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第一章 さらば地球
14 お次は対話!
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解散を告げられた俺たちは各々動き出す。
将人とクレ、ブラドとネイト、そして未来にそれぞれ街の散策へと誘われたが断った。キャプテンとしてチームメイト全員とのコミュニケーションが必要だと思ったからだ。
というわけでまず最初に話しかけるのは……
「ようヘンディ、ザシャ、アラン。こうして話すのは初めてだな。改めてよろしく」
「龍也! おう! こっちこそよろしくな! それと前の試合は本当にありがとうな、お前がいなきゃ俺たちは多分負けてた」
「いいってそんなこと。それより俺こそお礼を言わなくちゃ。キャプテンの話のとき後押ししてくれて嬉しかったよ。それにさっきも喧嘩止めてくれてありがとう。あ、もちろんアランもな」
「別にそれこそ気にしなくていいですよ。龍也くんは日本代表時代はキャプテンではなかったんですよね? だったら至らないところがあって当然です、どんどん僕たちを頼ってください」
「にしてもこのチームのキャプテンは大変そうっスよね。ひと癖もふた癖もある選手ばっかりっス。特にブラドさん、俺たちのこと雑魚雑魚って流石に腹立つっス! ブラドさんを更生させるときは協力するんで声掛けてほしいっス!」
「はは、2人ともありがとう。正直不安はまだあるからその言葉は嬉しいよ。ブラドに関してはこのままじゃ良くないし何とかするから任せてくれ。また何かあったらよろしくな!」
手を振りながら俺はその場を離れる。ザシャがブラドをよく思ってなさそうなのは気になったが、それはそうと3人とも良い奴そうで助かるな。
安心感を覚えながら俺は次に話しかける相手を探す。
次に目に入ってきたのはレオとペペ、そしてアリスとミアの4人だ。
いきなりからあのアイドル2人に話しかけられるなんてレオとペペは凄いな。話しかけたいのに日和った人が大半だろうに。
少し緊張したものの勇気を振り絞って俺は4人に話しかける。
「ちょっと失礼。はじめまして、アリスさん、ミアさん、それにレオとペペ。キャプテンの山下龍也だ。これからよろしく頼む」
「はじめましてキャプテン。こちらこそよろしくお願いします。でもアリスさんなんてそんな他人行儀じゃなくてもいいですよ。これから長い付き合いになるんだしアリスって呼んでください」
俺の手を握りながらアリスはそう答える。
……やばい、可愛い。
可愛すぎて、何も考えられない。
「ちょっとアリス、キャプテン困ってるじゃない。長い付き合いになるなら尚更媚びるのはやめときなさい」
「えー、別に媚びてないよー。キャプテンが少しでも元気になったらいいなーっていうマネージャーとしての献身だよー」
「はぁ、全くあんたはねぇ。
ということでキャプテン、私たちマネージャーだから困ったら何でも言って。って言っても私たちもまだ全然適応できてないんだけどね」
「そうそうキャプテン、試合では俺を頼ってくれよ? プレーは1番上手い自信あるからなー」
「おーうよろしくキャプテン! それよりどう? 2人とも、一緒に街回ろうぜ?」
「ごめんねー? 今からちょーっとやることあるんだー。また今度行こうねー」
そう言ってアリスとミアは去っていった。
「くぅー惜しかった! それにしても可愛いなあ2人とも! 俺はアリスちゃんかなー、あの小悪魔っぷりがたまらんぜ!」
「いやいやー、ミアちゃんでしょ! ああいうタイプはデレた時最高に可愛いんだよ?」
「「キャプテンはどっち推し??」」
「え!? どっちって……そんなすぐ決められねーよ」
「んだよー、こういうのは自分の心に正直になるのが大事なんだぜ?」
「そう言われてもなー。どっちかっていうと……アリスかな」
「だと思った! 手握られて顔真っ赤だったもんなー。キャプテン絶対彼女いなかったろー」
「はっ! うっせ! 俺はサッカーが恋人だからいいんだよ!」
「出たーモテないサッカー部員の言い訳あるある」
話してみてわかったがレオもペペもいいやつだ。
まるで休み時間の男子高校生の会話のような、宇宙人との戦いを控えた状況とは思えない楽しさがあった。
アリスとミアも、アイドルなだけあって可愛すぎて話しにくいという問題点はあるが悪いやつには見えない。頼れるマネージャーになってくれそうだ。何より可愛いしな!
