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第43話
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黙っていれば普通の大人に見えるマックスだが中身は子供並みかそれ以下である。宙艦に乗せるのはなかなかに大変だった。
メカも脳に馴染んだのか言葉もかなり操れるようになったのだが、この場合に限ってはいっそ猿ぐつわでもかませてやろうかとシドが思ったほどだ。
何にでも興味を持っていちいち訊ねる。それもボリュームがデカい。
何故か懐いて対衝撃ジャケットの袖を掴んで離さないマックスに、眩暈がしそうな思いでシドは溜息を押し殺し、今度は管制塔とパラボラアンテナの説明をし始めた。
そんなマックスだったが、キャスはそこまでの『成長』を微笑んで見守っている。医師にも短期間でここまでの回復はめざましいものがあると言われていた。事実、親身な介護の賜物なのだ。
チェックパネルをクリアしてシャトル便に乗り込み、ワープ前の薬のときには病院で慣れたのかマックスは素直に飲み、シドを安堵させた。
だがショートワープを挟んだ四十分間とテラ本星の地をようやく踏んで乗り換えたセントラルエリア行きの民間定期BELの中でも、シドはマックスと共に周囲の痛い視線を浴び続けた。
しかしこれも何もかもマックス自身のせいではないのだ。そう思うとシドもいつしか投げられる質問に熱のこもった答えを返しているのだった。
高々度を直行すれば三十分の行程だが民間定期BELではそうもいかない。低空を低速で飛び、何ヶ所もの停機場で客を乗せ降ろしながら一時間半をかけて、シドたちの自室のある単身者用官舎ビル屋上にようやく辿り着く。
屋上の風よけドームが閉まるとエレベーター前でシドはキャスとマックスのリモータに来訪者用のコードを流した。それぞれリモータチェッカにリモータを翳し、無事に乗り込んでシドたちの部屋のある五十一階で降りる。
取り敢えずハイファ以外はシドの部屋で一息ついた。マックスも病み上がりで疲れたのだろう、静かにソファに座っている。
咥え煙草でシドがコーヒーを淹れていると微妙に着替えたハイファが帰ってきた。
「セントラル・リドリー病院の脳外科、病室取れてるからね。生憎、特別室は空きがなかったんで悪いんだけど一応二人部屋でベッドは両方押さえたから」
「ううん、そこまでさせてごめんなさい。本当に有難いわ」
「どういたしまして。今日から入れるからね。荷物で不要なものは預かるし要るものがあれば何でも言って。ここは僕らのホームだから」
「助かるわ。じゃあ荷物を少し置かせて貰うわね」
人数分のコーヒーカップが載ったトレイをロウテーブルに置いてシドが仕切る。
「これ飲んだら、早速だが行こうぜ。今、十時半過ぎ……検査予約何時だって?」
「十一時半。イヴェントストライカのことだから、もしかしたら午後になるかもって、言ってはあるけどね」
「おーまーえー、そこでそれを言うか?」
「や、平和で長ーい夜は終わったんだって認識、しといた方がいいと思って」
ムッとしてシドは一人キッチンの椅子に前後逆に腰掛け煙草の灰を生産し続けた。
カップを干してしまうと一堂はシドの部屋を出、エントランス脇に何台も駐まっている無人コイルタクシーの一台に乗り込む。ハイファが座標指定しタクシーは発進した。外は陽光が燦々と降り注ぎ、暗さに慣れた目が痛いくらいだった。
七分署管内のセントラル・リドリー病院へはコイルで十分も掛からない。いつもなら歩いてゆく距離だがマックスの体調を考えて当然タクシー利用だ。
「こんな大都市でいつも仕事してるのね」
コイルの窓から周囲の超高層ビル群を仰ぎ見て、キャスが呟いた。
「そっちはどんな所なんだ?」
