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第81話・テラ標準歴ではなく火星標準歴で歳を計算すると結構嬉しい
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今度は保護者たるハイファだけが医師から説明を受けた。
「手術は完全に成功です。あとは再生液で網膜が再生・固着するのを待つだけです。それには通常丸一日掛かります。それまでは光などの刺激を与えないよう、目を覆った包帯は取らないで下さい。明日この時間にきて頂ければこちらで治癒したかどうか検査します」
「分かりました。どのくらいで麻酔から覚めるんでしょうか?」
「あと一時間は掛かると思います」
「そうですか、ありがとうございました」
一時間どころか医師が去ると同時にシドは身を起こして頭を振る。
「あー、マジで怖かったぜ。PTSD級のトラウマだぞ、アレは」
「だよねえ。ところで何処か痛くない? 痛くないなら着替えて帰ろうよ」
頷いてすんなり起きたシドをハイファは甲斐甲斐しく着替えさせた。処置室の看護師に声を掛けて礼を言い、ロビーの会計でクレジット精算して病院を出た。
目に巻かれた包帯が痛々しく、ハイファはシドの腕を掴んで殊更ゆっくりと歩き、コイルに辿り着くと後部座席に乗せる。オートで発進させてシドの横顔をじっと見つめた。整いすぎるほど端正な顔立ちで煌めく切れ長の目が隠されると、何だかアート作品のようにも思える。
「ハイファ、穴が空くからそんなに見るなって言ってるだろ」
「見てるの、分かるんだ。すごい、サイキ持ちみたい」
「バカ、体温とか息づかいの方向とか、判断材料は幾らでもあるんだぞ」
「なあんだ、そっか」
屋敷に着くともう二十三時過ぎだった。約一名が腹を鳴らしていたので食堂に急行する。メリンダとサイラス執事がシドを非常に心配してくれたが、「あーん」されながらもエビピラフをおかわりする勢いに安堵したらしかった。
スープとサラダも綺麗に食してしまうと、明日のことを考えて早めに二人はゲストルームに引っ込んだ。ハイファはリフレッシャを浴びたのちシドの躰を拭いてやる。
そうして二人は品行方正に眠りに就いたのだった。
◇◇◇◇
翌朝は九時に朝食を摂り、準備をして十一時には屋敷を出た。綺麗に晴れた空の下、自家用コイルで向かったのは第一宙港、つまりドレッタ宙港である。
「ねえ、貴方は留守番しててもいいよ?」
「役立たずで悪いがヒマだもんよ、つれてけよな」
などという会話を交わしながら宙港に着くとオートモードでコイルを屋敷に返し、メイン施設の屋上に上がった。屋上には第八駐屯地から差し回された偵察機がパイロットとコ・パイロット付きでスタンバイしていた。挙手敬礼し合って挨拶し、二人は乗り込む。
「十四時には到着の予定であります!」
威勢のいいパイロットの言葉を聞きながらテイクオフ。あとは現地の天気が崩れそうだの、新王一行は十四時五十分に現地入りだのといった話を聞かされながら、何も見えなくてつまらないシドはもう眠たくなっていた。
喫煙欲求と戦うこと二時間半、ようやく偵察機はランディングする。
「シド、着いたよ。足許、気を付けて」
高さのあるBELからハイファはシドを慎重に降ろした。アマリエットのソフトケースを担いでシドの腕を取ったまま、辺りを見回す。
そこはまさに補給母艦のあった場所で、今は軍用の大きな天幕というテントがふたつ、王宮旗の掲げられた碧いテントがひとつと、メディア専用らしいテントがひとつ張られていた。傍にはBELが十数機も並んで駐まっている。
テントの間を白い防寒服の兵士たちとカーキの防寒服の近衛、王宮の準備要員らしき碧い防寒服が行き交い、彼らをメディアの腕章をつけた者がいちいち追っていた。
戴冠式場造りだろう、軍の白いモーターグレーダーが二台で雪原を均している。
それらの様子をシドに説明しながらハイファはリモータ操作した。
「シド、貴方も『シド=ワカミヤ二尉』をバラージ発振して」