「ぶっちゃけ俺凛ちゃんもありかなって思ってるんだよなー」
「……悪い、俺ちょっとやることあるから一旦離れる。また夜飯の時な!」
「んー? わかった。じゃあな」
2人から離れた俺はすぐに部屋を見回したが、残念ながらヘンディたち以外はもう誰も残っていなかった。
恐らくみんな部屋に戻ったか外に出掛けたのだろう。外出組を追いかけるのは難しいので部屋を訪ねることにした。
ここで俺はフィロさんの言葉を思い出す。
「あ、それとこのアプリ。
これは宿舎の地図だから最初のうちはこれを見て動いてね。赤い点が現在位置よ。
そしてこの中にみんなの部屋があるのがわかるかしら。これを長押してからタップするとインターフォンがなるようになってるわ。
何回も言うけどテルはほんと便利だから絶対に無くさないでね!」
地図を見て俺はある部屋の前に訪れる。インターフォンを押すと……
「なんだ……」
「ヒル! 俺だ! キャプテンの山下龍也だ! チームメイトなんだし1回話しておこ――」
「さっきも言ったろ、俺はお前らと馴れ合うつもりはねえ。わかったら失せろ。俺はお前みたいのが1番嫌いなんだ」
そしてインターフォンが切れる。
その後もう一度繋いだがヒルが反応することはなかった。
やはりヒルがかなりの問題児だな。チームの雰囲気が悪くなる前になんとかしないといけない。だが今かかりきりになるのも悪手だろう。
そう考えた俺は次に同じく問題児候補の凛の部屋に向かった。女子の部屋ということで少し身構えていたが反応無し。次にラーラの部屋に向かう。すると……
「……なに?」
この冷たい声はまさか……。
「凛!? あれ? 部屋間違えたかな」
「間違えてない、ここラーラの部屋だけど、なに?」
「え、えっと、一応仲間なわけだから挨拶を、と」
するとインターフォンの奥から新たに声が聞こえる。
「あれぇー? 凛ちゃん? 誰か来てるの?」
「ん、なんかキャプテンがあんたをナンパしにきたみたい。用心しなさいよ」
んー? なんか冤罪をかけられている気がするぞ。
「あの……ナンパでは無いのですが……」
「はいはい、で、なに? 挨拶だけ? 大した用じゃないなら帰ってほしいんだけど」
うぅ、帰れって本音がもろに伝わってきて辛い。これ以上粘っても無駄そうだし一旦引き上げるか。凛とラーラの仲が予想以上に良いこと、凛がひたすらに冷たいことがわかったし最低限は頑張っただろう。
俺はそのまま引き下がり部屋を後にする。
次にルカの部屋に向かったが、反応は無し。無視されているのか出かけているのかはわからなかった。
最後に向かったのはファクタの部屋。オグレス星人ということで何としてでも話をしておきたい。俺がインターフォンを押すと……
「……はい?」
「! はじめまして! キャプテンの山下龍也です! 1度話しておきたかったんだけど今大丈夫か?」
「大丈夫だよ、部屋入る?」
はいと答えた俺は部屋の中にワープする。インターフォンにワープ機能が付いているようだ。
「こちらこそはじめまして、ファクタです。地球人とちゃんと話すのって初めてで緊張するなぁ~」
「俺もだ、昨日の朝なんて宇宙人がいることすら知らなかったからなぁ」
「そんな状況からすぐに戦う決断できるなんてすごいよ。力を貸してくれて本当にありがとう……!」
深々と頭を下げながらファクタは感謝の言葉を述べる。
「そんな、やめてくれよ、仲間だろ? それに地球だって負けたらどうなるかわからないしさ、そういう上下関係みたいなの無しでいこうぜ」
「そうだね、わかった……!
