5 / 24
本編
歪む、きっかけ。
しおりを挟む
「おまえ、ガイジンだろ!」
その一言が『はじまり』だった。
小学校に上がりたてのとき、クラスで一際声が大きないじめっ子の、あげつらうような言葉。
「……え」
僕はどうしていいかわからず、固まってしまった。
「それ、言うのはよくないってママから聞いたぁ!」
「やつしろくんがかっこいいから、うらやましいんでしょ!」
入学当日から僕を取りかこんで離さない女の子たち(今となっては僕の、所謂『初信者』さんだったのかなぁ、って思う)が噛みつくように反論を始める。
「ぼく、ちゃんとにほんじんだよ……」
ざわざわするような困惑が胸に広がりつつも、なんとかそれだけ言うと、既に女の子たちの『口撃』でだいぶ参っていたらしいそのいじめっ子は、泣き叫ぶように喚いた。
「うそだ! おまえ、他とちがう!! そういうの、『ふさわしくない』って言うんだ!!」
「ふさわしく、ない……??」
どういう意味の言葉だろう。そのときはよくわからなかったけれど、知るべきかと思った僕は、いろいろ調べてみる。
『釣り合っていない』、『不適合』、『似つかわしくない』……様々な意味からまた連なるように追いかけて。
それを、これまでの経験と照らし合わせる。
そして出た、ひとつの結論。
己の存在が『場違い』で、『異質』なのだ、ということ。
僕は、『ここにいるべきではない生きもの』……。
幼い僕には、あまりに大きな衝撃だった。
その一言が『はじまり』だった。
小学校に上がりたてのとき、クラスで一際声が大きないじめっ子の、あげつらうような言葉。
「……え」
僕はどうしていいかわからず、固まってしまった。
「それ、言うのはよくないってママから聞いたぁ!」
「やつしろくんがかっこいいから、うらやましいんでしょ!」
入学当日から僕を取りかこんで離さない女の子たち(今となっては僕の、所謂『初信者』さんだったのかなぁ、って思う)が噛みつくように反論を始める。
「ぼく、ちゃんとにほんじんだよ……」
ざわざわするような困惑が胸に広がりつつも、なんとかそれだけ言うと、既に女の子たちの『口撃』でだいぶ参っていたらしいそのいじめっ子は、泣き叫ぶように喚いた。
「うそだ! おまえ、他とちがう!! そういうの、『ふさわしくない』って言うんだ!!」
「ふさわしく、ない……??」
どういう意味の言葉だろう。そのときはよくわからなかったけれど、知るべきかと思った僕は、いろいろ調べてみる。
『釣り合っていない』、『不適合』、『似つかわしくない』……様々な意味からまた連なるように追いかけて。
それを、これまでの経験と照らし合わせる。
そして出た、ひとつの結論。
己の存在が『場違い』で、『異質』なのだ、ということ。
僕は、『ここにいるべきではない生きもの』……。
幼い僕には、あまりに大きな衝撃だった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
伊藤さんと善鬼ちゃん~最強の黒少女は何故弟子を取ったのか~
寛村シイ夫
キャラ文芸
実在の剣豪・伊藤一刀斎と弟子の小野善鬼、神子上典膳をモチーフにしたラノベ風小説。
最強の一人と称される黒ずくめの少女・伊藤さんと、その弟子で野生児のような天才拳士・善鬼ちゃん。
テーマは二人の師弟愛と、強さというものの価値観。
お互いがお互いの強さを認め合うからこその愛情と、心のすれ違い。
現実の日本から分岐した異世界日ノ本。剣術ではない拳術を至上の存在とした世界を舞台に、ハードな拳術バトル。そんなシリアスな世界を、コミカルな日常でお送りします。
【普通の文庫本小説1冊分の長さです】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる