最優先事項~Barter.4~

志賀雅基

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第24話(BL特有シーン・回避可)

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 言いつつ霧島は自分も衣服を脱ぎ捨てて全てを晒す。
 京哉は霧島に這い寄り押し倒すと脚の間で反りかけたものを掴んだ。腹這いになって濃厚に舌を這わせ舌を差し込んで刺激し育ててゆく。

 手でも扱くと愛しい男の蜜が滲み溢れ出すまであっという間だった。霧島は切れ長の目を眇め息を荒くして見下ろしている。京哉は既に成長した霧島に頬ずりをし大きく口を開けてそれを咥えた。

「うっ……くっ!」

 温かな口内に咥え込まれ舌先で巧みに攻められて、霧島はあられもなく甘い声を出してしまいそうになり喉の奥で押し殺す。京哉の白い顔と赤い唇に咥えられた己のものの取り合わせは淫らで目が離せない。視覚的にも霧島は追い詰められた。

「くっ、京哉……最初からその舌づかいは卑怯だぞ」
「だって、ん、いっぱい溢れて……忍さんが美味しいんだもん」

 わざと音を立てて蜜を舐め啜られ、霧島は全身の血がそこに集まってしまったように感じていた。あまりの快感に腰を突き上げたくて堪らなくなる。

 霧島は脚を突っ張って耐えた。だがそんな時こそ京哉は嬲るように霧島を焦らしだす。舐めしゃぶっては口を離し、手で扱いてはまた濃厚に舌を巻きつけた。

「京哉、頼む……もう、許してくれ……あっ、ふ!」
「いいから忍さん……いって。っん、思い切り出して下さい」
「くうっ……もう、本当にだめだ……出すぞ……あうっ!」

 灰色の目が湛えた情欲と躰の変化で察した京哉は限界まで深く咥え込み、幾度も身を震わせて霧島が迸らせた熱く濃いものを喉にぶつけられ嚥下する。

「すまん、京哉。そんなものは吐き出せといつも言っているだろう」
「僕が欲しかったんですから謝らないで下さい」

 京哉の長めの前髪にそっと指先で触れてかき分けた手を掴まれる。そのまま京哉は仰臥すると細い脚を広げて自ら躰を開いた。掴んだままの霧島の右手指を口に含んで唾液で濡らす。
 そしてその手を自分の窄まりへと導いた。

「忍さん……この指でして。いつもみたいに掻き回して下さい」
「それはいいが、京哉、お前どうかしたのか?」
「どうもしませんよ。貴方の長い指でされたいだけ……ねえ、お願い」

 もしかしたら『リボ払い』かとも考えたが、ふいに思い至って霧島は訊く。

「京哉。お前、パーティーで何杯飲んだ?」
「ワイン八杯くらいで酔いませんよっ!」

 なるほど、この積極性はそれかと霧島は溜息をついた。だがいつもと趣の違う京哉は新鮮かつ非常な色気を感じさせ、これもまた良しで攻め甲斐があるというものだ。

「ならば思い切り鳴かせてやるから、覚悟していろ」

 霧島は中指の先で京哉の淡い色づきを嬲ったのちに挿入し、するすると奥まで届かせた。そうして知り尽くしたポイントを擦り上げる。
 途端に京哉は白く細い躰を仰け反らせて甘く高く鳴いた。

「ああんっ、はぁん! 忍さん、そこ、いい――」
「ここも、こっちもだろう?」
「いい、すごい……ああん、もっと……忍さん、ああっ!」

 これだけの声は室外にも洩れていそうだが京哉の口を塞ぐ訳にもいかない。腹を括ると言葉通りに思い切り鳴かせてやると決め、指を増やして入り口を緩めだす。すると絡みつく粘膜のきつさに今すぐ貫き征服してしまいたい想いで霧島は揺れ始めた。

 もはや京哉は細い腰を前後させていたが淫ら極まりなくも白い躰の美しさに遜色はない。霧島の中で愛しい身を苛め抜いてやりたい思いが首をもたげた。

「もう、いいから忍さん、貴方の太いので犯して下さい!」
「ああ、私も我慢できそうにないな」

 巻き付く粘膜から霧島が指を全て抜くと京哉は自分からシーツに仰臥して再び躰を開いた。その膝を立てて開いた細い脚を更に押し広げ霧島は割って入る。

「京哉、埋めるぞ」
「ん、きて……あっ、あっ、太いよ……ああんっ!」
「くっ、京哉、我慢……してくれ――」

 あれだけ馴らしたのが嘘のように京哉はきつく狭かった。それでも我慢の限界に達した霧島は腰の動きを止めることができず、捩じ込むように貫いてしまう。
 霧島自身にも痛みが走ったのだ、京哉はもっと痛かった筈である。それでも耐えてくれた年下の恋人が愛しい。

 京哉は目に零れそうな潤みを湛えて霧島に小さく頷いて見せた。

「分かった。だが少しでいい、力を抜いてくれ」
「無理、です……そのまま掻き回して、僕にもっと下さい!」

 せがみながら京哉は淫らな悪戯を仕掛けてくる。

 もう霧島も本当に我慢ができなかった。頑丈なセミダブルベッドが軋むほどに白い躰を揺らし始める。折れてしまいそうな華奢な身を犯し蹂躙する快感は霧島の男としての征服欲を煽り立てた。

「あぁん、はぅんっ! すごい、忍さん、激しい!」
「くっ、あ……京哉、最高だ、京哉!」

 激しすぎる行為は鋭い快感に二人を投げ落とし、まだ一度も達していない京哉を一気に昂ぶらせた。悲鳴のような高い喘ぎを洩らす。

「ああっ、だめ、いく……出ちゃうよ、あふっ!」
「京哉、私も……くうっ――」

 身を震わせ京哉は自分の胸に掛かるほどの勢いで放った。同時にきつく締めつけられた霧島も達しそうになり京哉の胸にぶちまけ汚す。涙が零れそうな顔をした京哉は微笑み、自分と愛しい年上の男の溢れさせたものを混ぜて我が身に擦りつけた。

 だが互いにこれで終わりと思っていない。いつものことながら二度放ってなお霧島は太く硬く滾らせてしまっている。京哉が息つく間もなく霧島が再び宣言した。

「ここからだからな。入れるぞ」

 反り返ったものを押し下げ突き入れられ、京哉は太すぎる切っ先で快感を抉り出されて幾度も失神しそうになっては、また快感で意識を呼び戻された。
 見上げると怜悧さを感じさせる顔を少し歪め、前髪から汗を滴らせて攻める霧島が色っぽくて何度目かの昂ぶりを迎える。

 明日のことを考えるとこれ以上は危ないと京哉は頭の片隅でチラリと思ったが、我が身にのめり込む年上の男を見ると灰色の目に切なさを溜めていて、とてもではないが今回は背中を引っ掻くなどという所業には及べなかった。

 それでも抱き締められて正面から攻められると、その背にしがみついて爪を立てずにいられない。やがては何もかもを忘れ果てる。
 自分から霧島の匂いがして嬉しい。

 二人とも理性をとばして京哉はせがみ、霧島は応えて、もう何度いったか互いに分からなくなった頃、振り絞るように達した京哉は眩暈を感じて目を瞑った――。
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