Even[イーヴン]~楽園10~

志賀雅基

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第35話(BL特有シーン・回避可)

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 深く濃く舌で探り合ううちにシドは胸の奥に抑えようもない欲望が急激に膨れ上がるのを感じる。思わず細い躰を地面に押し倒した。

 ハイファの両手首を両手で掴んで顔の横で縫い止める。更にキスを奪った。

「ん、んんっ……ぅうん……はぁん」

 手を離すと驚いて目を丸くしているハイファの腰の弾帯を外し、上衣のジッパーを引き下げる。強引に袖を抜かせTシャツを引き剥がした。
 白く滑らかな肩口に顔を埋める。きめ細かい肌を強く吸い上げ幾つも赤い印を刻んだ。

「あっ……んっ、シド……こんな、所で」
「お前が欲しい、今すぐだ。待てない」
「い、や……あ、ふ……ああんっ」

 華奢な鎖骨から首筋のラインを舐めねぶられ、鎖骨を甘噛みされてハイファの弱々しい抵抗は甘い喘ぎに変わった。素肌をくまなく愛撫されキスの雨を降らされると、ぼんやりと霞んだ思考はシドの肌を求めてやまなくなる。

「僕も貴方に……んっ、触りたい」

 草や木々が濃く青い香りを放つ中、下から手を伸ばしてもどかしく対衝撃ジャケットと上衣の前をまさぐる。その手を留めたシドは素早く自分で脱ぎ、上体を晒した。
 
 再び胸を絡め合うとハイファはシドの象牙色の肌に酔う。

「……はあっ……あっ……あんっ」

 逞しい胸から引き締まった腹へと指を這わせた。なまめかしい感触にシドが呻く。

「うっ……ぁあ……くっ」

 互いの肌を堪能しながらハイファの膝を割ったシドは下半身同士を緩やかに擦りつけた。もう戦闘ズボンの上からでも分かるくらいに二人とも成長させている。

 シドの重みを全身で受け止めながらハイファも腰の疼きに堪えきれず下半身を揺らめかせていた。木漏れ日の中、見上げた愛し人の端正な顔は酷く切なげで色っぽい。

「んっ……あっ、シド……ああっ」

 もはや我慢ができずに二人は互いのベルトを緩め、ジッパーを下ろして痛いほどに張り詰めたものを解放する。ハイファが上体を僅かに起こして膝立ちのシドの腰を抱いた。
 熱く滾ったものに手を添えて口を寄せる。

「……あっ、う……くっ!」

 先端に舌を差し込まれ、敏感なくびれを柔らかな舌でなぞられて、シドの思考はフラッシュを焚いたように一瞬で真っ白になった。堪えようもなく喘ぎを洩らす。

 太い茎にも舌を這わせたハイファは熱く硬いものを深く咥え込んだ。きつく挟んだ唇と口腔粘膜で何度も扱き上げる。

「ああっ……くっ、う……ハイファ!」
「ぅうん、んっ……んんっ、んっ」

 ハイファの舌づかいに全てを支配されたシドは腰を突き上げてしまわないよう耐えるのに精一杯、荒い息をつく自分が声を出してしまっていることにも気付かない。

 一方、こんな所で愛し人のものを舐めしゃぶるという行為がハイファ自身をも刺激して、絶え間なく喘ぎを洩らさせていた。

「ううっ……ハイファ、もう……だめだ」
「……んっ、んんっ……ぅうん……はあっ」

 更にシドが変化したのを察してようやくハイファはシドを口から出す。追い詰めてしまわないようにそっと手で扱くと先端から溢れ出た透明の蜜を舌ですくい取った。
 ピチャピチャと音を立てて舐める。

「うっ……ハイファ、今度はお前だ」

 敷いたポンチョの上に素直に横になったハイファの下衣をシドは全て剥ぎ取った。柔らかな日差しの中、露わになった白く細い躰が恥ずかしげに波打つ。
 それは酷く蠱惑的でシドの嗜虐心を煽った。

 その腹に糸を引いて零れた蜜を指に絡めると、細い脚をやや強引に大きく広げさせる。後ろの淡い色づきを晒させ指を潜り込ませた。

「んんっ……あっ、あっ……はうっ!」

 ちぎらんばかりに締め付けてくるそこをゆったりと掻き混ぜながら深く挿入する。根元まで挿し込み深爪した指先で内襞を擦り上げた。幾度も掻き回しては指を増やしてゆく。

「ああっ、シド……あっ、ぅうんっ!」

 あられもない喘ぎが高くなり、葉擦れに粘膜の立てる音が混じり出すとシドは指を抜いた。

 湿気った土の匂いがする中で下衣を脱ぎ捨て、細い両脚を肩に担ぐようにして、ほぐしたハイファの後ろに己の滾ったものをあてがう。目で問うとハイファは小さく頷いた。

「あっ、はあっ……あうっ、はぅんっ!」

 浅く速い呼吸に合わせて少しずつ挿入したが、圧倒的な太さの熱い楔が芯まで到達する間、ハイファは悲鳴のような喘ぎを何度も苦しげに洩らした。

「動いて、いいか?」

 涙を溜めて瞠られた若草色の瞳が頷く。シドはずるりと己のものを引き出すと思い切り引き裂くように貫いた。途端に湧いた鋭い快感に、二人の理性は瞬時に飛ぶ。

「あっ、ふ……いい、もっと――」
「そんなに、くっ……煽るな……壊しちまう」
「いいから……壊して……ああんっ!」

 何もかも、ハイファ以外の全てがシドの心から消え去った。離れてしまう寸前まで引き抜いては、また腰を突き上げて根元までを埋める。激しく躰同士をぶつけるように、ちぎれそうなくらいにこじ開け続けた。神々しいまでに美しいハイファを汚し尽くしてしまいたかった。

 細い躰を大きく揺らされながらハイファはあまりの快感に気が遠くなりかけ、粘膜をこね回されては意識を引き戻される。シドの背に回した指が爪を立てた。

「もう、だめ……いく、いっちゃう……あうっ!」
「……くっ……ぁあっ……ぅうっ!」

 更に張り詰めさせたシドに体内をずぶ濡れにされるのを感じながら、ハイファも自身の腹から胸にかけて白濁を飛び散らせていた。涼しい空気が力の抜けた躰を冷ましてゆく。

 何も考えられない数秒ののちにシドはハイファの上衣からポケットティッシュを出すと、ハイファの躰を綺麗に拭ってやった。手を貸して互いに衣服を身に着ける。

 動けないハイファを腕枕しシドも仰向けになった。木々の葉に囲まれた空が青い。

「うーん、貴方って油断も隙もないよね」
「今更、お互い様だろ」
「仰せの通りでゴザイマス。……もう少し眠ろうかな。こうしていてくれる?」
「ああ。ずっと傍にいる。心配するな」

 リモータのアラームをセットして二人は目を瞑る。
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