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鍛冶武者修行に出ますが何か!(海竜街編)
第弐百拾壱話 海竜《レヴィアタン》街に到着しましたが何か!
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お久しぶりです。三か月ぶりの投稿になります。
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「「ほ~ぉ(へ~ぇ)、此処がレヴィアタン街かぁ・・・」」
御登りサン的発言を口にして口をポカンと開けてまるで鳥居の様なレヴィアタン街の街門を見つめる俺と紫慧に、リリスとルークスそしてアルディリアとアプロはクスクスと笑みを浮かべていた。
「ようやく着きましたな。まぁ、初めて訪れる驍廣さん達が驚くのも無理は無いでしょう。此処レヴィアタン街は竜人族に合わせたリンドブルム街やニーズヘッグ街の街並みとは異なり、羅漢獣王国に多く住む妖獣人族の方々が好む街並みが混然一体となって交じり合った一種独特の街並みですからな。
特にこの街門、これなど妖獣人族が祀る社の入口に設けられた門が取り入れられております。」
ニコニコと満面の笑みでレヴィアタン街について説明を始めたのは、今回のレヴィアタン街行きに同行してきた羅漢獣王国の商人組合参与・波奴真安だった。
今回のレヴィアタン街行きは俺と紫慧、アルディリアとアプロの四人に案内を買って出た波奴真安。そして、リンドブルム街を出立する段になって護衛役として紹介された豊樹の郷にいる筈のリリスとルークスの計七人。
前回、ニーズヘッグ街行きの際一緒だったヒルダとレアンは、レヴィアタン街の公子(公女)フィーンとの一悶着の後、リンドブルム家の執事長バトレルさんから花嫁修業があると告げられ身柄を押さえられた為に今回は同道しなかった。
そんなヒルダが、自分が同道できないのならば、と呼び寄せたのが豊樹の郷で新婚生活を謳歌している筈のリリスとルークスだった。
『精竜の役』と呼ばれるようになったニーズヘッグ街と天樹国の紛争後、天樹国ではハイエルフ氏族を頂点に行われていた統治(支配)体制は崩壊し、変わって豊樹の郷に住むダークエルフ氏族や清湖の郷に住むアクアエルフ氏族をはじめとした各氏族の代表者(主に族長)の合議によって『国』としての政が決められるようになった。
一方、リンドブルム街と豊樹の郷との蜜月関係は変わらず、寧ろ強固になっていて街と郷との間での情報や物資のやり取りも盛んになり、人の行き来も頻繁に行われていた。
そんな中、俺がレヴィアタン街だけでなく様々な国や街に赴くと決まった時点で、ヒルダは直ぐに豊樹の郷に連絡をとり、新婚生活を満喫していたリリスとルークスを呼び寄せたようだ。
もっとも、リリスとルークスにとっても渡りに船の話だったようで、護衛と称し俺達と共に進むレヴィアタン街までの道中、まるで俺達に当て突けるかのように仲睦まじい姿を見せつけ、一体どこが護衛なのかと疑いたくなるほどだった。
もしかしたらリリス達二人にとって今回の護衛役はある意味、新婚旅行のような物?なのかもしれない。
まぁ、豊樹の郷では族長の娘と郷守役の息子の婚姻ともなれば四六時中周囲から視線を集める事となり、気が休まる時が無かっただろうからヒルダからの連絡に一も二も無く跳びついても仕方のない事なのかもしれないが、とは言え道程の中で数は少ないものの魔獣と遭遇した際には、魔獣の姿を俺達が確認しそれぞれの武具に手を掛ける時には既にリリスの弓矢による先制とルークスの斬撃による止めの一撃で魔獣を全て葬り去り、護衛役としての仕事をきちんとこなしているため何も文句は言えなかった。
