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第1章
人間の僕の中身
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「そんで、お前はどうしたい? アカメ」
「どうとは? ヒッキー」
「ヒッキーいうな! オレは羽生飛鳥(はぶあすか)だ!!」
「すんません。なんか僕からしたら、毎日世話してきたガマガエルにしか見えないもんで!」
「まぁ別にいいけどよ、ヒッキーでも。なんかそんな愛称の芸能人がいたような気がするしよ」
「ああ、ブリーフを何十枚も重ね着する人ですね?」
「その芸人ちがうわ! 歌手だ、歌手!」
「へぇ。カエル歴21年にしては、芸人のことなんてよく知ってますね?」
「まぁな。お前の部屋で飼われている間も一緒にテレビを観てたしな。野良ガエルしていたときだって、たまに近所の家の軒先からテレビを覗き見してたもんだぜ」
「野良ガエルってあんた。基本的にカエルは野良でしょうに。ってか覗きって……そんなこともしてたんですか?」
「……してたが、なにか?」
「まさか、犯罪に手を染めたりしていないでしょうね?」
「カエルに人間の法律は関係ないのだぜ?」
「うわっ! この人最悪だ!!」
「いやいや、早とちりしてはいかんよ君。たしかにオレは誉められないこともしてきたかもしれねぇが、それは命がけでやっていたことなんだぜ」
「命がけっスか?」
「考えてもみたまえよ君。ガマガエルの見た目に嫌悪感を抱く人もいるんじゃないかね? というかそう思う人の方が多いだろうな」
「まぁ……そうですね。僕はガマガエル大好きですけど」
「///照れるぜ、おい。 例えばの話だぜ? オレが覗きをしていたとしてだ、それを人間に発見されたとしよう」
「まぁ最悪、駆除されるかもしれませんね」
「だろうが。つまりオレはいつだって、命がけで覗きをしていたわけだ」
「だったら何だっつーんですか?」
「いやほら、なんか<<ミッションへの挑戦>>みたいな感じがしてこねぇか?」
「んー。分からなくもないような気もしますけどね」
「だろうがよ」
まぁ、確かにカエルに変身しちゃった時点で、色々と免罪符を与えても良いような気もするし、これ以上追求するのはやめておこう。
「話が逸れまくったな。で、お前はどうしたい? アカメ」
「どうとは? ヒッキー」
「ヒッキーいうな! オレは羽生飛鳥(はぶあすか)だ!! って何回やんねん、この流れ」
「いや、やらなくちゃいけない義務感を感じたんですよ」
「分かるぜ。でも話が進まねぇ……」
「すんません。羽生さん」
「飛鳥の方がいいな」
「えー……全然アスカって感じじゃないんですけど」
「ガマガエルだしな! でもアスカと呼べい」
「はぁ、分かりました。アスカさん」
「うむ。そんでお前はどうしたいんだよ?」
「どうとは?」
「だーかーらーーーー。今後の話だよ。この水槽の中で飼われていたいか、外に出てみるかって話しだよぉ!」
んー。この人なんだか、からかいがいがあるんだよねぇ。
でも確かに話が進まないか。
僕としてはどうしたって、人間に戻りたい。
水槽の中で、カエルとして生きるなんてゴメンだ
「やっぱ外に出たいっスね。人間に戻るために!」
「そうか。オレは別に止めねぇけどよ。結構しんどいぜ?」
「一緒に来てはくれないんスか?」
「んー。別にいいけどな。オレもそろそろ水槽の生活に飽きていたところだったし」
「結構面倒見がいいんですね。飛鳥さんって」
「///」
可愛いな、このオッサン
「でも、どうやって出るんですか?」
「え? 普通にジャンプして?」
「いや、でも、天井は硝子板で覆われていますよ」
「ああ、それなら大丈夫だぜ。そこに寝ている<<お前>>が、オレたちに餌をやるときに天井を外すはずだ」
「え? あ、そうか。<<カエルと僕が入れ替わったわけじゃない>>って飛鳥さん言ってましたもんね。ってことは、僕の中身は一体何が入っているんですか?」
「そりゃ、内臓じゃねぇの?」
「じゃーなーくーてーーー!!!」
くそっ!