そういえばキャプテンはフォワードなんだよね? どんなプレーが得意なの?」
「んー、やっぱり点を決めること! って言いたいけど俺どっちかっていうとサポートの方が得意なんだよなー、ゴール前でパス出したり。
ファクタはオグレス星人だもんな、体が弱いって聞いたけど大丈夫なのか?」
「うん、体力は走り込めばなんとかなったしね。フィジカルは弱いけどそれをカバーする技を身につけたんだ」
そのまましばらくの間、俺とファクタはサッカーだけに留まらず色々な話をした。
生まれた星は違えど分かり合うことは可能なのだと実感する。
ゼラまで辿り着いて説得する。無茶だと思ってた理想に少し近づいた気がした。
しかし良いことは続かず。その後の夕食ではヒルとルカに話しかけるも無視され、ラーラに話しかけるも凛にガードされ、結局大した成果を得ることはできなかった。
どうすればチームをまとめられるのだろうか。キャプテンに任命され初めての夜、俺は答えを見つけられないまま眠りにつくのだった。
将人とクレ、ブラドとネイト、そして未来にそれぞれ街の散策へと誘われたが断った。キャプテンとしてチームメイト全員とのコミュニケーションが必要だと思ったからだ。
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「別にそれこそ気にしなくていいですよ。龍也くんは日本代表時代はキャプテンではなかったんですよね? だったら至らないところがあって当然です、どんどん僕たちを頼ってください」
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手を振りながら俺はその場を離れる。ザシャがブラドをよく思ってなさそうなのは気になったが、それはそうと3人とも良い奴そうで助かるな。
安心感を覚えながら俺は次に話しかける相手を探す。
次に目に入ってきたのはレオとペペ、そしてアリスとミアの4人だ。
いきなりからあのアイドル2人に話しかけられるなんてレオとペペは凄いな。話しかけたいのに日和った人が大半だろうに。
少し緊張したものの勇気を振り絞って俺は4人に話しかける。
「ちょっと失礼。はじめまして、アリスさん、ミアさん、それにレオとペペ。キャプテンの山下龍也だ。これからよろしく頼む」
「はじめましてキャプテン。こちらこそよろしくお願いします。でもアリスさんなんてそんな他人行儀じゃなくてもいいですよ。これから長い付き合いになるんだしアリスって呼んでください」
俺の手を握りながらアリスはそう答える。
……やばい、可愛い。
可愛すぎて、何も考えられない。
「ちょっとアリス、キャプテン困ってるじゃない。長い付き合いになるなら尚更媚びるのはやめときなさい」
「えー、別に媚びてないよー。キャプテンが少しでも元気になったらいいなーっていうマネージャーとしての献身だよー」
「はぁ、全くあんたはねぇ。
ということでキャプテン、私たちマネージャーだから困ったら何でも言って。って言っても私たちもまだ全然適応できてないんだけどね」
「そうそうキャプテン、試合では俺を頼ってくれよ? プレーは1番上手い自信あるからなー」
「おーうよろしくキャプテン! それよりどう? 2人とも、一緒に街回ろうぜ?」
「ごめんねー? 今からちょーっとやることあるんだー。また今度行こうねー」
そう言ってアリスとミアは去っていった。
「くぅー惜しかった! それにしても可愛いなあ2人とも! 俺はアリスちゃんかなー、あの小悪魔っぷりがたまらんぜ!」
「いやいやー、ミアちゃんでしょ! ああいうタイプはデレた時最高に可愛いんだよ?」
「「キャプテンはどっち推し??」」
「え!? どっちって……そんなすぐ決められねーよ」
「んだよー、こういうのは自分の心に正直になるのが大事なんだぜ?」
「そう言われてもなー。どっちかっていうと……アリスかな」
「だと思った! 手握られて顔真っ赤だったもんなー。キャプテン絶対彼女いなかったろー」
「はっ! うっせ! 俺はサッカーが恋人だからいいんだよ!」
「出たーモテないサッカー部員の言い訳あるある」
話してみてわかったがレオもペペもいいやつだ。
まるで休み時間の男子高校生の会話のような、宇宙人との戦いを控えた状況とは思えない楽しさがあった。
アリスとミアも、アイドルなだけあって可愛すぎて話しにくいという問題点はあるが悪いやつには見えない。頼れるマネージャーになってくれそうだ。何より可愛いしな!
