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第11話
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「こら、タマ、囓るな……痛てて!」
「ああっ、血が出てる! このバカ猫、シドに何すんのサ!」
「ハイファ、お前も撃つな、朝から猫のミンチは見たくねぇっ!」
こうして相変わらずの、けたたましい朝は六時四十五分から始まった。
朝はカリカリ、夜は猫缶と決めていて、仕方なくシドは起き出しタマにカリカリをやってからベッドに舞い戻る。ハイファは上体を起こしたまま機能停止し、じっとシーツの一点を見つめていた。そんなハイファをシドは襲った。
「なあ、ハイファ……昨日の続き、しようぜ」
と、のしかかろうとした途端ハイファがすっくと立ち上がり、シドは空振りしてベッドに倒れ込む。そんな愛し人をチラリと見ただけでハイファは寝室から出て行ってしまう。
「さあて、朝ご飯は何作ろうかな。あ、傷はちゃんと処置してよね」
スキップしながら去るハイファの背を見送ったシドはファーストエイドキットを出し、足の引っ掻き傷に生温かい滅菌ジェルを垂らして乾いてから合成蛋白スプレーを吹きつけた。
ファーストエイドキットをしまうとキッチンに出て行って、まずは煙草を咥えオイルライターで火を点けた。まだ七時だ、溜息が出る。
「分かってる? 今日の午後から別室任務&マフィアのドンと姐さんなんだからね」
「あー、そういうのもあったか。くそう、俺の傷病休暇を返せ!」
「昨日はいやに乗り気だったのに、いきなりどうしちゃったのサ?」
ボウルに卵を割り入れながらハイファが笑った。
「別室が絡むとロクなことがねぇからな」
「うーん、確かにね」
「別室員が何言ってやがるんだ」
「だって貴方と組んでからの任務って予測不能なんだもん。パンケーキでいい?」
「パンケーキに三毛猫のソテー……こら、やめろってタマ!」
本気で猫と格闘し始めるのを見て、ハイファは呆れてキャリーバッグを指す。
「あーたの足が骨になる前にマルチェロ先生に預けに行ってきて」
「アイ・サー」
煙草二本で脳ミソを固めたシドは寝室で綿のシャツとコットンパンツに着替え、キッチンでハイファからタマの好物である竹輪の欠片を貰って、タマをキャリーバッグに誘い込んだ。
本日出勤の隣人は起きていて、ボサボサ頭を掻き回しながらキャリーバッグを受け取ってくれた。隣家には既に猫グッズ完備で身柄を引き渡すだけである。
「気を付けて、俺が猫ラーメンを食いたくなる前に帰ってくるんだぞ」
マルチェロ医師とラフな敬礼で別れ、部屋に戻ると朝食の用意が整っていた。
「おっ、旨そうだな。いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
メニューはパンケーキのメープルシロップがけにほうれん草と厚切りベーコンのソテー、ポタージュにハム野菜サラダとコーヒーだった。旺盛な食欲で全てのプレートを空にしてしまうと二人で簡単に片付けて煙草タイムだ。またニュースを視ながらボーッとして過ごす。
二杯目のコーヒーを飲みながらハイファが不機嫌そうな声を出した。
「うーん、それにしたって僕が姐さんかあ。困ったなあ」
「何が困るんだ?」
「あのね、僕は男なんです。そりゃあ貴方は地のままでもマフィアのドンなら簡単だろうけど」
「地のままってどういう意味だよそれは……っと、朝から客か?」
玄関チャイムで二人して立つ。モニタパネルを見ると宅配業者が出入り業者の証明書を翳していた。ロックを解くと宅配業者のお兄さんは笑顔で定型句を口にする。
「いつもにこにこ、ネコさんマークのタマト宅配便をご利用有難うございます!」
