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1、飛び降り自殺ー多い屋上
第三夜 「鳥の怪」
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「カズちゃん!?」
意識はさっきの通りにあの屋上の真下に来ていた。相変わらず地面には血に塗れて帰らぬ人となったサキと呼ばれている少女が一人悲しく倒れていた。
「すみません。少しぼぅとしてて」
「大丈夫?ずっと動かなくて心配したのだ」
「もう大丈夫です」
頭の中では違うことを考えていた。結局彼はあのあとどうしたのだろう?彼女の元へ行って何を感じたのだろうか?その先どうなったのか想像に難くない。
「すっかり夜なのさ。部室にGOだよ!!」
「はい…………」
あれ?あそこに居るのって…………屋上を下から見上げると柵を越えて小さい足場に立つ女子高生の姿が見えた。私は悟って彼女に会いたくなった。きっと彼女も間あっているに違いない。今彼女と私はお互いを見つめたまま止まっている。
「カズちゃん?どした?」
「ちょっと教室に忘れ物したから、ミツさん先行っててください」
「えぇ?危ないよ、あたしも着いていこーか?」
「いえ、大丈夫ですよ。私だって部員だし、これくらいのこと慣れておかないとダメですよ」
「そうかな………じゃあ、すぐ来てね。待ってるから」
腑に落ちないような顔をしていたが、そう言ってその場から去っていった。私はまたあの屋上に行かないといけない。
†
「あなたサキさん、だよね?」
そう聞くと私に後ろ姿だけを見せて首だけが頷いている。
「そうよ。そして見たのね」
「あなたがここでどうなったか…………全て見ました」
幽霊なのに履いているスカートがふわりと風に乗る。よくよく見ると私たちの制服とは少し違って見えた。あの時は遠くからだったから見えなかっただけであり、彼女の制服は数年前に変えられた旧制服であった。
「カズさん。だよね?あの男の子がずっと呼んでた」
「はい、そうです」
ふふ、と不敵に笑って見せて私の方へ振り返った。あの時屋上で男子と掴み合っていた女子と同じ顔だった。そしてあの血で塗れたあの時の顔とも一緒だった。
「良かったわね、助けてくれる人がいて」
嫌味っぽく言う。
「確かに、あとちょっとで飛び降り自殺者の中にカウントされるところでしたよ」
「あら?知っていたのね。飛び降り自殺者は私が操っていたこと」
彼女が自殺で死んだあと多発した。飛び降り自殺。今日までで合計十八人の女子生徒が飛び降り、未然に防げたのはこの私一人だけ、そうしてわかった。あの時取り憑かれた気に感じた怒りや悲しみは今の彼女と似ていた。と言うことは彼女がこの事件の犯人ということになる。全くもって推理のかけらもない推測だが。
「なんでこんなこと?」
「うーん、なんででしょう…………でも生き残れて、私の記憶を除くいたあなたなら少しは理解しているんじゃない?」
「怒りですか?」
「ちょっと違うわ」
何をされるかわからない。もしかしたらもう一度取り憑かれて落とされるかもしれない。その時は最後だろう、だって今ここに私がいることは誰も知らないのだから。あのユキでさえも。
「恨み、ですか?あなたを自殺に追い込んでだ助けられなかった彼への復讐ということですか?」
そう言うと驚いた顔をして私に近づいてきた。
「そうかもしれないわ。確かに私が殺したのはあの時いじめていた女子どもだったわ。そうよきっとそうだわ」
さっきの不敵な笑みとは違って、心底嬉しそうに笑って見せる。
「よくわかったわね。あなた褒めてあげる、私が忘れていた目的をもう一度蒸し返してくれるなんて」
しかし腑に落ちない気持ちに私はなった。
「でもなんで?少なくとも虐めていたのなら男子も混ざっていたはず、そして復讐ならばあの男子を殺せばいいだけなのに…………」
「何よ………何が言いたいの?」
「いえ、まだわからないことだらけです。なら少し時間をくれませんか?」
「時間?」
