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1章

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「お客さん。起きてください。もうお店閉めますから」

店員の声が私を呼び覚ました。肩をゆすられ、半分寝た状態で、私は起き上がった。いつの間にか、酒に溺れて机につっぷして眠ってしまっていたらしい。
頭の中はぐるぐると回り、胃の中はくらくらとした感覚があった。
酔いがまだ残る私を見て、周りを見渡すと、同じように酔いつぶれた冒険者たちが机につっぷして眠っていた。ある者は、床に転がっていびきをかいていた。

「今...何時ですか?」と、私は店員に尋ねた。彼女は時計を見上げ、微笑んで答えた。

「朝の4時ですよ。これから仕込みがあるんです。帰ってください」

私はポケットの中の財布を探った。お勘定と迷惑料として多めのチップを渡すと、店員はあからさまに喜んだ。嬉しさのあまり、耐えきれずにっこりと笑っている。
―若いっていいな…。
店員の若さとたくましさに感心しながら、私は酒場を出た。
外は、朝の清々しい風が吹いていた。私は深呼吸をして、宿に向かうために歩き出した。
ひんやりとした空気で頭が少しすっきりした気がする。
それでも宿に向かって歩いていると、少しうんざりした気持ちが残っているのを感じた。
パーティーメンバーの離脱。
いや。この場合は、私が追い出されたというべきか。
これからどうしたら…魔王を倒す?私一人で?国にはなんて報告したらいいのか…それよりあの王子様をどうするべきか…。
悶々と考えていると、いつのまにか宿についていて、私はそのままベッドに倒れこむと、眠ってしまった。

目覚めた瞬間に頭痛と吐き気に襲われた。まだ酔いが残っているのだろう。布団から身を起こし、窓を開けて外を見ると、明るい朝日が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえた。冷たい風が頬に心地よく当たる。しかし、その明るさに耐えられず、私は目を閉じ、布団に潜り込んだ。

宿の部屋は静かだった。誰もいないようだ。彼らはすでに次の旅に出発したのだろう。どうせ、ここの宿代も私に押し付けているに違いない。
そういえば、彼らが私に何かおごったことなんて一回もなかったな、と思った。
国からの援助金があるのだから、払う必要も考えもなかったのかもしれない。
しかし、これからはそうもいかない。
私を追い出したことで、国からの補助金はなくなることだろう。
私には、もうどうでもいいことだが。

「う~。頭がぐわんぐわんする…」

久しぶりに酒を飲み過ぎた。反省。しかたない。大人には、飲まなきゃやっていられないことが多すぎなんだ。それでも、昨晩は、ついつい飲みすぎてしまったかもしれないが。今、その代償を支払わされているわけなんだが。

「もう二度と、こんなことはしない」と、心に決めた。しかし、吐き気が収まるまでにはまだ時間がかかりそうだ。私は、布団に横たわって、小鳥のさえずりを聞きながら、二度寝か三度寝を決め込んだ。
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