「テレーザガーデンズからコイルで二時間くらいの田舎よ。大きな建物っていったら署も入ってる合同庁舎だけ。見ものは古い教会と大規模農園、AD世紀の遺物博物館てとこかしら。ただ管轄が広いから事件発生率だけ見ればよそとあまり変わらないわね。広くて駆け付けるまでが大変なくらいかしら」
「ふうん、環境は良さそうだな」
その古い教会で式を挙げるつもりだったのだろうかと思いながら、シドはそれ以上訊くのをやめにする。バディとしてのマックスを失ってキャスが今後も警察官を続けていくかどうかも分からない。まだ本人にも判断などつきかねていることだろう。
「キャス、マックス。あそこの病院だ」
「わあ、大きい!」
「見ての通りこの辺では低いんだが五階が救命救急で直接BELも入れるようになってる。俺たちの務める七分署管内だし安心して療養に励んでくれ」
「イヴェントストライカのシドは常連の顔馴染みだしね」
「お前ハイファ、しつこいぞ」
「だって本当のことだもん」
「ふん。七分署ではお前、『イヴェントストライカ・ザ・セカンド』だって噂になってるのを知ってて言ってるのか?」
「げーっ、何それ? 酷すぎる。事実無根もいいとこ、何たる汚辱的誤解!」
「そこまで俺を貶めたいナニかが、いったいお前の何処にあるんだろうな」
聞いていたキャスが久しぶりにクスッと笑う。慣れない土地での興奮もあるのか、だが笑顔に地元組二人は少々の安堵をした。
やがてタクシーはセントラル・リドリー病院の車寄せに停止、接地する。
受付センターで予約患者だと告げて検索をかけて貰い、予約コードをマックスのリモータに受けてから目的の脳外科に上がるべくエレベーターホールに向かった。
皆でぞろぞろとリモータチェッカをクリアする。
やってきたエレベーターはエアが抜けるシュッという微かな音を立てて、一枚に見える金属板にスリットが入り分かれて開く。四人は乗り込み七階で降りた。
「さすがに街の病院とは全然違うわね。ちょっと気軽にかかれる雰囲気じゃないわ」
「そうでもないよ。システムが上手く機能してるから整然として見えるけど、中には風邪の人も、腰が痛いおばあちゃんもいる。イヴェントストライカに撃たれたタタキもね」
言ってしまってから黒い瞳に気付かないフリ、ハイファは案内人の務めを果たす。
「そこの受付でマックスが貰った予約コード、流して」
「分かったわ、これね。……マックス、リモータをこうして押すのよ」
十一時半きっちりまで待たされたものの、それからは検査に次ぐ検査でマックス本人と付き添いのキャスは大忙しとなった。邪魔でしかないシドとハイファは荷物を預かり、同じ七階にある喫茶室でヒマ潰しだ。
組み上げられたプログラムをスムーズにこなしたらしく、シドのリモータにキャスからの発振が入ったのは十二時を僅かに過ぎた頃だった。クレジット精算し喫茶室を出て二人が診察室の方に向かうと途中でキャスたちに会う。看護師が一人付き添っていた。
「このまま病室ですって。検査結果は午後の回診のときには出るらしいわ」
「そうか。マックスも疲れただろうし、寝てた方がいいだろ」
無言でこくりと素直に頷いて見せた今のマックスには、刑事の時の精悍さは何処にも見当たらず、病み衰えてしまった体と常に茫洋と眠たげな灰色の瞳を見るのは、やはりシドにとってもつらかった。キャスは尚更だろう。
運動は必要不可欠だろうが、いっそ眠っていてくれる方が有難いと思ってしまうのも仕方ないことではあった。
ともあれマックスとキャスは無事に七〇八号室の住人となった。
昼食から配膳されるというのでシドたちは一度外に出る。回診時には間に合いたいので遠出はせず、近くのファストフード街でランチを済ませることにした。
病院の一番近くにある店に迷わず入りハンバーガーとポテトにコーヒーというお決まりのセットのトレイを手に窓際のカウンターのスツールに並んで腰掛けた。
相変わらず外は燦々と初夏の日差しが降り注いでいる。
「幾ら何でも、コペルニクス的転回でパッと良くなることはないよね」