そんな俺達が訪れたレヴィアタン街は真安が言うように、建物自体はリンドブルム街やニーズヘッグ街と同じ中華様式ではあったものの、使われている色使いが何処かしら現世の日本を思い出させるような『和』の雰囲気を醸し出していた。
そして、リンドブルム街との一番の違いは街門に詰める衛兵の姿が無い事だった。その街門は鳥居の様な太い柱があるだけで、人の出入りを閉ざすような扉は無く何時でも自由に人の往来が可能な門となっていた。そんな開かれた門から見た和の雰囲気を醸す街並みに俺と紫慧は懐かしさを覚え見とれていたのだが、真安の説明の間にアルディリア達に笑われている事に気づいて慌てて居住まいを正していると、街門の奥の方から通りを歩く多くの民衆を掻き分けるようにして数人の偉丈夫と共にアルバートやエンリケが着ていたような漢服を身に着けた大柄な男が姿を現した。
その男の姿を見つけた真安は一瞬驚いたような表情を浮かべたが直ぐにいつもの商人の顔になり声を張り上げた。
「これは、これは、ポリティス殿ではありませんか! 一体どうしたのですかこの様な場所に足を運ばれて?」
真安の声に、その姿を確認したのかポリティスと呼ばれた大柄な男は少し小走りになって俺達の前まで駆け寄ってくるとこれまた大きな声で、
「波奴真安! リンドブルム街のアルバート様から送られた書簡を受け取ってより今日まで、いつ来るかと待っておったのだ!!
それで、件の鍛冶師殿はどちらにおられる? まずはフィーン様が働いた非礼を止める事が出来なかった事、詫びねば・・・」
と俺の事を訪ねる様な事を言いながらもその眼は頭に黒子虎を載せた俺と、肩に紅鷹《炎》を止まらせる紫慧の姿を捉えていた。
そんなポリティスに真安は苦笑を浮かべて、
「まあまあポリティス殿、その様に慌てずとも直ぐにご紹介いたしますが、この様な往来の場では如何なものかと思うのですが?それに我々はリンドブルム街からようやくこちらに辿り着いたばかり。先ずは宿に入り暫しの休憩の後改めてギルドにお伺いしたいと思うのですが、如何でしょうか?」
そう告げると、ポリティスは少し申し訳なさそうな表情を浮かべて、
「こ、これは私としたことが・・・正に真安殿の言われる通りだ。アルバート様からの書簡が届いてより一日千秋の思いで来訪を待ちわびていたがために、物見の『真安殿、来訪!』の知らせについ我を忘れていた。
先ずは真安殿がレヴィアタン街に構える羅漢獣王国の商館にて体を休まれた後、ギルドより使いの者を差し向わせます故、ギルドまでお越し願いたい。
おい! 獣王国の商館に真安殿一行がレヴィアタン街に着いたと先触れに走るのだ、急げぇ!!」
ポリティスはまるで貴人を迎えた時の様な態度を見せ真安以下俺達に頭を下げると傍らに控えていた偉丈夫の一人に商館への知らせに走らせると言った配慮まで示した。そんなポリティスの態度に感心しながらも、ギルド総支配人という地位にある者の態度には思えず、
「真安。一体どんな話をしたんだ?レヴィアタン街の民政を仕切るギルド総支配人の腰の低さに俺は驚きと戸惑いを覚えてるんだが・・・何か裏でもあるのか?」
こっそりと真安に耳打ちする俺の言葉が聞こえたのか、真安が答えるよりも早くポリティスが、
