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鍛冶武者修行に出ますが何か!(海竜街編)
第弐百五拾四話 乱が起こってしまいましたが何か!その五(トゥラバ・ティブロン視点)
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「 まだか・・」
「すいません、首領トゥラバ。急がせているのですが、抵抗が激しく制圧するまでにはもう暫しく・・・。」
儂の漏らした呟きを、隣でレヴィアタン街鎮守府制圧の指揮を執っている女海賊、ニーシュが聞き付けて謝罪の言葉を口にした。
そんな、彼女に儂は一言「そうか、急げよ」とだけ返し、口を閉ざす。
彼女は恐縮したように深々と頭を下げると、小走りに儂の隣を離れて行った。多分、鎮守府制圧を急がせるため指揮下に居る海賊どものケツを叩きに向かったのだろう。
だが、儂が漏らした一言は、配下の海賊たちがに向けての言葉では無かった。
儂の苛立ちを向けた先は、この場にはまだ顔を出していない男に向けてのもの・・
レヴィアタン街の領主の首を取ると息巻いていた、莫迦に向けてのものだった。
儂らがレヴィアタン街の鎮守府に攻め入って既に数刻が経とうとしていた。
計画では儂らケルシュ海賊団が海から鎮守府に攻め入るのを合図に、衛兵団を率いたミハイルが領主邸へと乗り込み、領主の首を取って儂らの元に駆けつけ、鎮守府に籠る海兵どもを抑えてレヴィアタン街全体を儂らの支配下に置く手筈になっていた。
しかし、ミハイルの莫迦は一向に姿を現さず、儂らは鎮守府に立て籠もる海兵相手に戦い続けなければならなくなっていた。そのおかげで、儂の可愛い手下たちにも多くの負傷者が出て来ていた。
もっとも、儂もモーヴィの奴が不在の状況でここまで海兵どもが頑強に抵抗してくるとは予想していなかった。これまでレヴィアタン街周辺の海域で儂ら海賊の天敵は領主のファレナと鎮守府で指揮を執るモーヴィの二人と考えていた。
実際、これまで儂ら海賊が拿捕されたり沈められた時は必ずファレナかモーヴィが船の舳先に立ち陣頭指揮を執っていた。
そのため、モーヴィ不在の状況でなら夜陰に乗じて奇襲を掛ければ簡単に鎮守府は制圧できると思っていたのだ。しかし、実際に蓋を開けてみれば、鎮守府の門は破ったものの、海兵どもは鎮守府内の通路を封鎖して頑強に抵抗を続け、その為に儂らは少なからぬ被害を出していた。
その苛立ちから、未だ現われないミハイルに対する愚痴が毀れてしまったのだ。
それにしても、ミハイルは何をしているのだ?総勢五十名を超す衛兵団を率いて領主邸に乗り込んだはず。なのに未だにファレナの首と共にこの場に現れぬとは。
まさか、ファレナに返り討ちに・・・
そう考えたものの儂は頭を左右に振りその悪い予想を振り払おうとした。しかし・・
「首領トゥラバ、大変です! ファレナが、レヴィアタン街領主ファレナ・レヴィアタンがぁ!!」
先程陣頭指揮を執る為に儂の隣を離れたニーシェが、血相を変えて駆け込んで来ると鎮守府を指差しながら声を上げた。
その言葉に、儂は言葉を失い腰掛けていた椅子から立ち上がりニーシェが指差す方向へ視線を向け、
「ふぁ、ファレナ・レヴィアタン・・・」
と、鎮守府の最上階に姿を現し、儂らを見下ろす我が宿敵の姿を目の当たりにし、思わ呟いた声が自分でも分かるほど震えていた。
「首領トゥラバ・・どうしたのですか?お顔の色が優れませんが。」
ファレナの出現に、儂の顔色が変わった事に当惑するニーシェ。そう言えば、あの女が領主となりモーヴィに海の事を任せて一線を退いてから既に二十年ほど経っている。ニーシェをはじめとした若い海賊たちはあの女の事を良く知らなくとも仕方のない事なのかもしれぬ。しかし、当時の事を知る儂らにとっては、忘れたくとも忘れられぬ『恐れ』が目の前に現れ、儂の心は千々に乱れ・・
「煩い!」
と、八つ当たり気味にニーシェを怒鳴りつけて、腰に下げていた蛮刀へと手を添えて抜きながら配下の海賊たちに『ファレナを討ち取れ』と号令を掛けようとしたのだが、そんな儂のことを見透かしているかのように、ファレナを自身の右腕を高々と掲げ手に持った扇をパッと広げ
「下郎・・これまで周辺海域を跳梁跋扈するだけだったゆえ大目に見て来たが、よくも我が愛しき街を土足で踏み躙ろうとしてくれたな。その罪、万死に値する!
