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鍛冶武者修行に出ますが何か!(海竜街編)
第弐百四拾弐話 拵え師として頑張りますがニャにか! その弐
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「その様な事を言う為にわざわざおこしになったのですか?
御大ともあろう御方が、一度受けられた仕事の依頼を取り消すなどと、よく口になされましたなぁ。」
御爺々様が向かった先はレヴィアタン街の大通りに大きな門構えの店を構える如何にも大店といった風情を醸す一軒の店だったニャ。
僕は、その大店の脇に隠れて店の中を窺っていると、トライデントの拵えを整える依頼を断ろうとする御爺々様に対して、恰幅の良い眼つきの鋭い魚人族の男が御爺々様と対峙する様に目の前に立つと、睨み付ける様にしながら依頼を断ろうとする御爺々様を嬲る様な言葉を投げかけて来た。
そんな大店の主人に対し御爺々様は少しだけ眉間に皺を寄せたものの、怒り出すことなく努めて冷静に
「確かに、一度請け負った依頼を断るのはワシも申し訳なく思うニャ。じゃが、拵えをと言って今朝届けられたトライデントを見ての苦渋の判断なのニャ。
ティブロン商会からの依頼じゃから間違いは無いと思って現物を見ずに安請け合いをしてしまったのは此方の落ち度じゃが、あのような物に拵えをと言われて、『はい、そうですかと!』と言う訳にはいかんのニャ。
申し訳ニャいが断るのニャ!」
と毅然とした態度で対応する御爺々様に僕は改めて尊敬の念を深めたのニャ。でも、暢気に中の様子を窺っていられるのは此処までだったのニャ。
突然踏み鳴らすような大きな足音が響いたと思ったら、店の奥から一人の男が姿を現しそのまま御爺々様に近寄って行ったと思ったら、いきなり頭を下げたままの御爺々様に向かって大きく足を上げそのまま蹴りつけてきたのニャ。
頭を下げたままの御爺々様は、避ける事も出来ずそのまま蹴りを受けて店先へと転げ出てしまったんニャ。
そんな御爺々様の姿に、道行くレヴィアタン街の人達は何事かと驚きの顔を浮かべたのニャが、目の前にあるのがティブロン商会だと確認すると急いでその場から離れて行ってしまって、誰一人として道端で倒れている御爺々様に手を貸そうとする人はいなかったのニャ。
しかも、店の者達もその光景が当たり前かの様に平然としていて、中には蹴り出されて倒れている御爺々様の姿に笑みを浮かべている者まで居たのニャ。
そんな非道を働くティブロン商会にも、倒れている御爺々様に手を貸そうともせず逃げるようにその場を離れていくレヴィアタン街の人達に対しても僕の中で怒りの感情が沸々と沸き立ってきたのニャ。
でも、事態はこれで終わりでは無かったのニャ。御爺々様を蹴り出した男があろうことか依頼の断りと共に返却するために持って来ていたトライデントを手に店先に姿を現したのニャ。
「俺のトライデントを『あのような物』などと吐き捨てるとはこの耄碌ジジイがぁ!
物を知らない貴様に教えてやろう。
このトライデントは人魚族の島で最も強き男である俺が、島を守る守手衆の長となった時に譲り受けた特別な一品。長年島を守る為に働いて来た業物だ。
一見しただけでは古びた物に見えるかもしれないが、それは長年島を守って来た証。
我ら人魚族伝来の武具の価値も分からず、拵えを整える事が出来ないなどとは無礼千万。貴様の様な耄碌ジジイには勿体ないが、その身で我が武具の真価を味わうが良い!!」
そう叫んだかと思うと、手にしたトライデントの矛先を御爺々様に向けて突き出してきたのニャ。あまりに突然の事に、御爺々様は身を翻し突き出された矛先を躱そうとしたものの、三又に分かれた穂先から逃れる事が出来ずに、肩を貫かれてしまったのニャ。
肩から鮮血を散らし苦悶の表情を浮かべる御爺々様に対し、男は狂気の光を瞳に宿し再びトライデントを構えたのニャ。
その光景に、僕は後先考えず身を隠していた店舗の影から飛び出し、御爺々様とトライデント男の間に割って入っていたニャ。
「なっ! アプロ!?」
両腕で全面を防御する様な恰好で前に出し、両の袖に隠し持っているトンファーでトライデントを受け止めようとすると、穂先の股の間にまるで図った様に腕が入り込み、トンファーで突き出された勢いは止まったものの、三又の真ん中・一番長く伸びた穂先が僕の頬を掠め、頬から伸びる自慢の髭を斬り落として止まったニャ。
僕は自分の無謀な行動と運良く、髭が犠牲になった事だけで済んだ事に、心臓はバクバク背中に冷や汗をドバっと掻いていると、背後からいきなり現れた僕に驚きつつ心配の声を上げる御爺々様。
一方、突然の乱入者に繰り出したトライデントを止められた人魚族の男は、驚きながら剣呑な眼差しを僕に向けていたのニャが、
「・・・良い度胸だ、小僧。どうやらその耄碌ジジイの身内の者のようだな…ジジイ!この小僧の度胸に免じて貴様の無礼な物言いについては許してやろう。
その分依頼はきっちりと受けてもらうぞ!!