ポテトをつまみながらハイファが言った。
対してシドはハンバーガーを咀嚼し飲み込んで、だが吐き出すように言い放った。
「ときどき胸ぐら掴んでぶん殴ってやりたい衝動に駆られるぜ。『いつまでも隠れてんじゃねぇぞ、いい加減に出てきやがれ』ってな」
ハイファはそれに同調して頷く。
「んー、何かそれ解る気がするよ。いなくなった筈なのに、いる気がしちゃうんだよね。一度デリートしたデータがやり方によってはサルベージできちゃったりするみたいに、もしかしたら脳っていうコンの中の何処かに残ってるんじゃないかって」
紙コップの熱いコーヒーを飲みながらシドは思いを口にする。
「記憶って何なんだろうな。マックスはマックスとして存在してるのに、あれは俺が知ってる奴じゃねぇんだ。勝手に人生リセットして、置いてきぼり食ったのはこっちの方だ」
頷きながらハンバーガーの欠片を呑み込んでハイファは頷く。
「キャスは新たに元の高さまで地道に積み上げていくつもりみたいだけどね」
「全く頭が下がるな。もうすぐ腹の子の心配もしなきゃならねぇのに女は強いよな」
「女はっていうか、貴方がもしああなったら僕もキャスと同じ行動を取ると思うよ」
「同じってか、お前の場合は俺を都合良く調教するんだろ」
「あ、バレた? 光源氏・異聞とかサ」
「お前の紫の上になって人生台無しにならねぇよう、せいぜい気をつけねぇと」
「台無しって……酷いなあ。大事にするよ?」
「ふん。まあ、何処かの星に流される時には俺も連れて行けよな」
「自分だったら独りで行って、明石の上と宜しくするんじゃないの?」
「そっ、そんなことは……ねぇぞ? お前は俺で遊ぶ気だろ。この変態」
「何とでも。今からでも誰もいない星に行ってあーんなコトやこーんなコトを――」
うっとりとした目つきのハイファをシドは冷ややかに横目で見る。
「腐れた妄想してんじゃねぇよ、さっさと食え。病院に戻るぞ」
煙草代わりにコーヒーのスプーンを咥えたシドは結局一本も吸わず席を立ち、ハイファと共に足早に病院へと戻った。
メカも脳に馴染んだのか言葉もかなり操れるようになったのだが、この場合に限ってはいっそ猿ぐつわでもかませてやろうかとシドが思ったほどだ。
何にでも興味を持っていちいち訊ねる。それもボリュームがデカい。
何故か懐いて対衝撃ジャケットの袖を掴んで離さないマックスに、眩暈がしそうな思いでシドは溜息を押し殺し、今度は管制塔とパラボラアンテナの説明をし始めた。
そんなマックスだったが、キャスはそこまでの『成長』を微笑んで見守っている。医師にも短期間でここまでの回復はめざましいものがあると言われていた。事実、親身な介護の賜物なのだ。
チェックパネルをクリアしてシャトル便に乗り込み、ワープ前の薬のときには病院で慣れたのかマックスは素直に飲み、シドを安堵させた。
だがショートワープを挟んだ四十分間とテラ本星の地をようやく踏んで乗り換えたセントラルエリア行きの民間定期BELの中でも、シドはマックスと共に周囲の痛い視線を浴び続けた。
しかしこれも何もかもマックス自身のせいではないのだ。そう思うとシドもいつしか投げられる質問に熱のこもった答えを返しているのだった。
高々度を直行すれば三十分の行程だが民間定期BELではそうもいかない。低空を低速で飛び、何ヶ所もの停機場で客を乗せ降ろしながら一時間半をかけて、シドたちの自室のある単身者用官舎ビル屋上にようやく辿り着く。
屋上の風よけドームが閉まるとエレベーター前でシドはキャスとマックスのリモータに来訪者用のコードを流した。それぞれリモータチェッカにリモータを翳し、無事に乗り込んでシドたちの部屋のある五十一階で降りる。
取り敢えずハイファ以外はシドの部屋で一息ついた。マックスも病み上がりで疲れたのだろう、静かにソファに座っている。
咥え煙草でシドがコーヒーを淹れていると微妙に着替えたハイファが帰ってきた。
