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第三章 謎と試練
64 対フロージア対策会議
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「ヒル先輩も来た! これで全員集まったかな?」
ホテルの一室に集められた俺たち。
高級なホテルなのだろう。全員が集まっても余裕があるくらいには部屋は広い。
気温的には寒いのだろうが、俺たちはオグレス製のジャージを着ているため大丈夫だ。
「いやぁ、まさかフロージアでこんなことが起こっていたとは……。
色々大変な状況なんだねぇ」
「いやいやいやいや」
「未来……」
「え……?」
「残念ながら、あれは全て嘘でしょうね。
全てというか、何らかの組織に破壊されたの部分は。
凍ったコートを作るためにフロージア星が仕組んだのでしょう」
「え!? そうなの!?」
未来……。
ごめんみんな、そんな目で見ないでやってくれ。
未来はサッカーIQは高いけど、普段は結構アホなんだ……。
「しかし、これは厄介ですね。
僕たちはここまで来るのにも苦労しました。あの状態の地面で試合をするとは……考えたくもないですね……」
アランの言う通りだ。
正直、あんな状態のコートで試合をするなんて話にならない。
ゼラにも話が通っているということで、そっち方面での対策もできない。
というか、この状態のコートでの試合は流石にダメだろぉ。ゼラ……これくらいはなんとかしてくれよ……。
これもホームのアドバンテージってやつなのか……大きすぎるだろ……。
「ふっふっふっ、みんな困っているようね」
「「「フィロさん!?」」」
「やれやれ。このくらいの事態、この私が予測してないと思われているのは屈辱ね」
「!
まさか!」
「ええ! こんなこともあろうかと、滑り止めシューズ全員分作ってありまーすっ!」
「うおお! フィロちゃん!」
「流石っス! フィロさん!」
「うんうん、もっと褒めて褒めて」
「フィロさん、ありがとうございます。
かなり助かります」
「そうでしょそうでしょ。
それにしても、予測はしていたとはいえ、正直低い確率だと思っていたわ。
スタジアムはともかく、フォノウはフロージアにとって要となる施設。これを破壊したとなるとフロージアの生活水準はかなり下がってしまう。
ゼラが今回の件を許可したのも、この覚悟を評価したのかもしれないわね」
なるほど。確かにフロージアは前回の試合で敗北し、これ以上の負けは許されない状況。
何がなんでも勝ちたいというわけか。
「はい、とりあえず全員にシューズ渡しとくわね。
でも実際かなり危なかったわ。
もしこの事態を予測していなかったとして、オグレスに戻って滑らない靴を持ってくる時間はあったかもしれない。しかし、あなたたちに合う、あなたたち専用の靴を作ることは間に合わなかった。
ギリギリまで私たちに報告しなかったことといい、本気ね、フロージアは」
そんなことを言いながら、俺たちに靴を配っていくフィロさん。
それにしてもありがたい。このシューズが無ければ俺たちは惨敗していただろう。本当に、感謝しかない。
「いやー、俺は要らないかなー、そのシューズ」
すると、遠くから少しだけ揉める声が聞こえてくる。
「何言ってるのペペくん! これが無かったら滑って試合にならないわよ!?」
「うーん、でもさ、これ履いて滑らなくなったら普通に勝っちゃうんでしょー? それじゃ俺ちょっとつまんないかなー」
ペペは前回の試合も途中でベンチに下がっていた。
張り合いがあればあるほど燃えるタイプなのだろうか。それだけなら良いのだが、逆に張り合いが無ければやる気を無くしてしまうのは悪い点だ。
「まあ、勝ってるならそれでもいいけど。ピンチだったらこれ履いてしっかり活躍してね。それと、怪我だけはしないように」
「はーい」
しかし、ペペはこのチームでも頭一つ抜けてサッカーの上手い大事な選手。その欠点を差し引いても彼の重要性は変わらない。
「ということで今から少しだけ練習するわよ。
ほぼ滑らないとは思うけど、一応どんな感じか靴履いた感覚を掴むことと、氷の上でのボールの動きを把握することを中心にね」
「あ、確かに地面が凍っていると俺たちだけじゃなくてボールも影響受けるのか。
今からの練習で間に合うか……?」
「大丈夫よ龍也くん。
意外と簡単だから、君たちレベルなら半日もあれば慣れられると思うわ。
そうよね、クレートくん、ラーラさん」
「えっと、ま、まあ、多分、大丈夫……?」
「大丈夫だろう。少しボールのスピードが上がるだけだ、感覚さえ掴めれば問題ない」
雪国出身の2人が言うならそうなのだろう。
その言葉を信じ、外へ出て練習を始める。
練習用のスペースは一応確保してくれてあるらしい。練習用のスペースと言ってもただの空き地だが、無いよりは100倍増しだ。
まずは靴の感覚……おお……これは凄い。
本当に滑らない。コケまくっていたさっきまでとは大違いだ。これなら凍った地面を気にせずにサッカーができる……!
