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シーズン2

episode3「Origin」

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ハッとする。気づけば俺は眠っていた。樒花も寝てしまっている、腕時計を確認すると0時を回っていた。  

「またストーリーに漬け込みすぎたか……」  

机に置いてあった紙を見ると四百字のメモ用紙が百ページ分ぐらい書かれていた。いつもはこれが日常茶飯事である。だがそろそろ辞めなきゃな。その理由とは……俺はメモ用紙の束をどかすと一番下に下敷きになっていた紙を取り出す。

「肝臓癌ステージ4か……」

そうだ、俺の力は使うたびに俺の体に負荷をかける。その結果がこれだ、最近体の違和感を感じていた。徹夜したり体を張る仕事なのでそこまで状態を重く見ていないこともあった。しかし一回受けてみたらどうだと同僚に言われ受けたらって感じだ。もちろん入院しろって言われたんだが、どうせこの先も力を行使するだろうから治療など無意味さ、しかも今は入院なんてしていられない事件に関わっているんだ。呑気にしてたらあいつらに怒られてしまうぜ。

樒花に見つかるとうるさいだろうから鍵がついている引き出しの一番上に入れておいた。どうせ鍵を持ってるのは俺だし開けられないのならそこまで隠す必要もない。

「あれ?怜恩先輩……?」

樒花が目覚めたようだ。今も目を擦ったりしている。

「悪い起こしたか?」

首を横に振る樒花。

「大丈夫です。それより事件を調べないと……」

「ああ、そうだ。もうそろそろ取り掛かるぞ」

次は首を縦に振る。わかりやすいやつだ。

「まず被害者リストだ。これは死亡推定時刻から事件を段階分けしている」

まず第一の事件と思われる田中香里がバラバラになって見つかった事件。胸部のみが見つかっておらず。警察到着時までシャワーがかけられていたとされ血はきれいに洗い流されていた。

そして第二の事件とされる街咲麗子が殺害された事件。遺体には左足がなく、死因は首を絞められて殺された。その後に左足を切断し、左足は未だ見つかってない。

そして第三の事件とされる井上清作が殺害された事件。遺体は首から上がないため明確な死因は不明だがこちらも絞首かもしくは首を切られてか……頭は未だに見つかっていない。

そして第四の事件とされる佐藤勝が殺害された事件、遺体は首に圧迫痕があったため絞首が死因で間違いない。そのあと腹部を切断され未だに見つかっていない。しかし首には有明海斗の指紋が検出されたが関連性は不明。

そして第五の事件とされる和泉葎花……が殺された事件。遺体には腹部に刃渡り十五センチメートルの刺し傷がさりそれによる出血多量とされる。遺体は右腕がなく、未だに見つかっていない。刃渡り十五センチの包丁は厨房にある包丁と一致したため犯人は厨房から包丁を持ちがしたらしい。

そして第六の事件とされる琴政宗が殺害された事件。遺体は両腕を扉に釘打ちされたのち喉を切られたことが死因につながっている。そして右足がなく、未だ見つかっていない。

そして第七の事件とされる有明海斗が殺害された事件。遺体は頭部を鉄パイプのようなものに殴られたことが死因につながる。遺体は
左腕がなく未だ見つかっていない。鉄パイプには山口悠太の指紋のみが検出されている。そして遺体はなぜか右腕が折れていた。

そして第八の事件とされる長塚和希……が殺された事件。遺体は首を絞められた痕が見つかり山口悠太の指紋があった。警察が館についた時には絶賛首絞め中だったそうだ。あと少し早ければ助かったかもしれないな。そう思うと惜しい気持ちしか出てこない。

これで全部だ。計八人の遺体と八の事件が起きた。そしてこの事件の一番不可解なところ、それは見つかった遺体は絶対にどこか欠けているんだ。清作は頭、香里は胸部、葎花は右腕、海斗は左腕、麗子は左足、政宗は右足。そして唯一欠けていなかった和希の遺体。

「改めて確認すると不可解な点しか見つからない事件だな……」

「確かにそうですね……」

確かにあの和希が持っていた紙に書いてあった儀式殺人の通りに遺体は欠けているがそれで犯人は何をしたかったんだ?

「またやるしかないな」

「やっぱりしないとわからないんですね、何だか悔しいです」

「え?」

「もし怜恩先輩がこの能力がなかったら私たち何よできないまま何ですよね」

「……確かに」

樒花が言いたいこともわかる。俺ももしこの力がなかったら刑事の座もないわけだし、事件を追うことなんてまずできなかっただろう能力に頼りっきりな俺たちが何だかとても小さく感じた。

「まあ、今やれることをやろう。泣き言言ってたら和希たちがキレるぞ」

「ふふ、そうですね」

じゃあ次は''昔の、和希、思い出''で行こう。



1976年 商店街 長塚和希 当時17歳 高校2年 夏  

ここ最近よく見かける。

寂れた商店街に五階建ての建物があった。一階がドラッグストア、二階に玩具屋、三階にはキッズエリア、四階にはゲームセンター、五階にはできる予定だった飲食の某有名チェーン店。僕が小さい頃は栄えていたが今はシャッターが降りてその顔をひっそりと閉ざしてしまった。

「あ、今日もいる」

最近はその廃ビルの屋上に女の子が頻繁にきている。

「景色でもみてんのかな?」

僕はそれを独り言のように解説する。

「あれ?」

しかし今日は少し様子が変だ。いつもはいっとき景色を見た後にすぐに帰っていた。そして僕はそれを見届けるのが日課になっていた、だからわかる。今日は少し様子が違う。

「まずいぞ……」

そう、彼女は屋上の柵を越えようとしていたのだ。

「まさか自殺か?」

僕は今ここで起こるであろう最悪の想定をした上でその廃ビルの屋上までダッシュで駆け上がる。

「おい待て!!」

屋上のドアを蹴るのと同時にそう叫ぶ。



シーズン2   エピソード3「原点」
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