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シーズン1
episode5「Ego」
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「Lust……?どういう意味だ!!待て!?」
俺は正気を失っていたのか真面目な判断ができなくなっており、ドアの前でノックしたやつが犯人かもしれないのに足が犯人を追おうとしない。怖いのか?探偵なのにこんなところで詰まっていいのか。
「くっっそ!!」
いうことを聞かなかった両足に喝を入れて頑張って立たせる。しかし、ガチャッと音と共にドアが開いた。まさか犯人が俺を殺しに!?
「ひゃあっっ!!先生……!!何してるんですか……びっくりしたじゃないですか!?」
そこにいたのは犯人ではなく、助手の和泉さんだった。温泉から帰って来たのだろう。
「そっ、そんなことより大変だ……!!」
俺がそういうと、彼女は俺の体が血まみれなのに気がつき心配して近づいてくる。俺はそれを跳ね除け。ただ一言だけ言った。
「これは……殺人事件だぞ!?」
その後、事態があることを伝え、和泉さんはみんなをロビーに集めた。
沈黙。その場はさきあっきのように誰も喋らずただただ沈黙。
「な、なあ、そろそろ教えてくれよ……なんで俺らを集めたんだ?」
そう言い出したのは海斗さんだった。
「香里さん遅いですね……ちょっと僕呼んできます」
と山口君が行こうとしたので、ドアの前に俺は立ってただ首を横に振る。
「じゃあ話します……」
みんなは頷く。
「香里さんが誰かに殺されました……」
そういうとたちまち悲鳴が聞こえた。それはそうだろう自分達が止まる館で殺人が起きたんだ。ヒステリックになるのも仕方がない。俺だってここに人がいなかったら叫び出したい気分だった。
「落ち着いてください、どうか静かに……」
そう言ったのは和泉さんだった。さすが、こういう現場は慣れているのか。とても冷静だった。が、ここにいる人たちには想像できないであろう。
一番プライドが高そうで表情を表に出さない蟹肩さんさえ、額から汗をこぼしていた。
「そんなっ!!香里さんが殺されだって!?」
山口君が言った。
「ははは、きっと何かのドッキリだよ……じゃなきゃおかしい……おかしいんだよ!!」
彼はこの中で一番フレンドリーで友達思いな人間だ。いくら数時間の付き合いでも彼にとっては大切は友達だったのだろう。和泉さんが駆け寄り慰めるようにぶつぶつと話しかけて落ち着かせている。
「どんな風だったんだ?香里さんの死体は?」
琴さんが言った。
俺はメモに取った死体の状況を教えた。この状況だとさらに不安にさせることだと思ったが、俺たちはもう無関係じゃない。そう思ったのだ。
「簡潔にいうと首から下お腹よりも上。だから胸の部分だけ切断されていました」
そう風呂の中にあったのは無惨に捨てられた香里さんの首と下半身両腕が転がっていた。犯人の動機は分からないがかなり残酷な手口だ。
「もう嫌だわ、私部屋に戻るわ……頭が痛いの……」
麗子さんはそういい。ロビを出て部屋につながる廊下に出ようとした。
「待ってください!!ここには殺人鬼がいるんですよ!?下手に一人になって殺されたりしたらどうするんです?」
そう言って止めようとしたら海斗さんが止めに入った。
「大丈夫だ、俺がついていく。扉も閉めておくから大丈夫さ」
と言ったが、俺も言いたいことがあり部屋を出ようとする二人の手を掴んで止めた。
「だから!!俺が言いたいのは、今まさに館を徘徊している可能性があるってことです!!」
「どういうことだよ……」
海斗さんは話を理解していない様子だった。
「俺の部屋は鍵を閉めていた。なのに死んでいた……ということは合鍵かマスターキーを使えた人物がいるんです。誰だかわかりますか?」
海斗さんは首を横に振る。
「中尾さんです。ここに唯一使用人としている中尾さんならマスターキーを使えたはず。そう、思いませんか?」
海斗さんは驚愕の顔を、麗子さんは涙を流したままだ。後ろで聞いている他の人たちもざわついているのがわかる。
