上 下
25 / 28
シーズン3

episode3「Yesterday」

しおりを挟む
私の名前は和泉葎花。高校二年である、いじめがひどくて今廃ビルの柵を越えて飛び降りようとしている。

そう、その時が彼との出会いだった。和希さんに似ているけど違う彼は私の自殺を止めてくれて、私はとても嬉しかった。だから好きになった。私にかまって欲しかった。

その要望に応えてくれるように彼は私に尽くしてくれていつも私の無理言いを文句ひとつなしに聞いてくれて時には私がいじめられている時に助けてくれた。だからますます大好きになった。

でも元々は和希さんに話すためのネタが欲しくてそれをやったのだ。飛び降りを助けてくれたということを和希さんにいった。でも彼が好きなのは姉さんだった。だから私と同じクラスでも話しかけてくれなかった。だから嫌になって和希君と話していると楽しいことに気づいてしまった。

我ながら強欲な奴だ。彼らが双子の兄弟だということを知っててどっちとも私のものにしようとしたわけだ。でも今は違う和希君がいるから。彼は優しい私を褒めてくれる大好きだ。

いつもやっていたリストカットも止めてくれて嬉しかった。本当にやめようと思えた。もしかしたら彼に止めて欲しかったのかもしれない、だから怒られてもいっときやめなかったのかもしれない。だからビンタされて怒られた時は本当に彼のことが好きだった。快感をも覚えたのかもしれない。

そうすると姉さんから話があった。最近調子がいいって、そうなのかな?だから姉さんはもっと可愛くて調子が良くていいねって言ったら悲しい顔をされた。何故だろう?だから聞いてみたら、好きだった怜恩さんが死んだそうだ。確かにいい人だったけど姉さんはてっきりいつも仲のいい和希さんのことが好きだと思っていた。

そしてその時感じた''可哀想な人''だと。

よく姉さんが棚に上げられて私は下に見られることが多い。だけどこの時だけは私の方が絶対的強者だと知り嬉しかった。だから罰だと思ったんだ。和希さんから向けられている好意にすら気づかず違う男に好意を持ったこの三角関係を産んだ主犯格の姉さんは罰が降ったんだと思った。だって私は自分の好きな男の人とデートに行き姉さんよりかは上にいたんだ。なんだってそうだ。私は表に出さないだけで姉さんより学も体育だってなんでもできるんだ。それを誰も見抜けず姉さんをすぐに棚にあげる。何もできないのに無駄に目立つだけの女を。しかし和希君は違った。私の奥に眠る感情を唯一見抜いてすぐに好意を伝えてくれた。私は彼が好きだ。

だからその時に姉さんに言った。

「可哀想な姉さん、でもよかったね怜恩さんは姉さんのことなんて好きじゃないよ」

姉さんは怒るかなと思ったがただ泣き喚くだけで反論しなかった私が唯一姉さんより混ざった瞬間、リストカットよりも自傷行為よりもゾクゾクして気持ちよくて快感だった。それから姉さんは完全に人との関係を絶ち引き篭もり、私が姉さんの座に座ることになったのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そうして時間は過ぎて和希君は探偵をやり私が助手。私は彼と一緒にいれるならなんでもよかった。しかし急に仕事を降りて違う人が私の先生になったのである。それが昔の長塚和希さんで、私は知っていた彼は和希君の弟の山口悠太だと。嫌だったが拒絶したかったがこれも仕事だと言われて仕方なく助手をしてやった。私は和希君といつも呼ぶが、こいつにそれを言いたくなかったため先生と呼んだ。

そうして私はお腹を刺された。刃物でしかも山口悠太に、だからこの仕事は嫌だった。こんな展開があるんじゃないかと思ったからだ。しかしすぐに山口に化けた和希君が来てくれて私の最後を看取ってくれて嬉しかった。

