なんと言おうと君が好き

翼姫

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恐怖の妨害

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「真琴から離れてくれないか」
店に入ったらすぐにそういうつもりだったのだが、

「あれ?真琴は?」

肝心の真琴は神原を残して消えていた。

「先輩方が消えてすぐに私を突き飛ばして出ていきましたよ。」

ボソッと神原が言う。

(そうか…追いかけてくれてたんだ。俺が気づかなかっただけか、そっか…)

「そうか。教えてくれてありがとう。それじゃ」
「待ってください。ちょっと話したいことがあるので来てくれませんか。」
「えっ?」
「後輩の相談事です。短い話ですからお願いしますよ。」


そう言われ店をまた出ることになった。

















「この店に入りましょう」

神原は、誰も気づかないような路地裏のカフェ?に俺を連れてくるとそういった。

「ここってどんな店なんだよ。明らかにあいてなさそうだけど…」

「大丈夫です。知り合いの店なので聞かれたくない相談事には持ってこいの場所です。」

「……そう。わかった」

俺はこの時、この女を信じすぎていた。
なぜこの女(神原)が今日、俺と真琴があのカフェでデートしようとしてたそとを知っていたかのように現れたのか。怪しいと思った時点で後輩であろうと着いてくるなんて選択を取らなければ良かったのだ。多少は予測できたはずなのに。
そうすれば、俺は……。








ガチャッ
チリンッ

客が扉を開けた合図のベルが鳴る。
扉は神原の言う通り開いていた。知り合いの店と言うのは間違いないのだと思う。
しかし、その知り合いと思われる店主はおらず、電気もついていない。

「なぁ、ほんとに入っていいのか?」
「大丈夫です。とりあえず中に入ってください。」
何故か神原は自分が先に入ればいいものを俺を先に行かせた。
疑いの欠片すら持っていなかった俺は、素直に入ってしまった。

ガチャッ カチッ

(え?今鍵を閉めたのか?!)

「おい!」

振り返ると神原は扉の外で、その扉に神原の影がうつっていた。

「どういうことだ!神原!」

「どうもこうも、簡単な事じゃないですか?」

扉の向こうで神原が笑っているのがわかった。

「何がおかしいんだよ!何がしたいんだおまえ!」

「何って、復讐ですよ。。あなたが悪いんですよ翔先輩。あなたが男のくせにまこちゃんをたぶらかして、私からまこちゃんを奪った。あなたにはまこちゃんのお兄さんだっているじゃない。ほんとむかつく。」

「たぶらかすって……。とにかくこっから出せよ!話がそれだけなら俺は早く真琴の所に行かなきゃいけないんだ!」

「まだご自分の立場がわかってないようですね。もういいですよ。あとは任せましたよ、さん」

(え?)

すると後ろからさっきまで誰もいなかったはずなのに口に布をあてられ、俺は扉にうつっていた神原の影が消えていくのを薄れていく意識の中で見ているしかなかった。

背後で「可哀想に」と布を口に押し付けてきた陽介と呼ばれていたやつが呟くように言ったのを聞いたのを最後に、俺の意識は途切れてしまった。

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