勇者田中は今日も行く

翼姫

文字の大きさ
上 下
2 / 2

出発 2

しおりを挟む
村を出て数時間がたち、その間異常な程にスライムと戦った。
スライムと戦っただけでもうすでにLv10はいったなとおもう。
なんでこうスライムとばかり出くわすのだろう。まぁ強い敵に出くわすよりはマシか。
っと思いつつ20キロほど先にあるコポルという街を僕は目指して歩いていた。
仲間ができないかななんて希望を抱きつつ一歩一歩足を進めていたのだ。
 



迫り来る脅威にも気づかずに。















そんなこんなでコポル到着。
「ここがコポルかぁ。もう暮れてきたしどっか宿でも探すかな。」
独り言を言いながらスライムから手に入れた金で宿に泊まることにした。
「いらっしゃい!見かけない顔だね、どっからきたんだい坊や。」
「20キロ離れたコルル村です。あと僕坊やじゃないです。これでも21なので。」
「え……」

はい出ました「嘘でしょ」と言わんばかりの驚き顔。ですよねぇーそうゆう顔になりますよねぇー。平凡で童顔な顔なばっかりにこうゆう反応めっちゃされますよ。

「あの、それよりここに泊まりたいんですけど代金いくらですか?」
「あ、あぁ。35ユーロンだよ」
「安いですね、それじゃ一部屋お願いします。」
「え?一部屋なのかい?その後ろのことは一緒の部屋に泊まんのかい?あ、妹さん?」
(ん?後ろ……?)

振り向くとしっかりと僕の服の裾を掴んでいる。身長は僕よりだいぶ低く152cmぐらいだろうか。服装からして魔法使いっぽいのだが……
「え?だれ?」
「私……お金ない……だから一緒に泊まらせて……お願い…。」
うるうると目を潤ませて今にも泣きそうな顔に胸を突かれる。しかし見ず知らずの子供…?を同じ部屋に泊まらせる訳にも行かない。かといって放っておくのも人として、勇者としてだめだ。
「すみません…この子の分もお願いします…」
「あいよ!まいど~。2階の奥の部屋だよ、ゆっくりして行きな!夕飯は後で運ぶよ」

この時僕は知りもしなかった。
このちびっ子が自分の運命を左右することになるだなんて。












































自室(宿内)にて。
「で、だ。きみいつから俺の後ろに?」
「あなたがこの宿に入る時。」
(気づかなかった……)
「きみ名前は?何歳なの?ご両親は?」
「あなた私の事子供だと思ってるわね。」
「はい?」
「私の名前はマロン・カルナーデ。ゆっておきますが私こう見えて22です。小さいからと子供扱いしないで頂きたい。ちなみに両親は殺され、その復讐のため旅に出たの。」
(疑問が多すぎて何も言えない……つか僕より歳上!?全っっっぜん見えない。)

「そ、そうですか…。えと、カルナーデ、さん。僕はコルル村から来た田中悠介と言います。一応勇者として旅を始めたところです。お金はきちんと払いますのでどうぞごゆっくりしてってください、話はだいたい分かったので自分の部屋へどうぞ」
めんどくさいことは勘弁だと思いチャチャッと話を終わらそうとしたその時。

「まてぇい!!もう少し話を聞くのだ!いや聞いてくれ!そして私を助けてくれ!」
(えぇ……)
強引に頼まれ結局話を聞くことに。

「えぇと、つまり両親の復讐を手伝ってくれ。でいいんですよね。」

「そのとおとりだ!」
「それはまぁいいんですけど、さっきも言った通り僕は旅を始めたばかり。まぁ見ての通りまだ弱いですから、役には立たないですよ。」

「そんなの見て分かる!でも私1人じゃダメなんだ。私はこの見た目のせいで、どこの店にも入れてもらえず宿もとれず、お酒だって飲めない。だからもう1人大人がいるの!こうでもしないと今日だって追い返されていたもの。」

「なら僕じゃなくても…」
「あなたじゃなきゃだめ!あなた勇者って言ったじゃない?勇者だと色々と優遇されるし。」

「なるほど……まぁ事情知っちゃいましたし、一応勇者ですし。分かりました。これから復讐が終わるまで付き合います。等価交換として、僕が死にそうになった時は力貸してくださいね。見たところ僕よりは断然強そうですし、装備品からしても。」

「あら、よくお分かりね。私これでも魔女なの。しかも一族の中ではトップのね。だから私の両親を殺した奴らを、獣族を根絶やしにしてやるんだから…。」

こうして物騒な魔女との旅が始まった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

業腹

ごろごろみかん。
恋愛
夫に蔑ろにされていた妻、テレスティアはある日夜会で突然の爆発事故に巻き込まれる。唯一頼れるはずの夫はそんな時でさえテレスティアを置いて、自分の大切な主君の元に向かってしまった。 置いていかれたテレスティアはそのまま階段から落ちてしまい、頭をうってしまう。テレスティアはそのまま意識を失いーーー 気がつくと自室のベッドの上だった。 先程のことは夢ではない。実際あったことだと感じたテレスティアはそうそうに夫への見切りをつけた

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

処理中です...