受取票にシドがサインすると洗い立てのスニーカーのような爽やかな笑みでお兄さんは去って行った。残されたのは大きな段ボール箱がひとつ。大きさの割に軽いそれをキッチンに運ぶと送り主を見る。『ミスカトニック大学水泳部』とあった。
「またこの手口かよ。別室の誰か知らねぇが、ふざけんじゃねぇって」
タマだって積極的に連れ帰ったのではなく箱詰めで送ってきたのだ。その時の送り主は『パラケルスス錬金術師協会』だった。別室の誰だか知らないが呑み場のノリだけで決めているとしか思えない。
シドが叫ぶ一方でハイファがどんよりと暗い声で呟く。
「ひしひしと嫌な予感がするよー」
だが置いておくのも気持ち悪く、ハイファは思い切り良くガムテープを剥がした。中から出てきたのは衣服で上の方にはサイズ的にシドのものであろうスーツや靴までが詰め込まれている。どれも上質の生地でオーダーメイド品だと分かるものだった。
そして下の方には緑色の、これも上等な生地を使用したスカートスーツにヒールの低いパンプス、化粧品や銀の髪留めや何と胸パットまでが入っていて、シドはにこにこするのを何とか抑え、ポーカーフェイスを努めて維持し続ける。
一方のハイファはこの段階でもう一抜けしたくなっていた。このスカートスーツを自分が着て化粧までしなければならないことに暗澹たる思いを抱くと同時に、シドの任務へのモチベーションを下げないこのタイミングに、改めて室長ユアン=ガードナーの手腕に畏れを抱く。
「じゃあ、さっさと着替えて病院に行くか」
「『行くか』じゃないよ。こんなモノを着てあそこに行ったら大騒ぎになっちゃうよ。みんな僕らのことを知ってるんだから」
「それもそうだな。なら着替えて宙港で落ち合う。それでいいか?」
非常に良くない気がしていたが、それ以外に手はなかった。主夫ハイファはまず冷蔵庫の食材をフリーズドライやパウチに加工し始める。
食材を傷めるのは主夫として許されざることなのだ。そうしながらも器用にリモータ操作してアプリの十四インチホロスクリーンを起動、映したポラをシドにも見せる。
「ねえねえ、これ見てよ。死んだライナルト=ドラレスと奥さんのソフィーヤだよ」
「げっ、マジで俺たちに似てやがるな」
ドラレスファミリーのドンと姐さんは髪も瞳の色もシドとハイファ酷似していた。角度によってはそっくりと云える。ハイファとソフィーヤの身長差はともかく体格も似たようなもので、これは確かにオニール代貸が『天の配剤』などという訳だった。
「さてと、終わったから準備してくるね」
そう言ってハイファは自室に帰っていった。シドも遠出の準備だが衣装一式は送られてきたので簡単な着替えだけ出してソファに置く。煙草のパッケージも幾つか重ねて、その上に署の武器庫から持ち出していた、針のようなフレシェット弾三百発入りの小箱も置いた。
それからリフレッシャを使い、寝室で送られてきた服に袖を通す。
ランプブラックのドレスシャツにロイヤルブルーの石が嵌ったカフスを着け、ガンブルーに銀糸の刺繍で縦にラインを入れたタイを締める。バーントアンバーのスラックスに執銃して大腿部のバンドを締めジャケットを着れば、あとは対衝撃ジャケットを持って出るだけだ。
そこでシドはオニール氏にリモータ発振して、宙港に先に行くことを告げて了解を得る。キッチンで煙草を吸っているとハイファが戻ってきた。
「遅かったな」
「銃を分解清掃してきたから……って、ちょっとシドってば、カッコいい~っ!」
「窮屈なだけだが、まあ、そうか?」
「何処から見たってマフィアの若きドンだよぅ!」
「どう突っ込んでいいのか分からねぇんだがな」
喋りながらもハイファは担いできたショルダーバッグにシドの着替えや煙草に予備弾などを詰め込んだ。これにはハイファの着替えの他、愛銃テミスコピーの九ミリパラも予備弾として詰め込まれているので見かけよりも随分重たい。