「ちょっと待て」
ざわつきを制するように大声を出したのは清作さんだった。
「なんですか?」
俺がそういうと彼は俺を睨むようにして言った。
「中尾さんのマスターキー説……確かにありうるが。もう一つの可能性があるぞ」
「なんだって!?じ、じゃあ言ってみてくださいよ」
清作さんは立った。
「ただ私が言いたいのは、中尾さんだけでもなくあんた……長塚探偵にもできたと言いたいのだ」
ざわつく周りの人間。俺は清作さんが言いたいことがわかった。だから俺は聞いてみた。
「そうかい、清作さんは、あの時彼女と一緒にいた俺が殺したっていうのか?」
清作さんは黙って頷く。
「アリバイでもあるなら私は黙るがな」
「そんな!?先生は私と同じ部屋でした!!できるはずないです」
和泉さんが黙っていられないという顔で言った。
「じゃあ君は見たのかね?長塚探偵が彼女に下品なことをされそうになるその瞬間を……」
そう言われて和泉さんは黙り込んだ。
「で、でも……その……」
言葉が詰まるように声が出ていない。
「大丈夫だよ……和泉さん、ありがとう……あとは俺がいうよ」
「先生……」
清作さんはこちらを見た。だから俺も睨みつける、が。俺はアリバイなどない。どうしても俺には証拠がなさすぎる。
「じゃあ長塚探偵は自分がやっていない証拠でもあるのかね?」
「それは、俺は気絶していたんだ……そして起きたら死んでいた……」
俺がそういうと清作さんはガッハッハと豪快に笑った。
「だからなんだというのだ……気絶してたから殺人ができない!?笑わせるな!!それでも探偵かね!?それならその証拠を見せたまえ!!」
無理だ。俺の頭の中にはそんな言葉が大量に刻まれてしまった。俺は自分が犯人ではない証拠がない。
「無理です……」
「うん?聞こえなかったな!!」
くそ!!こういう時だけ聞こえないふりをしやがって……。
「俺は自分が犯人じゃない証拠はありません……」
「ふん!!認めたな」
その言葉を聞いた和泉さんと山口君以外は俺を押さえて縄で腕と脚を結ばれ拘束された。
「待ってくれ!!俺は犯人じゃない信じてくれ!!」
シーズン1 エピソード5「自我」
俺は正気を失っていたのか真面目な判断ができなくなっており、ドアの前でノックしたやつが犯人かもしれないのに足が犯人を追おうとしない。怖いのか?探偵なのにこんなところで詰まっていいのか。
「くっっそ!!」
いうことを聞かなかった両足に喝を入れて頑張って立たせる。しかし、ガチャッと音と共にドアが開いた。まさか犯人が俺を殺しに!?
「ひゃあっっ!!先生……!!何してるんですか……びっくりしたじゃないですか!?」
そこにいたのは犯人ではなく、助手の和泉さんだった。温泉から帰って来たのだろう。
「そっ、そんなことより大変だ……!!」
俺がそういうと、彼女は俺の体が血まみれなのに気がつき心配して近づいてくる。俺はそれを跳ね除け。ただ一言だけ言った。
「これは……殺人事件だぞ!?」
その後、事態があることを伝え、和泉さんはみんなをロビーに集めた。
沈黙。その場はさきあっきのように誰も喋らずただただ沈黙。
「な、なあ、そろそろ教えてくれよ……なんで俺らを集めたんだ?」
そう言い出したのは海斗さんだった。
「香里さん遅いですね……ちょっと僕呼んできます」
と山口君が行こうとしたので、ドアの前に俺は立ってただ首を横に振る。
「じゃあ話します……」
みんなは頷く。
「香里さんが誰かに殺されました……」
そういうとたちまち悲鳴が聞こえた。それはそうだろう自分達が止まる館で殺人が起きたんだ。ヒステリックになるのも仕方がない。俺だってここに人がいなかったら叫び出したい気分だった。
「落ち着いてください、どうか静かに……」
そう言ったのは和泉さんだった。さすが、こういう現場は慣れているのか。とても冷静だった。が、ここにいる人たちには想像できないであろう。
一番プライドが高そうで表情を表に出さない蟹肩さんさえ、額から汗をこぼしていた。
「そんなっ!!香里さんが殺されだって!?」
山口君が言った。
「ははは、きっと何かのドッキリだよ……じゃなきゃおかしい……おかしいんだよ!!」
