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シーズン1
episode8「Hell」
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「な、なにを急に言い出すんだ?」
俺がそう聞くが彼は俺を見つめるだけで答えようとしない。
「まさか、俺が犯人だと言いたいのか?」
頷きもしない。
「何か言ったらどうだ?」
しかし無駄だ。彼はピクリとも動かない。逆にそれが俺の心を動揺させる。
(何をやってるんだ俺は!?俺が犯人じゃ無いのは自分が一番知ってるだろ!!それを証明するだけ……簡単じゃないか、だって俺は長塚探偵……そう、探偵なんだ。たかが小説家の言うことなど……)
「ぷっ、フハハハハはははっっ!!」
そうすると山口君は吹き出すように笑い出す。
「山口君?」
「ははは、すみません先生……ふふっ、冗談ですよ!!少しいじってあげたら先生すごい怖い顔するから……ちょっとびっくりしましたよ……!!」
なんだ冗談だったのか、にしてはかなり凝った演出だったがな。しかし俺はそれよりもこの状況下で冗談なんて言える彼が少し怖かった。
「大丈夫ですよ長塚さん。僕は信じてますから。推理小説家たるもの読者にフェアな推理をさせるのが仕事です。第一に主人公の探偵を信じないでどうするんですか?」
和泉さんや海斗さんも緊張していたのかため息を漏らして呆れなような顔をした。
「とりあえず……」
俺は先陣を取り話の内容を変えてみる。
「今からでも寝たい気持ちもありますが……きっと皆さんも同じでしょう?でも無闇に眠って全滅っていうのも避けないといけません。みんなで提案し合いませんか?」
全員頷く。するとドンっと机を叩くようにあの肥満体系の佐藤勝さんが立ち上がった。
「無駄さ……」
「え?」
次は彼にみんなの視線が向けられる。
「これ神への生贄なんだ……!!」
「はあ!?お前何言ってるんだよ?」
いきなりの謎発言に海斗さんは少し苛立ちのこもった声で言う。
「わかるだろ!?こんな人間がやれると思えない所業をやってのけてるなるて……」
「じゃあなんだよ!?彼女は……麗子はっ!!麗子は神様のために死んだっつうのかよ!?んな証拠もないこと言いやがって!!まさかお前……」
そう言うと黙り込んでしまった。しかし、すぐに彼は目をカッと見開き佐藤さんを押し倒すように首に手を押し付けて倒した。
「ちょっと!!海斗さん落ち着いてください!!どうしたんですか!?」
俺たちは彼を引き剥がそうとするが、なんと言う力強さ彼の腕は一向に佐藤さんの首に食い込んでいく。
「お前が麗子やみんなを殺したんだな!?きっとそうだ!!そうやって訳のわからないこと言って俺らの感情揺さぶってんだろ!!」
だめだ、海斗さんは感情に任せきっている。佐藤さんの顔は赤くなり明らかに苦しそうに顔をしかめている。
「アぁっっ!!ガッああああ!!」
言葉にならないような音を口からこぼしている。仕方ない。俺はその場から少し離れて。
「うおおおおっっ!!!!」
海斗さんの横腹目掛けてタックルするように突っ込む。これでもダメかと思ったが意外に海斗さんの体は離れて数歩先のところで、もがいていた。
「長塚……探偵?どうして……どうしてだよ!?どうして彼女は殺されなくちゃならなかったんだっ!?」
泣き崩れる彼の言葉の返しようがなく俺は黙り込んだ。佐藤さんは失神してしまったのかその場で倒れきっている。
「さ、さあ……皆様方!!喉が乾きませんか?私はもう乾ききって大変です」
琴さんがそう言いロビーにある簡易キッチンで飲み物を作り始めた。