「ぶっちゃけ俺凛ちゃんもありかなって思ってるんだよなー」
「……悪い、俺ちょっとやることあるから一旦離れる。また夜飯の時な!」
「んー? わかった。じゃあな」
2人から離れた俺はすぐに部屋を見回したが、残念ながらヘンディたち以外はもう誰も残っていなかった。
恐らくみんな部屋に戻ったか外に出掛けたのだろう。外出組を追いかけるのは難しいので部屋を訪ねることにした。
ここで俺はフィロさんの言葉を思い出す。
「あ、それとこのアプリ。
これは宿舎の地図だから最初のうちはこれを見て動いてね。赤い点が現在位置よ。
そしてこの中にみんなの部屋があるのがわかるかしら。これを長押してからタップするとインターフォンがなるようになってるわ。
何回も言うけどテルはほんと便利だから絶対に無くさないでね!」
地図を見て俺はある部屋の前に訪れる。インターフォンを押すと……
「なんだ……」
「ヒル! 俺だ! キャプテンの山下龍也だ! チームメイトなんだし1回話しておこ――」
「さっきも言ったろ、俺はお前らと馴れ合うつもりはねえ。わかったら失せろ。俺はお前みたいのが1番嫌いなんだ」
そしてインターフォンが切れる。
その後もう一度繋いだがヒルが反応することはなかった。
やはりヒルがかなりの問題児だな。チームの雰囲気が悪くなる前になんとかしないといけない。だが今かかりきりになるのも悪手だろう。
そう考えた俺は次に同じく問題児候補の凛の部屋に向かった。女子の部屋ということで少し身構えていたが反応無し。次にラーラの部屋に向かう。すると……
「……なに?」
この冷たい声はまさか……。
「凛!? あれ? 部屋間違えたかな」
「間違えてない、ここラーラの部屋だけど、なに?」
「え、えっと、一応仲間なわけだから挨拶を、と」
するとインターフォンの奥から新たに声が聞こえる。
「あれぇー? 凛ちゃん? 誰か来てるの?」
「ん、なんかキャプテンがあんたをナンパしにきたみたい。用心しなさいよ」
んー? なんか冤罪をかけられている気がするぞ。
「あの……ナンパでは無いのですが……」
「はいはい、で、なに? 挨拶だけ? 大した用じゃないなら帰ってほしいんだけど」
うぅ、帰れって本音がもろに伝わってきて辛い。これ以上粘っても無駄そうだし一旦引き上げるか。凛とラーラの仲が予想以上に良いこと、凛がひたすらに冷たいことがわかったし最低限は頑張っただろう。
俺はそのまま引き下がり部屋を後にする。
次にルカの部屋に向かったが、反応は無し。無視されているのか出かけているのかはわからなかった。
最後に向かったのはファクタの部屋。オグレス星人ということで何としてでも話をしておきたい。俺がインターフォンを押すと……
「……はい?」
「! はじめまして! キャプテンの山下龍也です! 1度話しておきたかったんだけど今大丈夫か?」
「大丈夫だよ、部屋入る?」
はいと答えた俺は部屋の中にワープする。インターフォンにワープ機能が付いているようだ。
「こちらこそはじめまして、ファクタです。地球人とちゃんと話すのって初めてで緊張するなぁ~」
「俺もだ、昨日の朝なんて宇宙人がいることすら知らなかったからなぁ」
「そんな状況からすぐに戦う決断できるなんてすごいよ。力を貸してくれて本当にありがとう……!」
深々と頭を下げながらファクタは感謝の言葉を述べる。
「そんな、やめてくれよ、仲間だろ? それに地球だって負けたらどうなるかわからないしさ、そういう上下関係みたいなの無しでいこうぜ」
「そうだね、わかった……!
そういえばキャプテンはフォワードなんだよね? どんなプレーが得意なの?」
「んー、やっぱり点を決めること! って言いたいけど俺どっちかっていうとサポートの方が得意なんだよなー、ゴール前でパス出したり。
ファクタはオグレス星人だもんな、体が弱いって聞いたけど大丈夫なのか?」
「うん、体力は走り込めばなんとかなったしね。フィジカルは弱いけどそれをカバーする技を身につけたんだ」
そのまましばらくの間、俺とファクタはサッカーだけに留まらず色々な話をした。
生まれた星は違えど分かり合うことは可能なのだと実感する。
ゼラまで辿り着いて説得する。無茶だと思ってた理想に少し近づいた気がした。
しかし良いことは続かず。その後の夕食ではヒルとルカに話しかけるも無視され、ラーラに話しかけるも凛にガードされ、結局大した成果を得ることはできなかった。
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