彼はこの中で一番フレンドリーで友達思いな人間だ。いくら数時間の付き合いでも彼にとっては大切は友達だったのだろう。和泉さんが駆け寄り慰めるようにぶつぶつと話しかけて落ち着かせている。
「どんな風だったんだ?香里さんの死体は?」
琴さんが言った。
俺はメモに取った死体の状況を教えた。この状況だとさらに不安にさせることだと思ったが、俺たちはもう無関係じゃない。そう思ったのだ。
「簡潔にいうと首から下お腹よりも上。だから胸の部分だけ切断されていました」
そう風呂の中にあったのは無惨に捨てられた香里さんの首と下半身両腕が転がっていた。犯人の動機は分からないがかなり残酷な手口だ。
「もう嫌だわ、私部屋に戻るわ……頭が痛いの……」
麗子さんはそういい。ロビを出て部屋につながる廊下に出ようとした。
「待ってください!!ここには殺人鬼がいるんですよ!?下手に一人になって殺されたりしたらどうするんです?」
そう言って止めようとしたら海斗さんが止めに入った。
「大丈夫だ、俺がついていく。扉も閉めておくから大丈夫さ」
と言ったが、俺も言いたいことがあり部屋を出ようとする二人の手を掴んで止めた。
「だから!!俺が言いたいのは、今まさに館を徘徊している可能性があるってことです!!」
「どういうことだよ……」
海斗さんは話を理解していない様子だった。
「俺の部屋は鍵を閉めていた。なのに死んでいた……ということは合鍵かマスターキーを使えた人物がいるんです。誰だかわかりますか?」
海斗さんは首を横に振る。
「中尾さんです。ここに唯一使用人としている中尾さんならマスターキーを使えたはず。そう、思いませんか?」
海斗さんは驚愕の顔を、麗子さんは涙を流したままだ。後ろで聞いている他の人たちもざわついているのがわかる。
「ちょっと待て」
ざわつきを制するように大声を出したのは清作さんだった。
「なんですか?」
俺がそういうと彼は俺を睨むようにして言った。
「中尾さんのマスターキー説……確かにありうるが。もう一つの可能性があるぞ」
「なんだって!?じ、じゃあ言ってみてくださいよ」
清作さんは立った。
「ただ私が言いたいのは、中尾さんだけでもなくあんた……長塚探偵にもできたと言いたいのだ」
ざわつく周りの人間。俺は清作さんが言いたいことがわかった。だから俺は聞いてみた。
「そうかい、清作さんは、あの時彼女と一緒にいた俺が殺したっていうのか?」
清作さんは黙って頷く。
「アリバイでもあるなら私は黙るがな」
「そんな!?先生は私と同じ部屋でした!!できるはずないです」
和泉さんが黙っていられないという顔で言った。
「じゃあ君は見たのかね?長塚探偵が彼女に下品なことをされそうになるその瞬間を……」
そう言われて和泉さんは黙り込んだ。
「で、でも……その……」
言葉が詰まるように声が出ていない。
「大丈夫だよ……和泉さん、ありがとう……あとは俺がいうよ」
「先生……」
清作さんはこちらを見た。だから俺も睨みつける、が。俺はアリバイなどない。どうしても俺には証拠がなさすぎる。
「じゃあ長塚探偵は自分がやっていない証拠でもあるのかね?」
「それは、俺は気絶していたんだ……そして起きたら死んでいた……」
俺がそういうと清作さんはガッハッハと豪快に笑った。
「だからなんだというのだ……気絶してたから殺人ができない!?笑わせるな!!それでも探偵かね!?それならその証拠を見せたまえ!!」
無理だ。俺の頭の中にはそんな言葉が大量に刻まれてしまった。俺は自分が犯人ではない証拠がない。
「無理です……」
「うん?聞こえなかったな!!」
くそ!!こういう時だけ聞こえないふりをしやがって……。
「俺は自分が犯人じゃない証拠はありません……」
「ふん!!認めたな」
その言葉を聞いた和泉さんと山口君以外は俺を押さえて縄で腕と脚を結ばれ拘束された。
「待ってくれ!!俺は犯人じゃない信じてくれ!!」
シーズン1 エピソード5「自我」
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