それでも彼は幸せという

１２話 新しい生活

　「ねえ、おじいちゃんはどこなの？」 

 

　私はいつも修一の会いたくて仕方がなかった。 

　会ってご飯食べて、近くの公園で遊んでくれた。 

　そのくらい、私は嬉しかった。 

　そんな、私の一言で彼の人生を変えた。 

　 

　いつものように休みの日は、修一と一緒に朝食を食べに行った。 

　休みの度に修一と会っていたため、私は親に言った。 

 

　「おじいちゃんは休みの日に会ってくれる。お仕事の帰りにも来てくれるのに、なんで一緒にいないの？おじいちゃんと一緒に暮らそうよ！」 

 

　私は親に言った。 

　親からすれば無茶なことだとわかっている。 

　無茶だと思っていても、私は何度も何度も親に言ったそうだ。 

　それに折れた親は、修一とサヤ子が住める部屋を用意してくれた。 

　私は修一と一緒に住めることに大喜びした。 

　修一も嬉しかったに違いない。 

 

　修一とサヤ子は、優子の家に引っ越しするために荷造りをした。 

　すぐに引っ越すことはできない。 

　でも、少しずつ、少しずつ、一緒に暮らせれる時が近づいている。 

　その間も休みの日は、修一と会って休日を楽しんだ。 

 

　荷造りが終わった修一とサヤ子は、修一の休日の時間を使って、優子の家へ引っ越すことになった。 

　修一とサヤ子の部屋は和室が空いているため、二人は終始その部屋で過ごすことになった。 

　一緒に暮らすことになった今、修一たちの暮らしはガラッと変わった。 

　平日の過ごし方が大きく変わった。　 

　修一とサヤ子が優子の家に行った後、サヤ子は私の面倒を見てくれた。修一はそのまま仕事へ向かった。 

　修一が帰ってきた後、サヤ子は私の面倒を見終わった後、二人は修一の家に帰る。これが日常化していた。今ではそれが無くなったのだ。 

　サヤ子は私の面倒を見続けてくれた。優子の代わりに。 

　だから、優子が帰ってきても修一の家に帰ることはなくなり、優子が家事をしている時でも面倒を見てくれる。 

　修一も大好きな私をずっと見られることに、幸せを感じていると思う。 

　そこが大きく変わった暮らしだろう。 

 

　私の面倒をみてくれるサヤ子だが、同時に弟の大樹も面倒を見ていた。 

　サヤ子は子育ての経験を最大限に生かし、私と大樹を同時に面倒を見ていた。 

　私は良く暴れん坊で活発な子だったため、手を焼いていたに違いない。 

　それでも、器用に子育てをしていたと思うと、すごいことなんだと感じた。 

 

　修一とサヤ子が同居することにより、一つ大きな問題も起きた。 

　それは、サヤ子と辰との関係性だ。 

　仕事がなかった辰の一件で、サヤ子と辰との間には亀裂が入った。 

　亀裂というには大きすぎて、亀裂というより絶縁に近い関係になっていた。 

　そんな仲でも辰は、修一とサヤ子の同居を認めてくれた。 

　辰の中では申し訳ない気持ちも少しはあったと思う。それは、辰本人にしかわからない。実際、サヤ子に対してどう思っていたかなど。 

　 

　一方、サヤ子はその件以降、ずっと冷たい目を向けて暮らしていった。 

　私が物心をついた時には、はっきりと見てわかるくらいに。 

　すれ違いが起きれば、舌打ち、避けて通る、冷たい目。もっと酷い表現をするなら、人以下のように見ているそんな感じ尾だった。 

　会話はほぼしないに等しいくらい、その暮らしは未来までずっと。 

　 

　修一とサヤ子の暮らしは、色々な意味で大きく変わったのだ。 

　私がその暮らしの関係性を見てわかるには、物心がつく頃。 

 

　良いこともあれば、悪いこともあり、優子の家には、修一とサヤ子が加わり合計六人で暮らすことになった。 

その後、なんだかんだで、きみ子も加わり七人になった。 

大樹が少し大きくなってから、この七人で旅行に行くことになった。