「これは心外!裏などある筈がありはしませぬ。先ほどから言うようにレヴィアタン街の公子であるフィーン様が真安殿が預かり仕上げを当街の扇職人に依頼した品に横槍を入れ、さらにご自分の物にしようとされるといった暴挙を止められなかった我らレヴィアタン街ギルドの責めてもの謝罪の気持ちを示したまで。ただ、ギルドを預かる者として多少なりとも貴殿の心証を良くしておきたいという思惑が無い訳でもないが・・・そこの所は分かって下され津田驍廣殿。」
そういって大きな体を折り曲げて俺の方に顔を寄せ、ニッコリと笑みを向けて来た。
「これは何とも隠し事をせぬ御仁だ♪しかし、まだ真安からの紹介が無いのによく俺が津田驍廣だと分かったなぁ?」
ポリティスが浮かべた笑みと自らの思惑を隠そうとしないその態度に好感を抱き、俺がリンドブルム街から来た鍛冶師だと認めると、ポリティスは一層笑みを深めて、
「やはりそうであったか。いやなに、以前リンドドブルム街を襲った魔獣騒動が終息した後で行われた領主同士の会合の席で報告に立ったヒルデガルド嬢の傍らで共に説明をされた賢虎殿を頭に乗せられているのでそうでないかと思ったまでのこと。
正式にはギルドにお越しいただいた際に致しますが、名乗りだけさせていただきたい。私はポリティス・バレイラ、ここレヴィアタン街のギルし総支配人を任されている者です、どうかお見知りおきを。
では、真安殿一行を商館の方にご案内しご休憩ください。」
それだけ言うと軽く一礼し、供の者達を引き連れ悠々とギルドのある方へと去って行った。
「真安、あのポリティスってギルドの総支配人はなかなかの人物だな。幾ら非があるとはいえ一介の鍛冶師に自ら頭を下げに出向いてくるなんてなかなかできる事じゃないぞ。」
ポリティスの後姿を見送りながら隣にいる真安に呟くと、真安はチラリと俺の顔を見た後、軽く頷きながら、
「仰る通り。ここレヴィアタン街は各地の商人が己の才覚を掛けて商いを行う商都と言う一面だけでなく腕に覚えのある海の男たちが闊歩し、なかなかに荒っぽい街としても知られております。
そんな海の男達をその『腕力』と『胆力』で押さえ込み従えたのが現領主であるファレナ・アミール・レヴィアタン様ですが、そのファレナ様を支え続けるのがあのポリティス殿なのです。」
と一目置いている事を素直に認めた。
「ポリティス・バレイラにファレナ・レヴィアタンか・・・」
真安の賛辞に、ポリティスと共に今後会う事になるだろうレヴィアタン領主に期待と少しの不安を込め呟いていた。
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「「ほ~ぉ(へ~ぇ)、此処がレヴィアタン街かぁ・・・」」
御登りサン的発言を口にして口をポカンと開けてまるで鳥居の様なレヴィアタン街の街門を見つめる俺と紫慧に、リリスとルークスそしてアルディリアとアプロはクスクスと笑みを浮かべていた。
「ようやく着きましたな。まぁ、初めて訪れる驍廣さん達が驚くのも無理は無いでしょう。此処レヴィアタン街は竜人族に合わせたリンドブルム街やニーズヘッグ街の街並みとは異なり、羅漢獣王国に多く住む妖獣人族の方々が好む街並みが混然一体となって交じり合った一種独特の街並みですからな。
特にこの街門、これなど妖獣人族が祀る社の入口に設けられた門が取り入れられております。」
ニコニコと満面の笑みでレヴィアタン街について説明を始めたのは、今回のレヴィアタン街行きに同行してきた羅漢獣王国の商人組合参与・波奴真安だった。
今回のレヴィアタン街行きは俺と紫慧、アルディリアとアプロの四人に案内を買って出た波奴真安。そして、リンドブルム街を出立する段になって護衛役として紹介された豊樹の郷にいる筈のリリスとルークスの計七人。