次に顔を見せる時にはこのトライデントに相応しい拵えを施せ。もし、手抜きの仕事だった時にはその皺首を貰い受ける。そう心得ておけ、勿論逃げ出す事も許さぬ。もし貴様が依頼を放り出し逃げ出した時には、貴様の皺首だけでなくこの小僧のそっ首貰い受ける。よいな!!」
そう言い捨てると、手にしていたトライデントを僕の目の前に突き立てると、踵を返し店の中へ入っていったのニャ。
あまりに一方的な物言いに、慌てて店の中に消えた人魚族へと手を伸ばした御爺々様だったのニャが、その時には既に人魚族の姿は店の奥へと消えていて、代わりにティブロン商会の主人がその大きな体で僕たちの視界を塞ぐように立つと、厭らしい笑顔を浮かべてこう告げたのニャ。
「御大、良かったですなぁ~命を取られずに済んで。人魚族と言えばここレヴィアタン街と羅漢獣王国の間に広がる海域を縄張りにしている海の戦人。気性が激しく我が商会でも大変に気を使わなければならないお方たち。そんなお方に無礼を働いて命が助かるなど早々ない事ですぞ。この幸運をくれぐれも疎かになさいませぬように。」
と…。
御大ともあろう御方が、一度受けられた仕事の依頼を取り消すなどと、よく口になされましたなぁ。」
御爺々様が向かった先はレヴィアタン街の大通りに大きな門構えの店を構える如何にも大店といった風情を醸す一軒の店だったニャ。
僕は、その大店の脇に隠れて店の中を窺っていると、トライデントの拵えを整える依頼を断ろうとする御爺々様に対して、恰幅の良い眼つきの鋭い魚人族の男が御爺々様と対峙する様に目の前に立つと、睨み付ける様にしながら依頼を断ろうとする御爺々様を嬲る様な言葉を投げかけて来た。
そんな大店の主人に対し御爺々様は少しだけ眉間に皺を寄せたものの、怒り出すことなく努めて冷静に
「確かに、一度請け負った依頼を断るのはワシも申し訳なく思うニャ。じゃが、拵えをと言って今朝届けられたトライデントを見ての苦渋の判断なのニャ。
ティブロン商会からの依頼じゃから間違いは無いと思って現物を見ずに安請け合いをしてしまったのは此方の落ち度じゃが、あのような物に拵えをと言われて、『はい、そうですかと!』と言う訳にはいかんのニャ。
申し訳ニャいが断るのニャ!」
と毅然とした態度で対応する御爺々様に僕は改めて尊敬の念を深めたのニャ。でも、暢気に中の様子を窺っていられるのは此処までだったのニャ。
突然踏み鳴らすような大きな足音が響いたと思ったら、店の奥から一人の男が姿を現しそのまま御爺々様に近寄って行ったと思ったら、いきなり頭を下げたままの御爺々様に向かって大きく足を上げそのまま蹴りつけてきたのニャ。
頭を下げたままの御爺々様は、避ける事も出来ずそのまま蹴りを受けて店先へと転げ出てしまったんニャ。
そんな御爺々様の姿に、道行くレヴィアタン街の人達は何事かと驚きの顔を浮かべたのニャが、目の前にあるのがティブロン商会だと確認すると急いでその場から離れて行ってしまって、誰一人として道端で倒れている御爺々様に手を貸そうとする人はいなかったのニャ。
しかも、店の者達もその光景が当たり前かの様に平然としていて、中には蹴り出されて倒れている御爺々様の姿に笑みを浮かべている者まで居たのニャ。
そんな非道を働くティブロン商会にも、倒れている御爺々様に手を貸そうともせず逃げるようにその場を離れていくレヴィアタン街の人達に対しても僕の中で怒りの感情が沸々と沸き立ってきたのニャ。
でも、事態はこれで終わりでは無かったのニャ。御爺々様を蹴り出した男があろうことか依頼の断りと共に返却するために持って来ていたトライデントを手に店先に姿を現したのニャ。
「俺のトライデントを『あのような物』などと吐き捨てるとはこの耄碌ジジイがぁ!
