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第4話
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「貴方が自主的に別室に行くなんて、いったいどうしちゃったのサ?」
屋上面の眩いライトを端正な横顔に受けながら、シドは切れ長の目に怒りを溜めていた。
「人をたびたび地獄に叩き込んでおいて肝心なときには支援ナシ、別室戦術コンも戦略コンもシカトだぞ? ふざけんじゃねぇって。別室長の野郎にカチコミかけてやる!」
「ちょ、あーた、殴り込みなんて冗談でしょ?」
「ふん。お前は行くのか行かねぇのか、どっちだ?」
「行きます。状況説明もしなきゃだし」
と、そこで初めてシドとハイファは、攻撃BELから降りてきたパイロットたちの他、駆けつけたMPや本日上番の警衛隊の輪に囲まれていることに気付く。
唐突に降ってきて危険な花火を打ち上げた侵入者に対し、取り囲んだ半数以上の者が銃口を向けていた。硬い顔つきの彼らに納得して貰えるストーリーをこね上げるのは面倒、事実を述べれば余計にウソ臭く聞こえそうで、二人はためらいなく別室特権を振り翳すコトにする。リモータの小電力バラージ発振で身分を明かしたのだ。
結局、ナニひとつ説明せずして三十秒後には、ハイファス=ファサルート二等陸尉はともかく、シド=ワカミヤ二等陸尉までもが涼しい顔でエレベーターに乗っていた。任務でたびたび使用するハメになるエセ士官の経歴は、別室戦術コンの練り上げた完璧なモノがとうにインプットされている。
別室はこのビルの地下六階という深部にあった。だが中央情報局員の誰もが使うこのエレベーターは地下六階まで繋がっていない。二人は一階まで下らずに途中で箱を降りる。暫し廊下を歩くとオートドリンカが数台並んでいる休憩コーナーで歩を緩めた。
オートドリンカ脇の、まるで予備の飲料をしまっておく倉庫のような扉をハイファが開けると、そこが別室への最短ルート、関係者専用エレベーターホールになっていた。
シドも別室は初めてではない。乗り込むとハイファに倣ってリモータチェッカに左手首を翳す。認識されて条件をクリア、エレベーターは動き始めた。
「それにしても刑事になって一年半、緊急機とは、これまでにない大物の破壊だったなあ」
「そうだっけか? 俺はこれで三機目だぞ」
思わずハイファは隣のポーカーフェイスを凝視した。
「どういうシチュエーションか、聞きたいような聞きたくないような……でも別室戦術コンは普通の刑事が欲しかったんじゃないのかなあ」
「どっちにしろお前は左遷だったんだろ、使い物にならなくなって」
「失礼な言い方しないでよ」
「でもそうなんだろ?」
「確かにそうだけど、貴方のせいなんだからね、分かってるの?」
「へいへい、分かってるって」
「本当に分かってるなら、もう少し刑事部屋での僕の立場を尊重してもいいと思う」
別室からハイファが出向して約一年半が経つというのに、シドは職場の七分署で未だにハイファとの仲を公に認めようとはしないのだ。それがハイファには不満なのである。
「それとこれとは関係ねぇだろ」
「ペアリングまでしてるのに、おかしいよ」
「それは……俺だっておかしいと思わないでもねぇんだがな――」
止まったエレベーターから踏み出しながら、シドは語尾を濁す。
よそと比べて不思議なほどに女性率の低い男所帯の七分署機動捜査課では、思考レヴェルが中学生男子並みだ。そんなデカ部屋に謎の新人ハイファがやってきて、それまで単独だったシドと組んだ。途端に皆が大騒ぎし始めたのだ、『シドが男の彼女をつれてきた』などと。