「セントラル・リドリー病院の脳外科、病室取れてるからね。生憎、特別室は空きがなかったんで悪いんだけど一応二人部屋でベッドは両方押さえたから」
「ううん、そこまでさせてごめんなさい。本当に有難いわ」
「どういたしまして。今日から入れるからね。荷物で不要なものは預かるし要るものがあれば何でも言って。ここは僕らのホームだから」
「助かるわ。じゃあ荷物を少し置かせて貰うわね」
人数分のコーヒーカップが載ったトレイをロウテーブルに置いてシドが仕切る。
「これ飲んだら、早速だが行こうぜ。今、十時半過ぎ……検査予約何時だって?」
「十一時半。イヴェントストライカのことだから、もしかしたら午後になるかもって、言ってはあるけどね」
「おーまーえー、そこでそれを言うか?」
「や、平和で長ーい夜は終わったんだって認識、しといた方がいいと思って」
ムッとしてシドは一人キッチンの椅子に前後逆に腰掛け煙草の灰を生産し続けた。
カップを干してしまうと一堂はシドの部屋を出、エントランス脇に何台も駐まっている無人コイルタクシーの一台に乗り込む。ハイファが座標指定しタクシーは発進した。外は陽光が燦々と降り注ぎ、暗さに慣れた目が痛いくらいだった。
七分署管内のセントラル・リドリー病院へはコイルで十分も掛からない。いつもなら歩いてゆく距離だがマックスの体調を考えて当然タクシー利用だ。
「こんな大都市でいつも仕事してるのね」
コイルの窓から周囲の超高層ビル群を仰ぎ見て、キャスが呟いた。
「そっちはどんな所なんだ?」
「テレーザガーデンズからコイルで二時間くらいの田舎よ。大きな建物っていったら署も入ってる合同庁舎だけ。見ものは古い教会と大規模農園、AD世紀の遺物博物館てとこかしら。ただ管轄が広いから事件発生率だけ見ればよそとあまり変わらないわね。広くて駆け付けるまでが大変なくらいかしら」
「ふうん、環境は良さそうだな」
その古い教会で式を挙げるつもりだったのだろうかと思いながら、シドはそれ以上訊くのをやめにする。バディとしてのマックスを失ってキャスが今後も警察官を続けていくかどうかも分からない。まだ本人にも判断などつきかねていることだろう。
「キャス、マックス。あそこの病院だ」
「わあ、大きい!」
「見ての通りこの辺では低いんだが五階が救命救急で直接BELも入れるようになってる。俺たちの務める七分署管内だし安心して療養に励んでくれ」
「イヴェントストライカのシドは常連の顔馴染みだしね」
「お前ハイファ、しつこいぞ」
「だって本当のことだもん」
「ふん。七分署ではお前、『イヴェントストライカ・ザ・セカンド』だって噂になってるのを知ってて言ってるのか?」
「げーっ、何それ? 酷すぎる。事実無根もいいとこ、何たる汚辱的誤解!」
「そこまで俺を貶めたいナニかが、いったいお前の何処にあるんだろうな」
聞いていたキャスが久しぶりにクスッと笑う。慣れない土地での興奮もあるのか、だが笑顔に地元組二人は少々の安堵をした。
やがてタクシーはセントラル・リドリー病院の車寄せに停止、接地する。
受付センターで予約患者だと告げて検索をかけて貰い、予約コードをマックスのリモータに受けてから目的の脳外科に上がるべくエレベーターホールに向かった。
皆でぞろぞろとリモータチェッカをクリアする。
やってきたエレベーターはエアが抜けるシュッという微かな音を立てて、一枚に見える金属板にスリットが入り分かれて開く。四人は乗り込み七階で降りた。
「さすがに街の病院とは全然違うわね。ちょっと気軽にかかれる雰囲気じゃないわ」
「そうでもないよ。システムが上手く機能してるから整然として見えるけど、中には風邪の人も、腰が痛いおばあちゃんもいる。イヴェントストライカに撃たれたタタキもね」
言ってしまってから黒い瞳に気付かないフリ、ハイファは案内人の務めを果たす。