まただ。今日だけで何回目だろうか。古時計の秒針の音だけが響いている。ここまでくるとなんだか逆に居心地良く感じてしまう。
「できましたよ皆さん……紅茶しか無かってのですが、飲めますか?」
そう言うとみんなは大丈夫ですと返事を返す。琴さんもにっこりと笑顔になり一人一人に配り椅子に腰掛けた。
「琴さん……せっかく作ってくれたのは嬉しいけど、まさか睡眠薬とか毒とか入れてないでしょうね?」
山口君が少し笑っていったが俺は不気味に感じた。
「山口君……君、少し失礼なのではないか?」
俺はそう反論するが、琴さんが大丈夫と手で制してくれた。
「山口さんは私が飲み物に毒を入れて自分のだけ入れていないとお考えで?」
恐る恐る言葉を発する琴さん。
「ちょっとそう思っちゃったんですよね……」
と返す山口君。
「わかりました。じゃあ私のと山口さんの紅茶を入れ替えて毒見してしせましょう」
琴さんが山口君の前に置いてある紅茶と自分の紅茶を入れ換えてその場で一口飲む。
「うん……至って美味しい紅茶ですね。ミルクの風味がまた味を引き立ててます」
琴さんも次は煽るように紅茶の味の感想を言う。
「そうですか……じゃあいただきまーす」
山口君も少しそれをみた後に笑いながら紅茶をゴクゴクと豪快に飲み干す。
「いやぁ、とても美味しい紅茶ですねぇ!まさか琴さんってカフェのマスターとかしたことあるんですか」
その場を和ませるように和泉さんがそう言う。
「えぇ何せこの年なのでとうの昔ですが、一度だけ喫茶店を持たせてもらったことがあるんです……」
和泉さんと琴さんは二人で紅茶がどうとかで話を広げている。こんな状況なら安心できていいだろうな。
しかし山口悠太……何故彼はこんなにも場の雰囲気を紛らわすような発言をするのだろうか?そしてその時の笑い方や目つきただふざけているだけではないようだ。何かもうすでに気がついている!?彼には少しマークしておいた方がいいな。
シーズン1 エピソード8「地獄」
俺がそう聞くが彼は俺を見つめるだけで答えようとしない。
「まさか、俺が犯人だと言いたいのか?」
頷きもしない。
「何か言ったらどうだ?」
しかし無駄だ。彼はピクリとも動かない。逆にそれが俺の心を動揺させる。
(何をやってるんだ俺は!?俺が犯人じゃ無いのは自分が一番知ってるだろ!!それを証明するだけ……簡単じゃないか、だって俺は長塚探偵……そう、探偵なんだ。たかが小説家の言うことなど……)
「ぷっ、フハハハハはははっっ!!」
そうすると山口君は吹き出すように笑い出す。
「山口君?」
「ははは、すみません先生……ふふっ、冗談ですよ!!少しいじってあげたら先生すごい怖い顔するから……ちょっとびっくりしましたよ……!!」
なんだ冗談だったのか、にしてはかなり凝った演出だったがな。しかし俺はそれよりもこの状況下で冗談なんて言える彼が少し怖かった。
「大丈夫ですよ長塚さん。僕は信じてますから。推理小説家たるもの読者にフェアな推理をさせるのが仕事です。第一に主人公の探偵を信じないでどうするんですか?」
和泉さんや海斗さんも緊張していたのかため息を漏らして呆れなような顔をした。
「とりあえず……」
俺は先陣を取り話の内容を変えてみる。
「今からでも寝たい気持ちもありますが……きっと皆さんも同じでしょう?でも無闇に眠って全滅っていうのも避けないといけません。みんなで提案し合いませんか?」
全員頷く。するとドンっと机を叩くようにあの肥満体系の佐藤勝さんが立ち上がった。
「無駄さ……」
「え?」
次は彼にみんなの視線が向けられる。
「これ神への生贄なんだ……!!」
「はあ!?お前何言ってるんだよ?」
いきなりの謎発言に海斗さんは少し苛立ちのこもった声で言う。