顔を合わせる誰もに冷やかされ、からかわれて難儀したシドは、のちにその噂が事実となるも、躍起になって否定し続け、今に至っているのである。
同性どころか異星人とでも結婚して遺伝子操作で子供まで望める時代、周囲はとっくに噂に飽きて自分たちをカップル認定しているのはシドだって知っていた。
シド自身もペアリングまで嵌めて矛盾している、自分が滑稽だと分かってはいるのだ。けれど照れ屋で意地っ張りな性格は変えられず、おまけにあれだけ否定してしまった以上、今更どうにもならなくて、最近はたびたびドツボにハマっているのである。
「あーあ。貴方はツンデレだし、特売にも間に合わなかったし――」
地下六階というイメージに比して隅々まで清潔で明るい廊下、天井のライトパネルにハイファは左薬指のリングを翳した。このネタであまり責めるのも諸刃の剣、シドがペアリングなるものを嵌めてくれていることが奇跡的なので、ハイファもそれ以上は言い募らない。
何となく黙って廊下の角を曲がる。そこで思わず二人は足を止めていた。
「……何事だ?」
廊下の先、別室の事務室と別室長室のオートドアが開け放たれて、何人ものスーツ姿の男たちが段ボール箱を抱えて出入りしていたのだ。どう見てもそれは別室の人間ではなく部外者なのだが、彼らはものものしくも堂々としている。
「何があったんだろ……ってゆうか、あれ、誰?」
「誰かっつったら、予想はつくだろうが。俺たちと同業他社だ」
「同業他社……まさか、ガサ入れ?」
「十中八九な。セントラル地検特捜部ってところか」
「別室に地検のガサなんて、そんな……」
「面倒事の予感がしてきやがったぜ。カチコミは延期だ、お前はどうする?」
「どうしよう……ちょっと様子だけ覗いてきてもいいかな?」
古巣の一大事、ハイファの心配も分かるのでシドは頷いた。そのまま歩を進め、二人は別室長室を先に覗いたが、別室長ユアン=ガードナーの副官であるホーカー一尉がガサに立ち会っているだけで主はいなかった。いなくてシドは却ってホッとする。
そこで気配を消すでもなく、スルリと出てきたのはカール=ネス二等陸尉だった。知り合いも知り合いで単身者用官舎ビルのハイファの隣部屋の住人である。
テラ連邦軍セントラル基地所属、それも中央情報局第二部別室長から直々に声が掛かった人物と云えばやり手のようだが、本人は他星系で王様までやっておきながら自分を暢気で怠惰と評していた。
お蔭で「怠け癖が付くから」などという理由で軍人になったが暢気で鷹揚すぎ、本当に別室員が務まっているのかシドとハイファは心配が尽きないが、実際には幹部候補生課程を終了直後に特別昇任した優秀さだ。
そのカールが青い目でモノを言い、二人を目立たぬ廊下の角まで促す。そうしてやや抑えた声で簡単な状況説明をしてくれた。
「セントラル地検特捜部が別室にガサを入れた。僕も詳しくは知らないんだ、他人の任務には関わらないのが鉄則だからね。しかし、おそらく巨額が動いた事実に別室が絡んでいるか、絡んでいるように仕向けられたかだね」
「地検なあ。どうせなら別室の悪行を全部浚えて持ち帰ってくれねぇかな」
のほほんと言い放ったシドにハイファは渋い顔だ。
「笑っていられる状況じゃないんですけど。僕だって別室命令で惑星警察に出向してるんだよ? 別室のあれやこれやがバレて拙いのは僕もなんだからね」
言われてシドが考えるに、確かにこれで別室が溜め込んだ『テラ連邦議会の暗部』が表沙汰になれば、別室存続そのものが難しくなるだろう。そのときハイファは自分のバディでいられるのだろうか……?