「ん、こんな格好だもんな」
酷く目立っているのはシドにも予想がつく。左手首を差し出しハイファに操作して貰った。
「で、どうするって?」
「警備責任者と話してこようかな。貴方はどうする?」
「煙草が吸えるなら一緒に行く」
「じゃあ、こっち」
天幕の中に連れて行かれ、人の気配を縫い歩いてパイプ椅子に座らされる。折り畳みらしい机の上の灰皿を示され確保した。煙草を出して咥えオイルライターで火を点ける。
第六駐屯地の人間らしい責任者とハイファが話をしている間、女性兵士の声がして紙コップのコーヒーを手渡された。有難く頂く。何となく懲罰中隊の補給母艦でカールと飲んだ非常糧食品のコーヒーを思い出した。
煙草を二本吸い、熱いコーヒーも飲み干してしまうとハイファの話も終わったらしい。腕を掴まれて立ち上がる。天幕から出ると冷たさが降り落ちてきて頬で融けた。
「降ってきたみてぇだな」
「うん。どうせなら吹雪いてくれればいいんだけど」
「狙撃しづらいもんな。けど狙われにくい状況ではあるんだろ?」
「まあね。メディアにも上空からの撮影は許可してないし、狙うとすれば街からだと思う」
「街か、どのくらい離れてるんだ?」
首から提げた高性能レーザースコープのアイピースにハイファは目を当てる。
「二千百ってとこかな。このアマリエットクラスの得物なら充分狙えるよ」
「そうか。俺たちは上空待機か?」
「ううん、今回は狙撃ポイントもある程度分かってるしBELの中で地上警戒する」
懲罰中隊のときと違い、見えないことを度外視すればコンディションも悪くなく、防寒着もしっかりしているので凍えるほどの寒さではない。だが突っ立っていると雪だるまになるのは確実で、シドはハイファに誘導して貰い、さっさと乗ってきた偵察機に戻った。
パイロットたちは天幕に入っているらしく偵察機は無人だった。ハイファがコンソールを弄って半永久バッテリを始動させ、アビオニクスを生き返らせるとヒータをオンにする。
右のパイロット席にシド、左のコ・パイ席にハイファが腰掛けた。一番端に駐まった偵察機は側面から街が見渡せ、前面キャノピからは遠目に戴冠式も見られそうな絶好の場所である。
レーザースコープでハイファは窓越しに街の建物を走査し始めた。
「でも街は惑星警察が巡回してるんだろ?」
「勿論だよ。でも万が一ってこともあるからね。それと少し吹雪いてきたよ」
「ん、分かってる」
風が唸りを上げ始めBELが僅かに揺れている。見えない分、鋭敏になった感覚でシドはモーターグレーダーがすぐ近くに来て駐まったことを知り、外の人々の声で新王の乗った専用機があと五分で到着することも聞き取った。上空警戒するための軍偵察機が数機、飛び立つ。
「せっかくのカールの戴冠式、貴方見られないね」
「いや、何となくだが見えるぞ」
「えっ、どうやって……って、シドっ!」
振り向いたハイファにシドはポーカーフェイスで頷いてみせた。包帯を解いて久々に見るハイファの白い顔は随分と滲んでいる。だが驚きから怒りの表情に変化するのは見て取れた。
「何やってるのサ! まだ一日経ってないじゃない!」
「もう経ったさ、俺はテラ標準時で生きてるからな。丁度今が手術後二十四時間だ」
と、リモータを振る。ハイファが泣きそうな声で噛みつくように叫んだ。
「そんな、いったい何やって、あああ、もう、バカっ!」
「ンなに怒るなって。戴冠式が終われば元通り巻いとくさ」
「本当に見えなくなっても、僕は知りませんからね!」
つん、と横を向いたハイファの顔を両手で挟み、こちらを向かせてキスを奪う。誰も見ていないのをいいことにシドは思い切り温かな舌を吸い上げ、唾液を要求して飲み干した。
「んんっ、ん……んんぅ、はあっ! シド、お願いだから無茶しないで」
「ああ、そう心配するな。幸い曇ってそう眩しくもねぇしさ」
安心させるために笑って見せる。だがじつは滲んだ視界に雪の白さが眩しく、目の底が酷く痛んでいた。おまけに視力はあまり回復していない。眇めた目で窓越しに隣のBELを眺めたが、そんな大きなモノですら形が曖昧にしか見えないほどである。