前回、ニーズヘッグ街行きの際一緒だったヒルダとレアンは、レヴィアタン街の公子(公女)フィーンとの一悶着の後、リンドブルム家の執事長バトレルさんから花嫁修業があると告げられ身柄を押さえられた為に今回は同道しなかった。
そんなヒルダが、自分が同道できないのならば、と呼び寄せたのが豊樹の郷で新婚生活を謳歌している筈のリリスとルークスだった。
『精竜の役』と呼ばれるようになったニーズヘッグ街と天樹国の紛争後、天樹国ではハイエルフ氏族を頂点に行われていた統治(支配)体制は崩壊し、変わって豊樹の郷に住むダークエルフ氏族や清湖の郷に住むアクアエルフ氏族をはじめとした各氏族の代表者(主に族長)の合議によって『国』としての政が決められるようになった。
一方、リンドブルム街と豊樹の郷との蜜月関係は変わらず、寧ろ強固になっていて街と郷との間での情報や物資のやり取りも盛んになり、人の行き来も頻繁に行われていた。
そんな中、俺がレヴィアタン街だけでなく様々な国や街に赴くと決まった時点で、ヒルダは直ぐに豊樹の郷に連絡をとり、新婚生活を満喫していたリリスとルークスを呼び寄せたようだ。
もっとも、リリスとルークスにとっても渡りに船の話だったようで、護衛と称し俺達と共に進むレヴィアタン街までの道中、まるで俺達に当て突けるかのように仲睦まじい姿を見せつけ、一体どこが護衛なのかと疑いたくなるほどだった。
もしかしたらリリス達二人にとって今回の護衛役はある意味、新婚旅行のような物?なのかもしれない。
まぁ、豊樹の郷では族長の娘と郷守役の息子の婚姻ともなれば四六時中周囲から視線を集める事となり、気が休まる時が無かっただろうからヒルダからの連絡に一も二も無く跳びついても仕方のない事なのかもしれないが、とは言え道程の中で数は少ないものの魔獣と遭遇した際には、魔獣の姿を俺達が確認しそれぞれの武具に手を掛ける時には既にリリスの弓矢による先制とルークスの斬撃による止めの一撃で魔獣を全て葬り去り、護衛役としての仕事をきちんとこなしているため何も文句は言えなかった。
そんな俺達が訪れたレヴィアタン街は真安が言うように、建物自体はリンドブルム街やニーズヘッグ街と同じ中華様式ではあったものの、使われている色使いが何処かしら現世の日本を思い出させるような『和』の雰囲気を醸し出していた。
そして、リンドブルム街との一番の違いは街門に詰める衛兵の姿が無い事だった。その街門は鳥居の様な太い柱があるだけで、人の出入りを閉ざすような扉は無く何時でも自由に人の往来が可能な門となっていた。そんな開かれた門から見た和の雰囲気を醸す街並みに俺と紫慧は懐かしさを覚え見とれていたのだが、真安の説明の間にアルディリア達に笑われている事に気づいて慌てて居住まいを正していると、街門の奥の方から通りを歩く多くの民衆を掻き分けるようにして数人の偉丈夫と共にアルバートやエンリケが着ていたような漢服を身に着けた大柄な男が姿を現した。
その男の姿を見つけた真安は一瞬驚いたような表情を浮かべたが直ぐにいつもの商人の顔になり声を張り上げた。
「これは、これは、ポリティス殿ではありませんか! 一体どうしたのですかこの様な場所に足を運ばれて?」
真安の声に、その姿を確認したのかポリティスと呼ばれた大柄な男は少し小走りになって俺達の前まで駆け寄ってくるとこれまた大きな声で、
「波奴真安! リンドブルム街のアルバート様から送られた書簡を受け取ってより今日まで、いつ来るかと待っておったのだ!!