ようやくシドにも多少は「難儀なことだな」程度の思いが湧いた辺りで、ハイファがやや不安げな声を出した。
「じゃあ、ちょっと覗いてくるね……あ」
丁度そこに出てきたのはシドも知る班長クラスのキンバリー=エアハート一等陸佐だった。
「おや、奇遇だね。これだけの面子が集まるとは。しかしこの有様だ、茶の一杯も出してやれないのを許してくれたまえ」
「お気遣いなく、班長。どうなっているんですか?」
「おそらくこの案件については全てが室長の頭の中だ。わたしが訊きたいところだよ。はあーっ」
「お疲れ様です。……大丈夫、ですよね?」
「別室は、たぶんね。室長に関しては何も言えない。ああ。そうそう。その室長から渡してくれと『キミたち二人への手紙』を預かっていたんだった。流すよ」
ボタンひとつで流されるリモータ発振を止める間もなく、二人して固まっている間にカールもエアハート一佐も忙しいらしく消えてしまった。取り残された二人は暫し佇む。
「まさかテメェで任務を迎えにくるとはな」
「ねえ……ゴネないで見ようよ」
「……」
ムッとしてシドは押し黙りつつ、仕方なくハイファのスリーカウントでリモータ操作する。小さな画面に浮かび上がった緑色の文字を読み取った。
【中央情報局発:太陽系広域惑星警察セントラル地方七分署所属・若宮志度巡査部長及び中央情報局所属・ハイファス=ファサルート二等陸尉へ至急。本日二二〇〇時、居酒屋『穂足』にこられたし】
暫し文字列を眺めたのち、シドは半ば唖然としながら言葉を押し出した。
「……何だ、これ?」
「飲み会へのお誘い、かなあ?」
「何だって俺がユアン=ガードナーのサイキ野郎と飲まなきゃならねぇんだよ?」
「さあ? でも室長は貴方のこと、相当気に入ってるからね。本当に一緒に飲みたいのかも知れないよ?」
「けっ、あんな妖怪じみたオッサンに気に入られて誰が嬉しいもんか」
「あの人を妖怪ねえ、分からなくもないけど。でもそうと決まれば早く帰ろうよ。タマがお腹空かせて暴れちゃう」
「タマはともかく俺も腹が減って暴れたいんだが……晩メシ、猫缶じゃねぇよな?」
「へえ、変わってるね。カリカリの方がいいんだ?」
屋上面の眩いライトを端正な横顔に受けながら、シドは切れ長の目に怒りを溜めていた。
「人をたびたび地獄に叩き込んでおいて肝心なときには支援ナシ、別室戦術コンも戦略コンもシカトだぞ? ふざけんじゃねぇって。別室長の野郎にカチコミかけてやる!」
「ちょ、あーた、殴り込みなんて冗談でしょ?」
「ふん。お前は行くのか行かねぇのか、どっちだ?」
「行きます。状況説明もしなきゃだし」
と、そこで初めてシドとハイファは、攻撃BELから降りてきたパイロットたちの他、駆けつけたMPや本日上番の警衛隊の輪に囲まれていることに気付く。
唐突に降ってきて危険な花火を打ち上げた侵入者に対し、取り囲んだ半数以上の者が銃口を向けていた。硬い顔つきの彼らに納得して貰えるストーリーをこね上げるのは面倒、事実を述べれば余計にウソ臭く聞こえそうで、二人はためらいなく別室特権を振り翳すコトにする。リモータの小電力バラージ発振で身分を明かしたのだ。
結局、ナニひとつ説明せずして三十秒後には、ハイファス=ファサルート二等陸尉はともかく、シド=ワカミヤ二等陸尉までもが涼しい顔でエレベーターに乗っていた。任務でたびたび使用するハメになるエセ士官の経歴は、別室戦術コンの練り上げた完璧なモノがとうにインプットされている。
別室はこのビルの地下六階という深部にあった。だが中央情報局員の誰もが使うこのエレベーターは地下六階まで繋がっていない。二人は一階まで下らずに途中で箱を降りる。暫し廊下を歩くとオートドリンカが数台並んでいる休憩コーナーで歩を緩めた。