「わかるだろ!?こんな人間がやれると思えない所業をやってのけてるなるて……」
「じゃあなんだよ!?彼女は……麗子はっ!!麗子は神様のために死んだっつうのかよ!?んな証拠もないこと言いやがって!!まさかお前……」
そう言うと黙り込んでしまった。しかし、すぐに彼は目をカッと見開き佐藤さんを押し倒すように首に手を押し付けて倒した。
「ちょっと!!海斗さん落ち着いてください!!どうしたんですか!?」
俺たちは彼を引き剥がそうとするが、なんと言う力強さ彼の腕は一向に佐藤さんの首に食い込んでいく。
「お前が麗子やみんなを殺したんだな!?きっとそうだ!!そうやって訳のわからないこと言って俺らの感情揺さぶってんだろ!!」
だめだ、海斗さんは感情に任せきっている。佐藤さんの顔は赤くなり明らかに苦しそうに顔をしかめている。
「アぁっっ!!ガッああああ!!」
言葉にならないような音を口からこぼしている。仕方ない。俺はその場から少し離れて。
「うおおおおっっ!!!!」
海斗さんの横腹目掛けてタックルするように突っ込む。これでもダメかと思ったが意外に海斗さんの体は離れて数歩先のところで、もがいていた。
「長塚……探偵?どうして……どうしてだよ!?どうして彼女は殺されなくちゃならなかったんだっ!?」
泣き崩れる彼の言葉の返しようがなく俺は黙り込んだ。佐藤さんは失神してしまったのかその場で倒れきっている。
「さ、さあ……皆様方!!喉が乾きませんか?私はもう乾ききって大変です」
琴さんがそう言いロビーにある簡易キッチンで飲み物を作り始めた。
まただ。今日だけで何回目だろうか。古時計の秒針の音だけが響いている。ここまでくるとなんだか逆に居心地良く感じてしまう。
「できましたよ皆さん……紅茶しか無かってのですが、飲めますか?」
そう言うとみんなは大丈夫ですと返事を返す。琴さんもにっこりと笑顔になり一人一人に配り椅子に腰掛けた。
「琴さん……せっかく作ってくれたのは嬉しいけど、まさか睡眠薬とか毒とか入れてないでしょうね?」
山口君が少し笑っていったが俺は不気味に感じた。
「山口君……君、少し失礼なのではないか?」
俺はそう反論するが、琴さんが大丈夫と手で制してくれた。
「山口さんは私が飲み物に毒を入れて自分のだけ入れていないとお考えで?」
恐る恐る言葉を発する琴さん。
「ちょっとそう思っちゃったんですよね……」
と返す山口君。
「わかりました。じゃあ私のと山口さんの紅茶を入れ替えて毒見してしせましょう」
琴さんが山口君の前に置いてある紅茶と自分の紅茶を入れ換えてその場で一口飲む。
「うん……至って美味しい紅茶ですね。ミルクの風味がまた味を引き立ててます」
琴さんも次は煽るように紅茶の味の感想を言う。
「そうですか……じゃあいただきまーす」
山口君も少しそれをみた後に笑いながら紅茶をゴクゴクと豪快に飲み干す。
「いやぁ、とても美味しい紅茶ですねぇ!まさか琴さんってカフェのマスターとかしたことあるんですか」
その場を和ませるように和泉さんがそう言う。
「えぇ何せこの年なのでとうの昔ですが、一度だけ喫茶店を持たせてもらったことがあるんです……」
和泉さんと琴さんは二人で紅茶がどうとかで話を広げている。こんな状況なら安心できていいだろうな。
しかし山口悠太……何故彼はこんなにも場の雰囲気を紛らわすような発言をするのだろうか?そしてその時の笑い方や目つきただふざけているだけではないようだ。何かもうすでに気がついている!?彼には少しマークしておいた方がいいな。
シーズン1 エピソード8「地獄」
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