「そこの受付でマックスが貰った予約コード、流して」
「分かったわ、これね。……マックス、リモータをこうして押すのよ」
十一時半きっちりまで待たされたものの、それからは検査に次ぐ検査でマックス本人と付き添いのキャスは大忙しとなった。邪魔でしかないシドとハイファは荷物を預かり、同じ七階にある喫茶室でヒマ潰しだ。
組み上げられたプログラムをスムーズにこなしたらしく、シドのリモータにキャスからの発振が入ったのは十二時を僅かに過ぎた頃だった。クレジット精算し喫茶室を出て二人が診察室の方に向かうと途中でキャスたちに会う。看護師が一人付き添っていた。
「このまま病室ですって。検査結果は午後の回診のときには出るらしいわ」
「そうか。マックスも疲れただろうし、寝てた方がいいだろ」
無言でこくりと素直に頷いて見せた今のマックスには、刑事の時の精悍さは何処にも見当たらず、病み衰えてしまった体と常に茫洋と眠たげな灰色の瞳を見るのは、やはりシドにとってもつらかった。キャスは尚更だろう。
運動は必要不可欠だろうが、いっそ眠っていてくれる方が有難いと思ってしまうのも仕方ないことではあった。
ともあれマックスとキャスは無事に七〇八号室の住人となった。
昼食から配膳されるというのでシドたちは一度外に出る。回診時には間に合いたいので遠出はせず、近くのファストフード街でランチを済ませることにした。
病院の一番近くにある店に迷わず入りハンバーガーとポテトにコーヒーというお決まりのセットのトレイを手に窓際のカウンターのスツールに並んで腰掛けた。
相変わらず外は燦々と初夏の日差しが降り注いでいる。
「幾ら何でも、コペルニクス的転回でパッと良くなることはないよね」
ポテトをつまみながらハイファが言った。
対してシドはハンバーガーを咀嚼し飲み込んで、だが吐き出すように言い放った。
「ときどき胸ぐら掴んでぶん殴ってやりたい衝動に駆られるぜ。『いつまでも隠れてんじゃねぇぞ、いい加減に出てきやがれ』ってな」
ハイファはそれに同調して頷く。
「んー、何かそれ解る気がするよ。いなくなった筈なのに、いる気がしちゃうんだよね。一度デリートしたデータがやり方によってはサルベージできちゃったりするみたいに、もしかしたら脳っていうコンの中の何処かに残ってるんじゃないかって」
紙コップの熱いコーヒーを飲みながらシドは思いを口にする。
「記憶って何なんだろうな。マックスはマックスとして存在してるのに、あれは俺が知ってる奴じゃねぇんだ。勝手に人生リセットして、置いてきぼり食ったのはこっちの方だ」
頷きながらハンバーガーの欠片を呑み込んでハイファは頷く。
「キャスは新たに元の高さまで地道に積み上げていくつもりみたいだけどね」
「全く頭が下がるな。もうすぐ腹の子の心配もしなきゃならねぇのに女は強いよな」
「女はっていうか、貴方がもしああなったら僕もキャスと同じ行動を取ると思うよ」
「同じってか、お前の場合は俺を都合良く調教するんだろ」
「あ、バレた? 光源氏・異聞とかサ」
「お前の紫の上になって人生台無しにならねぇよう、せいぜい気をつけねぇと」
「台無しって……酷いなあ。大事にするよ?」
「ふん。まあ、何処かの星に流される時には俺も連れて行けよな」
「自分だったら独りで行って、明石の上と宜しくするんじゃないの?」
「そっ、そんなことは……ねぇぞ? お前は俺で遊ぶ気だろ。この変態」
「何とでも。今からでも誰もいない星に行ってあーんなコトやこーんなコトを――」
うっとりとした目つきのハイファをシドは冷ややかに横目で見る。
「腐れた妄想してんじゃねぇよ、さっさと食え。病院に戻るぞ」
煙草代わりにコーヒーのスプーンを咥えたシドは結局一本も吸わず席を立ち、ハイファと共に足早に病院へと戻った。
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