その時に言い忘れたことをここで言いたい。私が助手になった理由。

「きっと……恩返しがしたかったんじゃないかな」と。



シーズン3   エピソード3「昨日」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

授業

高木解緒 (たかぎ ときお)
ミステリー
 2020年に投稿した折、すべて投稿して完結したつもりでおりましたが、最終章とその前の章を投稿し忘れていたことに2024年10月になってやっと気が付きました。覗いてくださった皆様、誠に申し訳ありませんでした。  中学校に入学したその日〝私〟は最高の先生に出会った――、はずだった。学校を舞台に綴る小編ミステリ。  ※ この物語はAmazonKDPで販売している作品を投稿用に改稿したものです。  ※ この作品はセンシティブなテーマを扱っています。これは作品の主題が実社会における問題に即しているためです。作品内の事象は全て実際の人物、組織、国家等になんら関りはなく、また断じて非法行為、反倫理、人権侵害を推奨するものではありません。

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

法律なんてくそくらえ

ドルドレオン
ミステリー
小説 ミステリー

スマホ岡っ引き -江戸の難事件帖-

naomikoryo
ミステリー
現代の警察官・佐久間悠介が交通事故の衝撃で目を覚ますと、そこは江戸時代。 混乱する中、手には現代のスマートフォンが握られていた。 しかし、時代錯誤も構わず役立つこのスマホには、奇妙な法則があった。 スマホの充電は使うたびに少しずつ減っていく。 だが、事件を解決するたびに「ミッション、クリア」の文字が表示され、充電が回復するのだ。 充電が切れれば、スマホはただの“板切れ”になる。 悠介は、この謎の仕様とともに、江戸の町で次々と巻き起こる事件に挑むことになる。 盗難、騒動、陰謀。 江戸時代の知恵や人情と、未来の技術を融合させた悠介の捜査は、町人たちの信頼を得ていく。しかし、スマホの充電回復という仕組みの裏には、彼が江戸に転生した「本当の理由」が隠されていた…。 人情溢れる江戸の町で、現代の知識と謎のスマホが織りなす異色の時代劇ミステリー。 事件を解決するたびに深まる江戸の絆と、解けていくスマホの秘密――。 「充電ゼロ」が迫る中、悠介の運命はいかに? 新感覚エンターテインメント、ここに開幕!

眼異探偵

知人さん
ミステリー
両目で色が違うオッドアイの名探偵が 眼に備わっている特殊な能力を使って 親友を救うために難事件を 解決していく物語。 だが、1番の難事件である助手の謎を 解決しようとするが、助手の運命は...

ここは猫町3番地の1 ~雑木林の骨~

菱沼あゆ
ミステリー
「雨宮……。  俺は静かに本を読みたいんだっ。  此処は職場かっ?  なんで、来るたび、お前の推理を聞かされるっ?」  監察医と黙ってれば美人な店主の謎解きカフェ。

探偵たちに時間はない

探偵とホットケーキ
ミステリー
前作:https://www.alphapolis.co.jp/novel/888396203/60844775 読まなくても今作だけで充分にご理解いただける内容です。 「探偵社アネモネ」には三人の探偵がいる。 ツンデレ気質の水樹。紳士的な理人。そしてシャムネコのように気紛れな陽希。 彼らが様々な謎を解決していくミステリー。 今作は、有名時計作家の屋敷で行われたミステリー会に参加することに。其処で事件が発生し―― *** カクヨム版 https://kakuyomu.jp/works/16818093087826945149 小説家になろう版 https://ncode.syosetu.com/n2538js/ Rising Star掲載経験ありのシリーズです。https://estar.jp/selections/501

通詞侍

不来方久遠
ミステリー
 明治28(1895)年の文明開化が提唱されていた頃だった。  食うために詞は単身、語学留学を目的にイギリスに渡った。  英語を学ぶには現地で生活するのが早道を考え、家財道具を全て売り払っての捨て身の覚悟での渡英であった。

処理中です...