「あ、BELがきたよ。碧いから王室専用機だね」
「カールが着いたらしいな」
「手術は完全に成功です。あとは再生液で網膜が再生・固着するのを待つだけです。それには通常丸一日掛かります。それまでは光などの刺激を与えないよう、目を覆った包帯は取らないで下さい。明日この時間にきて頂ければこちらで治癒したかどうか検査します」
「分かりました。どのくらいで麻酔から覚めるんでしょうか?」
「あと一時間は掛かると思います」
「そうですか、ありがとうございました」
一時間どころか医師が去ると同時にシドは身を起こして頭を振る。
「あー、マジで怖かったぜ。PTSD級のトラウマだぞ、アレは」
「だよねえ。ところで何処か痛くない? 痛くないなら着替えて帰ろうよ」
頷いてすんなり起きたシドをハイファは甲斐甲斐しく着替えさせた。処置室の看護師に声を掛けて礼を言い、ロビーの会計でクレジット精算して病院を出た。
目に巻かれた包帯が痛々しく、ハイファはシドの腕を掴んで殊更ゆっくりと歩き、コイルに辿り着くと後部座席に乗せる。オートで発進させてシドの横顔をじっと見つめた。整いすぎるほど端正な顔立ちで煌めく切れ長の目が隠されると、何だかアート作品のようにも思える。
「ハイファ、穴が空くからそんなに見るなって言ってるだろ」
「見てるの、分かるんだ。すごい、サイキ持ちみたい」
「バカ、体温とか息づかいの方向とか、判断材料は幾らでもあるんだぞ」
「なあんだ、そっか」
屋敷に着くともう二十三時過ぎだった。約一名が腹を鳴らしていたので食堂に急行する。メリンダとサイラス執事がシドを非常に心配してくれたが、「あーん」されながらもエビピラフをおかわりする勢いに安堵したらしかった。
スープとサラダも綺麗に食してしまうと、明日のことを考えて早めに二人はゲストルームに引っ込んだ。ハイファはリフレッシャを浴びたのちシドの躰を拭いてやる。
そうして二人は品行方正に眠りに就いたのだった。
◇◇◇◇
翌朝は九時に朝食を摂り、準備をして十一時には屋敷を出た。綺麗に晴れた空の下、自家用コイルで向かったのは第一宙港、つまりドレッタ宙港である。
「ねえ、貴方は留守番しててもいいよ?」
「役立たずで悪いがヒマだもんよ、つれてけよな」
などという会話を交わしながら宙港に着くとオートモードでコイルを屋敷に返し、メイン施設の屋上に上がった。屋上には第八駐屯地から差し回された偵察機がパイロットとコ・パイロット付きでスタンバイしていた。挙手敬礼し合って挨拶し、二人は乗り込む。
「十四時には到着の予定であります!」
威勢のいいパイロットの言葉を聞きながらテイクオフ。あとは現地の天気が崩れそうだの、新王一行は十四時五十分に現地入りだのといった話を聞かされながら、何も見えなくてつまらないシドはもう眠たくなっていた。
喫煙欲求と戦うこと二時間半、ようやく偵察機はランディングする。
「シド、着いたよ。足許、気を付けて」
高さのあるBELからハイファはシドを慎重に降ろした。アマリエットのソフトケースを担いでシドの腕を取ったまま、辺りを見回す。
そこはまさに補給母艦のあった場所で、今は軍用の大きな天幕というテントがふたつ、王宮旗の掲げられた碧いテントがひとつと、メディア専用らしいテントがひとつ張られていた。傍にはBELが十数機も並んで駐まっている。
テントの間を白い防寒服の兵士たちとカーキの防寒服の近衛、王宮の準備要員らしき碧い防寒服が行き交い、彼らをメディアの腕章をつけた者がいちいち追っていた。
戴冠式場造りだろう、軍の白いモーターグレーダーが二台で雪原を均している。
それらの様子をシドに説明しながらハイファはリモータ操作した。
「シド、貴方も『シド=ワカミヤ二尉』をバラージ発振して」
「ん、こんな格好だもんな」
酷く目立っているのはシドにも予想がつく。左手首を差し出しハイファに操作して貰った。
「で、どうするって?」
「警備責任者と話してこようかな。貴方はどうする?」
「煙草が吸えるなら一緒に行く」