先程のお返しをされてしまったようだ
「へへん! オレも詳しくは知らねぇんだけどな。少なくともカエルの人格が入っているわけじゃぁねぇ」
「どうしてそんなことが分かるんです?」
「見たからな」
「何をです?」
「何ってオレを」
「人間の飛鳥さんを?」
「そうだ。いやな、オレは変身した後、ずっとその周辺で生活してたわけよ」
「僕が飛鳥さんを捕まえた茨城県の河原っスよね」
「そうそう。だからオレは、人間時代のオレの生活圏でカエル人生を送っていたわけよ」
「ふんふん」
「で、見ちゃったわけよ。人間のオレが歩いているのを」
「なんですとー!?」
「中身がカエルだったら、ぴょんぴょん跳ね回るだろうし、言葉だってしゃべれねぇんじゃねぇか?」
「まぁそうでしょうね。きっと格子のついた病院に入れられちゃうかもしれませんね」
「だけどよ、人間のオレは普通に歩いていたんだよ」
「ほほぅ」
「オレは河原でお前に捕まるまで、18年間そこで暮らしていたんだ。人間のオレを見かけたのは1度や2度の話じゃねぇ」
「ふむふむ」
「そんでよ。人間のオレもしっかりと成長していくのよ。いつの間にか大学生っぽくなって、スーツとか着だしてよぉ……」
「社会人デビューですね!」
「おうよ。そんでな……なんということでしょう……ついに家庭まで持ってしまったのです」
「なんだってぇぇぇ!!!」
「それも嫁さんが結構美人なのよ。まぁオレもイケメンだったから、解らなくもねぇけどよ」
「おー。なんだか複雑な気分っスね」
「あ……なんだかオレも人間に戻りたくなってきた……あの嫁さんはオレの嫁さんだ!」
「んーその理論が正しいかどうかは置いておいて、一緒に外に出てくれるなら嬉しいっス!」
「まぁだからだ、いずれにしても、カエルに変身しちまった人間の中身は、少なくともカエルじゃねぇんだ。だから普通の生活をするはずだ」
「なるほど」
「だから恐らく、人間のお前は、ちゃんとオレたちに餌をやりに来ると、オレは予想しているわけだ」
「微妙に希望的観測っスよね?」
「希望も持ちたいってもんだろうよ。だって、そうじゃなきゃオレたちココで死ぬぞ? それも確実に」
「あ、たしかに」
うわぁ、これって結構やばい状況かもしれない。
人間の僕よ……頼む!
僕たちに餌をくださーーーい!!!
「どうとは? ヒッキー」
「ヒッキーいうな! オレは羽生飛鳥(はぶあすか)だ!!」
「すんません。なんか僕からしたら、毎日世話してきたガマガエルにしか見えないもんで!」
「まぁ別にいいけどよ、ヒッキーでも。なんかそんな愛称の芸能人がいたような気がするしよ」
「ああ、ブリーフを何十枚も重ね着する人ですね?」
「その芸人ちがうわ! 歌手だ、歌手!」
「へぇ。カエル歴21年にしては、芸人のことなんてよく知ってますね?」
「まぁな。お前の部屋で飼われている間も一緒にテレビを観てたしな。野良ガエルしていたときだって、たまに近所の家の軒先からテレビを覗き見してたもんだぜ」
「野良ガエルってあんた。基本的にカエルは野良でしょうに。ってか覗きって……そんなこともしてたんですか?」
「……してたが、なにか?」
「まさか、犯罪に手を染めたりしていないでしょうね?」
「カエルに人間の法律は関係ないのだぜ?」
「うわっ! この人最悪だ!!」
「いやいや、早とちりしてはいかんよ君。たしかにオレは誉められないこともしてきたかもしれねぇが、それは命がけでやっていたことなんだぜ」
「命がけっスか?」
「考えてもみたまえよ君。ガマガエルの見た目に嫌悪感を抱く人もいるんじゃないかね? というかそう思う人の方が多いだろうな」
「まぁ……そうですね。僕はガマガエル大好きですけど」
「///照れるぜ、おい。 例えばの話だぜ? オレが覗きをしていたとしてだ、それを人間に発見されたとしよう」
「まぁ最悪、駆除されるかもしれませんね」
「だろうが。つまりオレはいつだって、命がけで覗きをしていたわけだ」
「だったら何だっつーんですか?」
「いやほら、なんか<<ミッションへの挑戦>>みたいな感じがしてこねぇか?」
「んー。分からなくもないような気もしますけどね」
「だろうがよ」
まぁ、確かにカエルに変身しちゃった時点で、色々と免罪符を与えても良いような気もするし、これ以上追求するのはやめておこう。