更にハイファはベルトに二本のパウチを着け、十七発満タンのスペアマガジン二本も入れていた。銃本体と合わせて五十二発の重装備だが、これで間に合わなければ両手を挙げるか逃げるかだ。だが使わずに済んだ例しなどない。
「ああっ、血が出てる! このバカ猫、シドに何すんのサ!」
「ハイファ、お前も撃つな、朝から猫のミンチは見たくねぇっ!」
こうして相変わらずの、けたたましい朝は六時四十五分から始まった。
朝はカリカリ、夜は猫缶と決めていて、仕方なくシドは起き出しタマにカリカリをやってからベッドに舞い戻る。ハイファは上体を起こしたまま機能停止し、じっとシーツの一点を見つめていた。そんなハイファをシドは襲った。
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「さあて、朝ご飯は何作ろうかな。あ、傷はちゃんと処置してよね」
スキップしながら去るハイファの背を見送ったシドはファーストエイドキットを出し、足の引っ掻き傷に生温かい滅菌ジェルを垂らして乾いてから合成蛋白スプレーを吹きつけた。
ファーストエイドキットをしまうとキッチンに出て行って、まずは煙草を咥えオイルライターで火を点けた。まだ七時だ、溜息が出る。
「分かってる? 今日の午後から別室任務&マフィアのドンと姐さんなんだからね」
「あー、そういうのもあったか。くそう、俺の傷病休暇を返せ!」
「昨日はいやに乗り気だったのに、いきなりどうしちゃったのサ?」
ボウルに卵を割り入れながらハイファが笑った。
「別室が絡むとロクなことがねぇからな」
「うーん、確かにね」
「別室員が何言ってやがるんだ」
「だって貴方と組んでからの任務って予測不能なんだもん。パンケーキでいい?」
「パンケーキに三毛猫のソテー……こら、やめろってタマ!」
本気で猫と格闘し始めるのを見て、ハイファは呆れてキャリーバッグを指す。
「あーたの足が骨になる前にマルチェロ先生に預けに行ってきて」
「アイ・サー」
煙草二本で脳ミソを固めたシドは寝室で綿のシャツとコットンパンツに着替え、キッチンでハイファからタマの好物である竹輪の欠片を貰って、タマをキャリーバッグに誘い込んだ。
本日出勤の隣人は起きていて、ボサボサ頭を掻き回しながらキャリーバッグを受け取ってくれた。隣家には既に猫グッズ完備で身柄を引き渡すだけである。
「気を付けて、俺が猫ラーメンを食いたくなる前に帰ってくるんだぞ」
マルチェロ医師とラフな敬礼で別れ、部屋に戻ると朝食の用意が整っていた。
「おっ、旨そうだな。いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
メニューはパンケーキのメープルシロップがけにほうれん草と厚切りベーコンのソテー、ポタージュにハム野菜サラダとコーヒーだった。旺盛な食欲で全てのプレートを空にしてしまうと二人で簡単に片付けて煙草タイムだ。またニュースを視ながらボーッとして過ごす。
二杯目のコーヒーを飲みながらハイファが不機嫌そうな声を出した。
「うーん、それにしたって僕が姐さんかあ。困ったなあ」
「何が困るんだ?」
「あのね、僕は男なんです。そりゃあ貴方は地のままでもマフィアのドンなら簡単だろうけど」
「地のままってどういう意味だよそれは……っと、朝から客か?」
玄関チャイムで二人して立つ。モニタパネルを見ると宅配業者が出入り業者の証明書を翳していた。ロックを解くと宅配業者のお兄さんは笑顔で定型句を口にする。
「いつもにこにこ、ネコさんマークのタマト宅配便をご利用有難うございます!」
受取票にシドがサインすると洗い立てのスニーカーのような爽やかな笑みでお兄さんは去って行った。残されたのは大きな段ボール箱がひとつ。大きさの割に軽いそれをキッチンに運ぶと送り主を見る。『ミスカトニック大学水泳部』とあった。
「またこの手口かよ。別室の誰か知らねぇが、ふざけんじゃねぇって」
