が聖女など、だれも思わないだろうから、正体がばれるようなことはないだろうが。
「あー。財布あの女が持ってる!」
「私達だって、多少は持っているから、いいだろう」
「うー、でも、せっかくオークを殺したのに、あのオバサンに全部使われるなんてもったいない!」
「それもそうだが…まぁ、いざとなったら国に頼めば、お金をくれるさ。なんて言ったって俺達は、勇者パーティーで、魔王を倒すという崇高な使命を受けて旅をしているのだからな!」
「そしたら、もっといい宿にしようよ!私、こんな薄汚い宿、いっつも嫌だったの!」
「そうだな。あの女が、金は酒にすべて使うから、俺達はずっと、こんなみじめなところで、寝泊まりしなくちゃいけなかったんだからな」
「あー!そう思うと、むかつく!!!あの女にファイヤーボール食らわして、皮膚を爛れさせてやりたい!そしたら、あのブサイクな顔がもっとブサイクになるわ!…今からやってやろうかしら」
「おい、やめておけ。一応、あれでも聖女だ。女神の加護を持った人間に害をなせば、女神の報復があると聞く」
「ふん!本当かしらね」
聖女は、女神に愛された人間だ。
だから、聖女を害せば、女神の怒りが飛んでくる…そうだが、本当かどうかは分からない。
あの人と一緒にいればいるほど、本当にこの人は聖女なんだろうかという疑いばかりが強くなるからだ。
「え?なんて?」
あの時の聖女の顔が、忘れられない。
この世界には、珍しい茶色の瞳が、雄弁に語っていた。
「あなたたちが、私抜きでやっていけるの?」
私達は、「選ばれし勇者」なんだ。
お前とは違う。と私たちはずっと叫びたかったんだ。
どれだけ自分の力に傲慢なんだ。
私のおかげで、貴方たちは助かっているんだから、といつも言いたげな顔をしているのも、パーティーのリーダー気取りでいるのも、うんざりだった。
選ばれし者は、私たちのほうだ。なぜ、それが貴方に分からないのだ。
◇
「帰ってこないな」
「構わん。あの女が帰ってきて、ごちゃごちゃ言われても困る」
「その通りよね~。あー、やっと解放されるのね」
どうせ、いつも通り酒場でグダグダしているのだろう。
聖女のくせして、酒が好きで、酒場狂いをしている聖女など、あの人以外いないだろう。
他の国の聖女は、きっともっとおしとやかで、美しいはずだ。
お姫様みたいに、煌びやかなんだろう。
…私たちは見たことがないが。
少なくとも、私たちの国の聖女のように旅をしている聖女など、聞いたことがない。
聖女というのは、国の重要機密であり、トップシークレットであり、王族と同じくらい権力を持つ人間だからだ。
だから、基本的に他国の聖女というのは、顔が分からない。
小汚い恰好をして、薄汚い顔と髪をした異国の女が聖女など、だれも思わないだろうから、正体がばれるようなことはないだろうが。
「あー。財布あの女が持ってる!」
「私達だって、多少は持っているから、いいだろう」
「うー、でも、せっかくオークを殺したのに、あのオバサンに全部使われるなんてもったいない!」
「それもそうだが…まぁ、いざとなったら国に頼めば、お金をくれるさ。なんて言ったって俺達は、勇者パーティーで、魔王を倒すという崇高な使命を受けて旅をしているのだからな!」
「そしたら、もっといい宿にしようよ!私、こんな薄汚い宿、いっつも嫌だったの!」
「そうだな。あの女が、金は酒にすべて使うから、俺達はずっと、こんなみじめなところで、寝泊まりしなくちゃいけなかったんだからな」
「あー!そう思うと、むかつく!!!あの女にファイヤーボール食らわして、皮膚を爛れさせてやりたい!そしたら、あのブサイクな顔がもっとブサイクになるわ!…今からやってやろうかしら」
「おい、やめておけ。一応、あれでも聖女だ。女神の加護を持った人間に害をなせば、女神の報復があると聞く」
「ふん!本当かしらね」
聖女は、女神に愛された人間だ。
だから、聖女を害せば、女神の怒りが飛んでくる…そうだが、本当かどうかは分からない。
あの人と一緒にいればいるほど、本当にこの人は聖女なんだろうかという疑いばかりが強くなるからだ。
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