それで、件の鍛冶師殿はどちらにおられる? まずはフィーン様が働いた非礼を止める事が出来なかった事、詫びねば・・・」
と俺の事を訪ねる様な事を言いながらもその眼は頭に黒子虎を載せた俺と、肩に紅鷹《炎》を止まらせる紫慧の姿を捉えていた。
そんなポリティスに真安は苦笑を浮かべて、
「まあまあポリティス殿、その様に慌てずとも直ぐにご紹介いたしますが、この様な往来の場では如何なものかと思うのですが?それに我々はリンドブルム街からようやくこちらに辿り着いたばかり。先ずは宿に入り暫しの休憩の後改めてギルドにお伺いしたいと思うのですが、如何でしょうか?」
そう告げると、ポリティスは少し申し訳なさそうな表情を浮かべて、
「こ、これは私としたことが・・・正に真安殿の言われる通りだ。アルバート様からの書簡が届いてより一日千秋の思いで来訪を待ちわびていたがために、物見の『真安殿、来訪!』の知らせについ我を忘れていた。
先ずは真安殿がレヴィアタン街に構える羅漢獣王国の商館にて体を休まれた後、ギルドより使いの者を差し向わせます故、ギルドまでお越し願いたい。
おい! 獣王国の商館に真安殿一行がレヴィアタン街に着いたと先触れに走るのだ、急げぇ!!」
ポリティスはまるで貴人を迎えた時の様な態度を見せ真安以下俺達に頭を下げると傍らに控えていた偉丈夫の一人に商館への知らせに走らせると言った配慮まで示した。そんなポリティスの態度に感心しながらも、ギルド総支配人という地位にある者の態度には思えず、
「真安。一体どんな話をしたんだ?レヴィアタン街の民政を仕切るギルド総支配人の腰の低さに俺は驚きと戸惑いを覚えてるんだが・・・何か裏でもあるのか?」
こっそりと真安に耳打ちする俺の言葉が聞こえたのか、真安が答えるよりも早くポリティスが、
「これは心外!裏などある筈がありはしませぬ。先ほどから言うようにレヴィアタン街の公子であるフィーン様が真安殿が預かり仕上げを当街の扇職人に依頼した品に横槍を入れ、さらにご自分の物にしようとされるといった暴挙を止められなかった我らレヴィアタン街ギルドの責めてもの謝罪の気持ちを示したまで。ただ、ギルドを預かる者として多少なりとも貴殿の心証を良くしておきたいという思惑が無い訳でもないが・・・そこの所は分かって下され津田驍廣殿。」
そういって大きな体を折り曲げて俺の方に顔を寄せ、ニッコリと笑みを向けて来た。
「これは何とも隠し事をせぬ御仁だ♪しかし、まだ真安からの紹介が無いのによく俺が津田驍廣だと分かったなぁ?」
ポリティスが浮かべた笑みと自らの思惑を隠そうとしないその態度に好感を抱き、俺がリンドブルム街から来た鍛冶師だと認めると、ポリティスは一層笑みを深めて、
「やはりそうであったか。いやなに、以前リンドドブルム街を襲った魔獣騒動が終息した後で行われた領主同士の会合の席で報告に立ったヒルデガルド嬢の傍らで共に説明をされた賢虎殿を頭に乗せられているのでそうでないかと思ったまでのこと。
正式にはギルドにお越しいただいた際に致しますが、名乗りだけさせていただきたい。私はポリティス・バレイラ、ここレヴィアタン街のギルし総支配人を任されている者です、どうかお見知りおきを。
では、真安殿一行を商館の方にご案内しご休憩ください。」
それだけ言うと軽く一礼し、供の者達を引き連れ悠々とギルドのある方へと去って行った。
「真安、あのポリティスってギルドの総支配人はなかなかの人物だな。幾ら非があるとはいえ一介の鍛冶師に自ら頭を下げに出向いてくるなんてなかなかできる事じゃないぞ。」
ポリティスの後姿を見送りながら隣にいる真安に呟くと、真安はチラリと俺の顔を見た後、軽く頷きながら、
「仰る通り。ここレヴィアタン街は各地の商人が己の才覚を掛けて商いを行う商都と言う一面だけでなく腕に覚えのある海の男たちが闊歩し、なかなかに荒っぽい街としても知られております。
そんな海の男達をその『腕力』と『胆力』で押さえ込み従えたのが現領主であるファレナ・アミール・レヴィアタン様ですが、そのファレナ様を支え続けるのがあのポリティス殿なのです。」
と一目置いている事を素直に認めた。
「ポリティス・バレイラにファレナ・レヴィアタンか・・・」
真安の賛辞に、ポリティスと共に今後会う事になるだろうレヴィアタン領主に期待と少しの不安を込め呟いていた。
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