オートドリンカ脇の、まるで予備の飲料をしまっておく倉庫のような扉をハイファが開けると、そこが別室への最短ルート、関係者専用エレベーターホールになっていた。
シドも別室は初めてではない。乗り込むとハイファに倣ってリモータチェッカに左手首を翳す。認識されて条件をクリア、エレベーターは動き始めた。
「それにしても刑事になって一年半、緊急機とは、これまでにない大物の破壊だったなあ」
「そうだっけか? 俺はこれで三機目だぞ」
思わずハイファは隣のポーカーフェイスを凝視した。
「どういうシチュエーションか、聞きたいような聞きたくないような……でも別室戦術コンは普通の刑事が欲しかったんじゃないのかなあ」
「どっちにしろお前は左遷だったんだろ、使い物にならなくなって」
「失礼な言い方しないでよ」
「でもそうなんだろ?」
「確かにそうだけど、貴方のせいなんだからね、分かってるの?」
「へいへい、分かってるって」
「本当に分かってるなら、もう少し刑事部屋での僕の立場を尊重してもいいと思う」
別室からハイファが出向して約一年半が経つというのに、シドは職場の七分署で未だにハイファとの仲を公に認めようとはしないのだ。それがハイファには不満なのである。
「それとこれとは関係ねぇだろ」
「ペアリングまでしてるのに、おかしいよ」
「それは……俺だっておかしいと思わないでもねぇんだがな――」
止まったエレベーターから踏み出しながら、シドは語尾を濁す。
よそと比べて不思議なほどに女性率の低い男所帯の七分署機動捜査課では、思考レヴェルが中学生男子並みだ。そんなデカ部屋に謎の新人ハイファがやってきて、それまで単独だったシドと組んだ。途端に皆が大騒ぎし始めたのだ、『シドが男の彼女をつれてきた』などと。
顔を合わせる誰もに冷やかされ、からかわれて難儀したシドは、のちにその噂が事実となるも、躍起になって否定し続け、今に至っているのである。
同性どころか異星人とでも結婚して遺伝子操作で子供まで望める時代、周囲はとっくに噂に飽きて自分たちをカップル認定しているのはシドだって知っていた。
シド自身もペアリングまで嵌めて矛盾している、自分が滑稽だと分かってはいるのだ。けれど照れ屋で意地っ張りな性格は変えられず、おまけにあれだけ否定してしまった以上、今更どうにもならなくて、最近はたびたびドツボにハマっているのである。
「あーあ。貴方はツンデレだし、特売にも間に合わなかったし――」
地下六階というイメージに比して隅々まで清潔で明るい廊下、天井のライトパネルにハイファは左薬指のリングを翳した。このネタであまり責めるのも諸刃の剣、シドがペアリングなるものを嵌めてくれていることが奇跡的なので、ハイファもそれ以上は言い募らない。
何となく黙って廊下の角を曲がる。そこで思わず二人は足を止めていた。
「……何事だ?」
廊下の先、別室の事務室と別室長室のオートドアが開け放たれて、何人ものスーツ姿の男たちが段ボール箱を抱えて出入りしていたのだ。どう見てもそれは別室の人間ではなく部外者なのだが、彼らはものものしくも堂々としている。
「何があったんだろ……ってゆうか、あれ、誰?」
「誰かっつったら、予想はつくだろうが。俺たちと同業他社だ」
「同業他社……まさか、ガサ入れ?」
「十中八九な。セントラル地検特捜部ってところか」
「別室に地検のガサなんて、そんな……」
「面倒事の予感がしてきやがったぜ。カチコミは延期だ、お前はどうする?」
「どうしよう……ちょっと様子だけ覗いてきてもいいかな?」
古巣の一大事、ハイファの心配も分かるのでシドは頷いた。そのまま歩を進め、二人は別室長室を先に覗いたが、別室長ユアン=ガードナーの副官であるホーカー一尉がガサに立ち会っているだけで主はいなかった。いなくてシドは却ってホッとする。