タマだって積極的に連れ帰ったのではなく箱詰めで送ってきたのだ。その時の送り主は『パラケルスス錬金術師協会』だった。別室の誰だか知らないが呑み場のノリだけで決めているとしか思えない。
シドが叫ぶ一方でハイファがどんよりと暗い声で呟く。
「ひしひしと嫌な予感がするよー」
だが置いておくのも気持ち悪く、ハイファは思い切り良くガムテープを剥がした。中から出てきたのは衣服で上の方にはサイズ的にシドのものであろうスーツや靴までが詰め込まれている。どれも上質の生地でオーダーメイド品だと分かるものだった。
そして下の方には緑色の、これも上等な生地を使用したスカートスーツにヒールの低いパンプス、化粧品や銀の髪留めや何と胸パットまでが入っていて、シドはにこにこするのを何とか抑え、ポーカーフェイスを努めて維持し続ける。
一方のハイファはこの段階でもう一抜けしたくなっていた。このスカートスーツを自分が着て化粧までしなければならないことに暗澹たる思いを抱くと同時に、シドの任務へのモチベーションを下げないこのタイミングに、改めて室長ユアン=ガードナーの手腕に畏れを抱く。
「じゃあ、さっさと着替えて病院に行くか」
「『行くか』じゃないよ。こんなモノを着てあそこに行ったら大騒ぎになっちゃうよ。みんな僕らのことを知ってるんだから」
「それもそうだな。なら着替えて宙港で落ち合う。それでいいか?」
非常に良くない気がしていたが、それ以外に手はなかった。主夫ハイファはまず冷蔵庫の食材をフリーズドライやパウチに加工し始める。
食材を傷めるのは主夫として許されざることなのだ。そうしながらも器用にリモータ操作してアプリの十四インチホロスクリーンを起動、映したポラをシドにも見せる。
「ねえねえ、これ見てよ。死んだライナルト=ドラレスと奥さんのソフィーヤだよ」
「げっ、マジで俺たちに似てやがるな」
ドラレスファミリーのドンと姐さんは髪も瞳の色もシドとハイファ酷似していた。角度によってはそっくりと云える。ハイファとソフィーヤの身長差はともかく体格も似たようなもので、これは確かにオニール代貸が『天の配剤』などという訳だった。
「さてと、終わったから準備してくるね」
そう言ってハイファは自室に帰っていった。シドも遠出の準備だが衣装一式は送られてきたので簡単な着替えだけ出してソファに置く。煙草のパッケージも幾つか重ねて、その上に署の武器庫から持ち出していた、針のようなフレシェット弾三百発入りの小箱も置いた。
それからリフレッシャを使い、寝室で送られてきた服に袖を通す。
ランプブラックのドレスシャツにロイヤルブルーの石が嵌ったカフスを着け、ガンブルーに銀糸の刺繍で縦にラインを入れたタイを締める。バーントアンバーのスラックスに執銃して大腿部のバンドを締めジャケットを着れば、あとは対衝撃ジャケットを持って出るだけだ。
そこでシドはオニール氏にリモータ発振して、宙港に先に行くことを告げて了解を得る。キッチンで煙草を吸っているとハイファが戻ってきた。
「遅かったな」
「銃を分解清掃してきたから……って、ちょっとシドってば、カッコいい~っ!」
「窮屈なだけだが、まあ、そうか?」
「何処から見たってマフィアの若きドンだよぅ!」
「どう突っ込んでいいのか分からねぇんだがな」
喋りながらもハイファは担いできたショルダーバッグにシドの着替えや煙草に予備弾などを詰め込んだ。これにはハイファの着替えの他、愛銃テミスコピーの九ミリパラも予備弾として詰め込まれているので見かけよりも随分重たい。
更にハイファはベルトに二本のパウチを着け、十七発満タンのスペアマガジン二本も入れていた。銃本体と合わせて五十二発の重装備だが、これで間に合わなければ両手を挙げるか逃げるかだ。だが使わずに済んだ例しなどない。
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