物を知らない貴様に教えてやろう。
このトライデントは人魚族の島で最も強き男である俺が、島を守る守手衆の長となった時に譲り受けた特別な一品。長年島を守る為に働いて来た業物だ。
一見しただけでは古びた物に見えるかもしれないが、それは長年島を守って来た証。
我ら人魚族伝来の武具の価値も分からず、拵えを整える事が出来ないなどとは無礼千万。貴様の様な耄碌ジジイには勿体ないが、その身で我が武具の真価を味わうが良い!!」
そう叫んだかと思うと、手にしたトライデントの矛先を御爺々様に向けて突き出してきたのニャ。あまりに突然の事に、御爺々様は身を翻し突き出された矛先を躱そうとしたものの、三又に分かれた穂先から逃れる事が出来ずに、肩を貫かれてしまったのニャ。
肩から鮮血を散らし苦悶の表情を浮かべる御爺々様に対し、男は狂気の光を瞳に宿し再びトライデントを構えたのニャ。
その光景に、僕は後先考えず身を隠していた店舗の影から飛び出し、御爺々様とトライデント男の間に割って入っていたニャ。
「なっ! アプロ!?」
両腕で全面を防御する様な恰好で前に出し、両の袖に隠し持っているトンファーでトライデントを受け止めようとすると、穂先の股の間にまるで図った様に腕が入り込み、トンファーで突き出された勢いは止まったものの、三又の真ん中・一番長く伸びた穂先が僕の頬を掠め、頬から伸びる自慢の髭を斬り落として止まったニャ。
僕は自分の無謀な行動と運良く、髭が犠牲になった事だけで済んだ事に、心臓はバクバク背中に冷や汗をドバっと掻いていると、背後からいきなり現れた僕に驚きつつ心配の声を上げる御爺々様。
一方、突然の乱入者に繰り出したトライデントを止められた人魚族の男は、驚きながら剣呑な眼差しを僕に向けていたのニャが、
「・・・良い度胸だ、小僧。どうやらその耄碌ジジイの身内の者のようだな…ジジイ!この小僧の度胸に免じて貴様の無礼な物言いについては許してやろう。
その分依頼はきっちりと受けてもらうぞ!!
次に顔を見せる時にはこのトライデントに相応しい拵えを施せ。もし、手抜きの仕事だった時にはその皺首を貰い受ける。そう心得ておけ、勿論逃げ出す事も許さぬ。もし貴様が依頼を放り出し逃げ出した時には、貴様の皺首だけでなくこの小僧のそっ首貰い受ける。よいな!!」
そう言い捨てると、手にしていたトライデントを僕の目の前に突き立てると、踵を返し店の中へ入っていったのニャ。
あまりに一方的な物言いに、慌てて店の中に消えた人魚族へと手を伸ばした御爺々様だったのニャが、その時には既に人魚族の姿は店の奥へと消えていて、代わりにティブロン商会の主人がその大きな体で僕たちの視界を塞ぐように立つと、厭らしい笑顔を浮かべてこう告げたのニャ。
「御大、良かったですなぁ~命を取られずに済んで。人魚族と言えばここレヴィアタン街と羅漢獣王国の間に広がる海域を縄張りにしている海の戦人。気性が激しく我が商会でも大変に気を使わなければならないお方たち。そんなお方に無礼を働いて命が助かるなど早々ない事ですぞ。この幸運をくれぐれも疎かになさいませぬように。」
と…。
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