「じゃあ、こっち」
天幕の中に連れて行かれ、人の気配を縫い歩いてパイプ椅子に座らされる。折り畳みらしい机の上の灰皿を示され確保した。煙草を出して咥えオイルライターで火を点ける。
第六駐屯地の人間らしい責任者とハイファが話をしている間、女性兵士の声がして紙コップのコーヒーを手渡された。有難く頂く。何となく懲罰中隊の補給母艦でカールと飲んだ非常糧食品のコーヒーを思い出した。
煙草を二本吸い、熱いコーヒーも飲み干してしまうとハイファの話も終わったらしい。腕を掴まれて立ち上がる。天幕から出ると冷たさが降り落ちてきて頬で融けた。
「降ってきたみてぇだな」
「うん。どうせなら吹雪いてくれればいいんだけど」
「狙撃しづらいもんな。けど狙われにくい状況ではあるんだろ?」
「まあね。メディアにも上空からの撮影は許可してないし、狙うとすれば街からだと思う」
「街か、どのくらい離れてるんだ?」
首から提げた高性能レーザースコープのアイピースにハイファは目を当てる。
「二千百ってとこかな。このアマリエットクラスの得物なら充分狙えるよ」
「そうか。俺たちは上空待機か?」
「ううん、今回は狙撃ポイントもある程度分かってるしBELの中で地上警戒する」
懲罰中隊のときと違い、見えないことを度外視すればコンディションも悪くなく、防寒着もしっかりしているので凍えるほどの寒さではない。だが突っ立っていると雪だるまになるのは確実で、シドはハイファに誘導して貰い、さっさと乗ってきた偵察機に戻った。
パイロットたちは天幕に入っているらしく偵察機は無人だった。ハイファがコンソールを弄って半永久バッテリを始動させ、アビオニクスを生き返らせるとヒータをオンにする。
右のパイロット席にシド、左のコ・パイ席にハイファが腰掛けた。一番端に駐まった偵察機は側面から街が見渡せ、前面キャノピからは遠目に戴冠式も見られそうな絶好の場所である。
レーザースコープでハイファは窓越しに街の建物を走査し始めた。
「でも街は惑星警察が巡回してるんだろ?」
「勿論だよ。でも万が一ってこともあるからね。それと少し吹雪いてきたよ」
「ん、分かってる」
風が唸りを上げ始めBELが僅かに揺れている。見えない分、鋭敏になった感覚でシドはモーターグレーダーがすぐ近くに来て駐まったことを知り、外の人々の声で新王の乗った専用機があと五分で到着することも聞き取った。上空警戒するための軍偵察機が数機、飛び立つ。
「せっかくのカールの戴冠式、貴方見られないね」
「いや、何となくだが見えるぞ」
「えっ、どうやって……って、シドっ!」
振り向いたハイファにシドはポーカーフェイスで頷いてみせた。包帯を解いて久々に見るハイファの白い顔は随分と滲んでいる。だが驚きから怒りの表情に変化するのは見て取れた。
「何やってるのサ! まだ一日経ってないじゃない!」
「もう経ったさ、俺はテラ標準時で生きてるからな。丁度今が手術後二十四時間だ」
と、リモータを振る。ハイファが泣きそうな声で噛みつくように叫んだ。
「そんな、いったい何やって、あああ、もう、バカっ!」
「ンなに怒るなって。戴冠式が終われば元通り巻いとくさ」
「本当に見えなくなっても、僕は知りませんからね!」
つん、と横を向いたハイファの顔を両手で挟み、こちらを向かせてキスを奪う。誰も見ていないのをいいことにシドは思い切り温かな舌を吸い上げ、唾液を要求して飲み干した。
「んんっ、ん……んんぅ、はあっ! シド、お願いだから無茶しないで」
「ああ、そう心配するな。幸い曇ってそう眩しくもねぇしさ」
安心させるために笑って見せる。だがじつは滲んだ視界に雪の白さが眩しく、目の底が酷く痛んでいた。おまけに視力はあまり回復していない。眇めた目で窓越しに隣のBELを眺めたが、そんな大きなモノですら形が曖昧にしか見えないほどである。
「あ、BELがきたよ。碧いから王室専用機だね」
「カールが着いたらしいな」
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