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背後霊達が煩い(高校生、片恋、ゆるコメディ)
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俺の後ろで、姉ちゃんの幽霊と、クラスメートの幽霊が、なにやら恋愛をしています。
7年前、姉は17歳で事故に巻き込まれ亡くなった。
そして先日、クラスメートの藤井が、これまた事故で亡くなった。
『俺、幽霊初心者なので、色々教えて下さい、理乃さん』
『わ、私より、幽霊師範に訪ねた方がいいと思います。私も7年目の若手ですから』
幽霊師範とは誰だ?
幽霊世界にそんな猛者的立場の人が居るのか?
『俺は理乃さんがいいんです。一目惚れなんです。一緒に成仏して、一緒に生まれ変わりましょ』
俺の姉を口説くな、弟の背後で。
『でも、私は旭君の幸せな結婚式を見届けないと成仏は難しい仕様でして』
『俺も付き合います。一緒に、旭君の恋愛を観戦させて下さい』
野球観戦じゃねぇんだよ、だいたい分かってんのか?俺の好きな奴は、藤井、お前の双子の妹だぞ。
まさか姉ちゃんに惚れるとは思わなかった。
妹以外、興味ないと思ってたぞ、こっちは。
周囲が引くほど、過保護に妹寵愛してたからな。
格好いいのに残念男子として、藤井は有名な存在だった。
『旭君が好きなのは、藤井君の妹さんよ?』
『・・・』
バレてた、そしてお前は黙るなよ。
『理乃さんの為なら、俺は旭君の恋路を応援も協力もしませんが、邪魔もしません』
素直だな、こいつ。
『俺は真剣に理乃さんが好きです。この先の幽霊人生、俺と過ごして貰えませんか?』
『藤井君は素敵な方だと思います。でも、ごめんなさい』
『俺じゃ不服ですか?』
『わ、私には生きてる時に恋人が居て、その人への未練も多少残ってるので』
え?姉ちゃん恋人いたの?まじか・・・。
ってか、そういう会話は余所でやってくれ。
俺は今、試験中だぞ。
頼むから集中させて欲しい。
『その人の事がまだ好きなんですね、わかりました。でも、俺は諦めませんから。旭君が澪(藤井妹)を諦めて他の女性との結婚に至るまでには、理乃さんの心に、俺を居着かせてみせます』
おい、筋金入りのシスコンが。
俺だって、お前みたいな奴に、姉ちゃんを任せてたまるかよ。
俺は絶対に、姉ちゃんには幸せな成仏を迎えて貰うって決めてんだ。
了
ブラコン、シスコンの幽霊たち。に頭を抱える旭君なお話でした。ちなみに旭君は、見た目ヤンチャな真面目君です。
幽霊が生前者と親しげに会話をすると、強制成仏になる(らしい)と言う話を自称霊能力者から教えて貰い、旭は見えないフリをし続けてるって訳です。
7年前、姉は17歳で事故に巻き込まれ亡くなった。
そして先日、クラスメートの藤井が、これまた事故で亡くなった。
『俺、幽霊初心者なので、色々教えて下さい、理乃さん』
『わ、私より、幽霊師範に訪ねた方がいいと思います。私も7年目の若手ですから』
幽霊師範とは誰だ?
幽霊世界にそんな猛者的立場の人が居るのか?
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俺の姉を口説くな、弟の背後で。
『でも、私は旭君の幸せな結婚式を見届けないと成仏は難しい仕様でして』
『俺も付き合います。一緒に、旭君の恋愛を観戦させて下さい』
野球観戦じゃねぇんだよ、だいたい分かってんのか?俺の好きな奴は、藤井、お前の双子の妹だぞ。
まさか姉ちゃんに惚れるとは思わなかった。
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『旭君が好きなのは、藤井君の妹さんよ?』
『・・・』
バレてた、そしてお前は黙るなよ。
『理乃さんの為なら、俺は旭君の恋路を応援も協力もしませんが、邪魔もしません』
素直だな、こいつ。
『俺は真剣に理乃さんが好きです。この先の幽霊人生、俺と過ごして貰えませんか?』
『藤井君は素敵な方だと思います。でも、ごめんなさい』
『俺じゃ不服ですか?』
『わ、私には生きてる時に恋人が居て、その人への未練も多少残ってるので』
え?姉ちゃん恋人いたの?まじか・・・。
ってか、そういう会話は余所でやってくれ。
俺は今、試験中だぞ。
頼むから集中させて欲しい。
『その人の事がまだ好きなんですね、わかりました。でも、俺は諦めませんから。旭君が澪(藤井妹)を諦めて他の女性との結婚に至るまでには、理乃さんの心に、俺を居着かせてみせます』
おい、筋金入りのシスコンが。
俺だって、お前みたいな奴に、姉ちゃんを任せてたまるかよ。
俺は絶対に、姉ちゃんには幸せな成仏を迎えて貰うって決めてんだ。
了
ブラコン、シスコンの幽霊たち。に頭を抱える旭君なお話でした。ちなみに旭君は、見た目ヤンチャな真面目君です。
幽霊が生前者と親しげに会話をすると、強制成仏になる(らしい)と言う話を自称霊能力者から教えて貰い、旭は見えないフリをし続けてるって訳です。
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