「そうです。あなたがこうなってしまった理由、そして何に対しての復讐だったのか?それを解明してあげます。生憎、あの男子に少し心当たりがあるんです」
意識はさっきの通りにあの屋上の真下に来ていた。相変わらず地面には血に塗れて帰らぬ人となったサキと呼ばれている少女が一人悲しく倒れていた。
「すみません。少しぼぅとしてて」
「大丈夫?ずっと動かなくて心配したのだ」
「もう大丈夫です」
頭の中では違うことを考えていた。結局彼はあのあとどうしたのだろう?彼女の元へ行って何を感じたのだろうか?その先どうなったのか想像に難くない。
「すっかり夜なのさ。部室にGOだよ!!」
「はい…………」
あれ?あそこに居るのって…………屋上を下から見上げると柵を越えて小さい足場に立つ女子高生の姿が見えた。私は悟って彼女に会いたくなった。きっと彼女も間あっているに違いない。今彼女と私はお互いを見つめたまま止まっている。
「カズちゃん?どした?」
「ちょっと教室に忘れ物したから、ミツさん先行っててください」
「えぇ?危ないよ、あたしも着いていこーか?」
「いえ、大丈夫ですよ。私だって部員だし、これくらいのこと慣れておかないとダメですよ」
「そうかな………じゃあ、すぐ来てね。待ってるから」
腑に落ちないような顔をしていたが、そう言ってその場から去っていった。私はまたあの屋上に行かないといけない。
†
「あなたサキさん、だよね?」
そう聞くと私に後ろ姿だけを見せて首だけが頷いている。
「そうよ。そして見たのね」
「あなたがここでどうなったか…………全て見ました」
幽霊なのに履いているスカートがふわりと風に乗る。よくよく見ると私たちの制服とは少し違って見えた。あの時は遠くからだったから見えなかっただけであり、彼女の制服は数年前に変えられた旧制服であった。
「カズさん。だよね?あの男の子がずっと呼んでた」
「はい、そうです」
ふふ、と不敵に笑って見せて私の方へ振り返った。あの時屋上で男子と掴み合っていた女子と同じ顔だった。そしてあの血で塗れたあの時の顔とも一緒だった。
「良かったわね、助けてくれる人がいて」
嫌味っぽく言う。
「確かに、あとちょっとで飛び降り自殺者の中にカウントされるところでしたよ」
「あら?知っていたのね。飛び降り自殺者は私が操っていたこと」
彼女が自殺で死んだあと多発した。飛び降り自殺。今日までで合計十八人の女子生徒が飛び降り、未然に防げたのはこの私一人だけ、そうしてわかった。あの時取り憑かれた気に感じた怒りや悲しみは今の彼女と似ていた。と言うことは彼女がこの事件の犯人ということになる。全くもって推理のかけらもない推測だが。
「なんでこんなこと?」
「うーん、なんででしょう…………でも生き残れて、私の記憶を除くいたあなたなら少しは理解しているんじゃない?」
「怒りですか?」
「ちょっと違うわ」
何をされるかわからない。もしかしたらもう一度取り憑かれて落とされるかもしれない。その時は最後だろう、だって今ここに私がいることは誰も知らないのだから。あのユキでさえも。
「恨み、ですか?あなたを自殺に追い込んでだ助けられなかった彼への復讐ということですか?」
そう言うと驚いた顔をして私に近づいてきた。
「そうかもしれないわ。確かに私が殺したのはあの時いじめていた女子どもだったわ。そうよきっとそうだわ」
さっきの不敵な笑みとは違って、心底嬉しそうに笑って見せる。
「よくわかったわね。あなた褒めてあげる、私が忘れていた目的をもう一度蒸し返してくれるなんて」
しかし腑に落ちない気持ちに私はなった。
「でもなんで?少なくとも虐めていたのなら男子も混ざっていたはず、そして復讐ならばあの男子を殺せばいいだけなのに…………」
「何よ………何が言いたいの?」
「いえ、まだわからないことだらけです。なら少し時間をくれませんか?」
「時間?」
「そうです。あなたがこうなってしまった理由、そして何に対しての復讐だったのか?それを解明してあげます。生憎、あの男子に少し心当たりがあるんです」
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