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11話

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木ノ実さんには彼氏がいない。

他の人は知らないし。

直接頼むほかないですね。

とにかく男子に教えてもらいましょう。

クラスの中を見渡し探していると、窓際で一人、うつ伏せになって寝ている男子がいた。

あの男子に聞いてみよう。

「 あの  すみません  起きてください 」

近くに行き、寝ている彼を起こそうとすると、誰かに肩を叩かれた。 

 トントン     

「 あなた、彼の知り合い? 」

「 いいえ、知りませんが? 」

「 忠告しておくけど、彼には絡まないほうがいいと思うよ 」

「 なぜでしょう? 」

「 寝起きの彼マジやばいよ、メチャ不機嫌だから、それにこいつ不良だから 」

「 ふりょう?でも、私には時間がないのでこのまま進めます 」

「 あ、そ、どうなってもしらないよ 」

忠告を押し切って彼を再度起こすことにした。

「 私、魔子と言います。起きてください! お話があります 」

声をかけても、一向に起きる気配の無い不良の人。

そうか、よく見たらこっちは頭、聞こえるわけないですね、反対側へ行って呼べば起きてくれるでしょうか。

「 すみません  起きてください! 」

熟睡しているようですねぇ。

「 すみません!起きてください! 」

この人、まったく起きない、かわりに今の声でクラスメイト達は騒ぎ始め、視線が私に集中してしまった。

ガヤガヤガヤと、噂が交じったみんなの声が聞こえてくる。

〈 マジうぜえなこいつ…ひとが寝てんのに、誰だよ!ったく! 〉

?  え  ?

今、確かにはっきりと聞こえた!…

ひとが寝てんのにって…

誰ですか?

クラス中見渡してもそれらしい人はいない。

寝ているのは私が声をかけていたこの人だけ。

けれど、この人は寝ている。

でも声が聞こえた。しかも、はっきりと。


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