そこで気配を消すでもなく、スルリと出てきたのはカール=ネス二等陸尉だった。知り合いも知り合いで単身者用官舎ビルのハイファの隣部屋の住人である。
テラ連邦軍セントラル基地所属、それも中央情報局第二部別室長から直々に声が掛かった人物と云えばやり手のようだが、本人は他星系で王様までやっておきながら自分を暢気で怠惰と評していた。
お蔭で「怠け癖が付くから」などという理由で軍人になったが暢気で鷹揚すぎ、本当に別室員が務まっているのかシドとハイファは心配が尽きないが、実際には幹部候補生課程を終了直後に特別昇任した優秀さだ。
そのカールが青い目でモノを言い、二人を目立たぬ廊下の角まで促す。そうしてやや抑えた声で簡単な状況説明をしてくれた。
「セントラル地検特捜部が別室にガサを入れた。僕も詳しくは知らないんだ、他人の任務には関わらないのが鉄則だからね。しかし、おそらく巨額が動いた事実に別室が絡んでいるか、絡んでいるように仕向けられたかだね」
「地検なあ。どうせなら別室の悪行を全部浚えて持ち帰ってくれねぇかな」
のほほんと言い放ったシドにハイファは渋い顔だ。
「笑っていられる状況じゃないんですけど。僕だって別室命令で惑星警察に出向してるんだよ? 別室のあれやこれやがバレて拙いのは僕もなんだからね」
言われてシドが考えるに、確かにこれで別室が溜め込んだ『テラ連邦議会の暗部』が表沙汰になれば、別室存続そのものが難しくなるだろう。そのときハイファは自分のバディでいられるのだろうか……?
ようやくシドにも多少は「難儀なことだな」程度の思いが湧いた辺りで、ハイファがやや不安げな声を出した。
「じゃあ、ちょっと覗いてくるね……あ」
丁度そこに出てきたのはシドも知る班長クラスのキンバリー=エアハート一等陸佐だった。
「おや、奇遇だね。これだけの面子が集まるとは。しかしこの有様だ、茶の一杯も出してやれないのを許してくれたまえ」
「お気遣いなく、班長。どうなっているんですか?」
「おそらくこの案件については全てが室長の頭の中だ。わたしが訊きたいところだよ。はあーっ」
「お疲れ様です。……大丈夫、ですよね?」
「別室は、たぶんね。室長に関しては何も言えない。ああ。そうそう。その室長から渡してくれと『キミたち二人への手紙』を預かっていたんだった。流すよ」
ボタンひとつで流されるリモータ発振を止める間もなく、二人して固まっている間にカールもエアハート一佐も忙しいらしく消えてしまった。取り残された二人は暫し佇む。
「まさかテメェで任務を迎えにくるとはな」
「ねえ……ゴネないで見ようよ」
「……」
ムッとしてシドは押し黙りつつ、仕方なくハイファのスリーカウントでリモータ操作する。小さな画面に浮かび上がった緑色の文字を読み取った。
【中央情報局発:太陽系広域惑星警察セントラル地方七分署所属・若宮志度巡査部長及び中央情報局所属・ハイファス=ファサルート二等陸尉へ至急。本日二二〇〇時、居酒屋『穂足』にこられたし】
暫し文字列を眺めたのち、シドは半ば唖然としながら言葉を押し出した。
「……何だ、これ?」
「飲み会へのお誘い、かなあ?」
「何だって俺がユアン=ガードナーのサイキ野郎と飲まなきゃならねぇんだよ?」
「さあ? でも室長は貴方のこと、相当気に入ってるからね。本当に一緒に飲みたいのかも知れないよ?」
「けっ、あんな妖怪じみたオッサンに気に入られて誰が嬉しいもんか」
「あの人を妖怪ねえ、分からなくもないけど。でもそうと決まれば早く帰ろうよ。タマがお腹空かせて暴れちゃう」
「タマはともかく俺も腹が減って暴れたいんだが……晩メシ、猫缶じゃねぇよな?」
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