「話が逸れまくったな。で、お前はどうしたい? アカメ」
「どうとは? ヒッキー」
「ヒッキーいうな! オレは羽生飛鳥(はぶあすか)だ!! って何回やんねん、この流れ」
「いや、やらなくちゃいけない義務感を感じたんですよ」
「分かるぜ。でも話が進まねぇ……」
「すんません。羽生さん」
「飛鳥の方がいいな」
「えー……全然アスカって感じじゃないんですけど」
「ガマガエルだしな! でもアスカと呼べい」
「はぁ、分かりました。アスカさん」
「うむ。そんでお前はどうしたいんだよ?」
「どうとは?」
「だーかーらーーーー。今後の話だよ。この水槽の中で飼われていたいか、外に出てみるかって話しだよぉ!」
んー。この人なんだか、からかいがいがあるんだよねぇ。
でも確かに話が進まないか。
僕としてはどうしたって、人間に戻りたい。
水槽の中で、カエルとして生きるなんてゴメンだ
「やっぱ外に出たいっスね。人間に戻るために!」
「そうか。オレは別に止めねぇけどよ。結構しんどいぜ?」
「一緒に来てはくれないんスか?」
「んー。別にいいけどな。オレもそろそろ水槽の生活に飽きていたところだったし」
「結構面倒見がいいんですね。飛鳥さんって」
「///」
可愛いな、このオッサン
「でも、どうやって出るんですか?」
「え? 普通にジャンプして?」
「いや、でも、天井は硝子板で覆われていますよ」
「ああ、それなら大丈夫だぜ。そこに寝ている<<お前>>が、オレたちに餌をやるときに天井を外すはずだ」
「え? あ、そうか。<<カエルと僕が入れ替わったわけじゃない>>って飛鳥さん言ってましたもんね。ってことは、僕の中身は一体何が入っているんですか?」
「そりゃ、内臓じゃねぇの?」
「じゃーなーくーてーーー!!!」
くそっ!
先程のお返しをされてしまったようだ
「へへん! オレも詳しくは知らねぇんだけどな。少なくともカエルの人格が入っているわけじゃぁねぇ」
「どうしてそんなことが分かるんです?」
「見たからな」
「何をです?」
「何ってオレを」
「人間の飛鳥さんを?」
「そうだ。いやな、オレは変身した後、ずっとその周辺で生活してたわけよ」
「僕が飛鳥さんを捕まえた茨城県の河原っスよね」
「そうそう。だからオレは、人間時代のオレの生活圏でカエル人生を送っていたわけよ」
「ふんふん」
「で、見ちゃったわけよ。人間のオレが歩いているのを」
「なんですとー!?」
「中身がカエルだったら、ぴょんぴょん跳ね回るだろうし、言葉だってしゃべれねぇんじゃねぇか?」
「まぁそうでしょうね。きっと格子のついた病院に入れられちゃうかもしれませんね」
「だけどよ、人間のオレは普通に歩いていたんだよ」
「ほほぅ」
「オレは河原でお前に捕まるまで、18年間そこで暮らしていたんだ。人間のオレを見かけたのは1度や2度の話じゃねぇ」
「ふむふむ」
「そんでよ。人間のオレもしっかりと成長していくのよ。いつの間にか大学生っぽくなって、スーツとか着だしてよぉ……」
「社会人デビューですね!」
「おうよ。そんでな……なんということでしょう……ついに家庭まで持ってしまったのです」
「なんだってぇぇぇ!!!」
「それも嫁さんが結構美人なのよ。まぁオレもイケメンだったから、解らなくもねぇけどよ」
「おー。なんだか複雑な気分っスね」
「あ……なんだかオレも人間に戻りたくなってきた……あの嫁さんはオレの嫁さんだ!」
「んーその理論が正しいかどうかは置いておいて、一緒に外に出てくれるなら嬉しいっス!」
「まぁだからだ、いずれにしても、カエルに変身しちまった人間の中身は、少なくともカエルじゃねぇんだ。だから普通の生活をするはずだ」
「なるほど」
「だから恐らく、人間のお前は、ちゃんとオレたちに餌をやりに来ると、オレは予想しているわけだ」
「微妙に希望的観測っスよね?」
「希望も持ちたいってもんだろうよ。だって、そうじゃなきゃオレたちココで死ぬぞ? それも確実に」
「あ、たしかに」
うわぁ、これって結構やばい状況かもしれない。
人間の僕よ……頼む!
僕たちに餌をくださーーーい!!!
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