そしてボールの感覚。
……なるほど。確かによく滑る分スピードは速くなる……が、それだけだ。
変な動きをするわけでもない。
これなら半日練習すれば充分慣れることができそうだ。
シュートやキーパー、浮かしたパスなんかにはそもそも影響が無いしな。
よし! 明日の試合に向けて、全力で特訓だ……!
ホテルの一室に集められた俺たち。
高級なホテルなのだろう。全員が集まっても余裕があるくらいには部屋は広い。
気温的には寒いのだろうが、俺たちはオグレス製のジャージを着ているため大丈夫だ。
「いやぁ、まさかフロージアでこんなことが起こっていたとは……。
色々大変な状況なんだねぇ」
「いやいやいやいや」
「未来……」
「え……?」
「残念ながら、あれは全て嘘でしょうね。
全てというか、何らかの組織に破壊されたの部分は。
凍ったコートを作るためにフロージア星が仕組んだのでしょう」
「え!? そうなの!?」
未来……。
ごめんみんな、そんな目で見ないでやってくれ。
未来はサッカーIQは高いけど、普段は結構アホなんだ……。
「しかし、これは厄介ですね。
僕たちはここまで来るのにも苦労しました。あの状態の地面で試合をするとは……考えたくもないですね……」
アランの言う通りだ。
正直、あんな状態のコートで試合をするなんて話にならない。
ゼラにも話が通っているということで、そっち方面での対策もできない。
というか、この状態のコートでの試合は流石にダメだろぉ。ゼラ……これくらいはなんとかしてくれよ……。
これもホームのアドバンテージってやつなのか……大きすぎるだろ……。
「ふっふっふっ、みんな困っているようね」
「「「フィロさん!?」」」
「やれやれ。このくらいの事態、この私が予測してないと思われているのは屈辱ね」
「!
まさか!」
「ええ! こんなこともあろうかと、滑り止めシューズ全員分作ってありまーすっ!」
「うおお! フィロちゃん!」
「流石っス! フィロさん!」
「うんうん、もっと褒めて褒めて」
「フィロさん、ありがとうございます。
かなり助かります」
「そうでしょそうでしょ。
それにしても、予測はしていたとはいえ、正直低い確率だと思っていたわ。
スタジアムはともかく、フォノウはフロージアにとって要となる施設。これを破壊したとなるとフロージアの生活水準はかなり下がってしまう。
ゼラが今回の件を許可したのも、この覚悟を評価したのかもしれないわね」
なるほど。確かにフロージアは前回の試合で敗北し、これ以上の負けは許されない状況。
何がなんでも勝ちたいというわけか。
「はい、とりあえず全員にシューズ渡しとくわね。
でも実際かなり危なかったわ。
もしこの事態を予測していなかったとして、オグレスに戻って滑らない靴を持ってくる時間はあったかもしれない。しかし、あなたたちに合う、あなたたち専用の靴を作ることは間に合わなかった。
ギリギリまで私たちに報告しなかったことといい、本気ね、フロージアは」
そんなことを言いながら、俺たちに靴を配っていくフィロさん。
それにしてもありがたい。このシューズが無ければ俺たちは惨敗していただろう。本当に、感謝しかない。
「いやー、俺は要らないかなー、そのシューズ」
すると、遠くから少しだけ揉める声が聞こえてくる。
「何言ってるのペペくん! これが無かったら滑って試合にならないわよ!?」
「うーん、でもさ、これ履いて滑らなくなったら普通に勝っちゃうんでしょー? それじゃ俺ちょっとつまんないかなー」
ペペは前回の試合も途中でベンチに下がっていた。
張り合いがあればあるほど燃えるタイプなのだろうか。それだけなら良いのだが、逆に張り合いが無ければやる気を無くしてしまうのは悪い点だ。
「まあ、勝ってるならそれでもいいけど。ピンチだったらこれ履いてしっかり活躍してね。それと、怪我だけはしないように」
「はーい」
しかし、ペペはこのチームでも頭一つ抜けてサッカーの上手い大事な選手。その欠点を差し引いても彼の重要性は変わらない。
「ということで今から少しだけ練習するわよ。
ほぼ滑らないとは思うけど、一応どんな感じか靴履いた感覚を掴むことと、氷の上でのボールの動きを把握することを中心にね」
「あ、確かに地面が凍っていると俺たちだけじゃなくてボールも影響受けるのか。
今からの練習で間に合うか……?」
「大丈夫よ龍也くん。
意外と簡単だから、君たちレベルなら半日もあれば慣れられると思うわ。
そうよね、クレートくん、ラーラさん」
「えっと、ま、まあ、多分、大丈夫……?」
「大丈夫だろう。少しボールのスピードが上がるだけだ、感覚さえ掴めれば問題ない」
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その言葉を信じ、外へ出て練習を始める。
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まずは靴の感覚……おお……これは凄い。
本当に滑らない。コケまくっていたさっきまでとは大違いだ。これなら凍った地面を気にせずにサッカーができる……!
そしてボールの感覚。
……なるほど。確かによく滑る分スピードは速くなる……が、それだけだ。
変な動きをするわけでもない。
これなら半日練習すれば充分慣れることができそうだ。
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