我が雄々しき海の兵たちよ。我らが愛するレヴィアタン街に仇なす者どもに、日頃鍛えし武威を示すは今ぞ!!」
「「「「「うぉおおおおお~!!」」」」」
儂たちには睨みを利かせておいてから、鎮守府内に籠る海兵に対する督励に、呼応して足を踏み鳴らし雄叫びを上げる海兵たち。
と次の瞬間、獰猛な猛獣の彷彿とさせる笑みを浮かべたファレナは、扇を儂らに向けて振ると同時に
「我が海兵たちよ、愛しき街に仇なす愚か者どもを蹂躙せよ!」
と告げた。その督励に合わせ鎮守府内から漏れていていた海兵どもの声と跫音(踏み鳴らす足音)が徐々に近づいて来たかと思うと、鎮守府内の通路を塞ぐ障害物の排除を行っていた筈の配下たちが鎮守府内から押し出され、その後に続いて現われたのは憤怒の表情を浮かべた海兵たちがその姿だった。
海兵どもは何故かいつも儂らを取り締まる際に手にする呉鉤や直剣といった武具を腰に下げたままで姿を現したのだが、その中の海竜人族の海兵たちが鎮守府から姿を現した途端腰に下げていた武具を鞘のまま腰から外してその場に打ち捨てると、魚人族や他の人族の海兵に先駆け、鬨の声を上げながら徒手空拳で配下の海賊たちに躍りかかって来た。
初め配下の海賊たちはファレナの号令を受けて姿を現した海兵に及び腰になりかけたものの、姿を現すなり武具を捨てて迫ってくる海竜人族の海兵の挙動に、これから行われる一歩的な蹂躙を想像して嗜虐的な笑みを浮かべ、海兵が近づいてくるのを待ち構えていたのだが、いざ海賊たちが持つ武具が届く距離にまで迫った海兵に対し武具を振り降ろして行ったのだが、海賊たちの攻撃は全て躱され、あるいは弾かれて次の瞬間には対峙した穢兵たちの拳や蹴りによって土を舐める事となった。
その光景を目の当たりにし、儂は遅まきながらレヴィアタン街で日常的に行われている風景が思い出された。
それは、海竜人族を中心に街のあちらこちらで行われていた武術鍛錬。
翼を持ち速い動きを身上とする翼竜人族。
巨躯とその体に見合った膂力を持ち、肩に頑強な甲羅を備えた甲竜人族。
それら二つの竜人族に比べ、柔軟性はあるものの線の細い如何にも荒事が苦手というような体つきの海竜人族。
そんな体躯で劣る海竜人族が日常的に行っていた武術の鍛練に一体何の意味が?と思っていたが、まさかその答えをこの様に示されるとは・・・
そんな思いが儂の頭の中を駆け巡り、思わず噛み締めた奥歯からギリギリと心の内を吐露する音が周囲へ漏れ出した。
その音に振り返るニーシェ以下儂の周りを固める海賊たち。そして、血相を変えて配下の海賊たちを反撃するよう鼓舞する様に声を張り上げてゆく。
それが功を奏したのか、海賊たちが一方的に地を舐めさせられるような姿は見なくなったものの、それでも押されているのは儂らの陣営であることに変わりは無かった。
そんな中、海賊たちの指揮を執っているニーシェが儂の元へと歩み寄り、
「#首領__ドン__#トゥラバ、残念ながらこのままでは海兵どもの勢いを止める事は難しいかと・・
首領は海に戻り、捲土重来を!」
と儂に耳元へ囁いた。儂は思わずニーシェを睨み付けたが、確かにこのままでは配下の海賊たちがすべて死ぬまで戦ったとしても、海兵どもを道ずれにするのがやっと。とてもその後のレヴィアタン街の制圧までは無理なことが容易に察せられた。
それでも、これまで商人に身を窶していた年月が、儂の返答を遅らせた。
『ギュイィィィ、ガァ~リガリガリガリ』
突然、鎮守府の目の前にある岸壁に停泊してある船の方から木と木を擦り合わせるような耳障りな音が響いて来た。
「「な、何事だぁ(かぁ)!」」
状況把握の為に儂とニーシェは同時に、声を上げていた。すると、後方に控えていた海賊の一人が顔を青くして走り寄って声を上げた。
「た、大変です!海に出ていたと思われる鎮守船隊の一隻が、岸壁に停泊してあった海賊船に強襲を掛けて来ましたぁ!」
「何だとぉ!?鎮守府の船が戻って来たぁ?だが、たかが一隻だろう奇襲を掛けて来たところで乗り込む海兵もたかが知れている。早々に対処せんかぁ!!」
突然、鎮守船隊の船一隻が港に戻り儂らの船を襲撃して来たとの報告がもたらされた。その報告に、さっさと対処しろと儂は苛立ちと共に声を荒げたのだが、
「それが、鎮守船隊の船に乗っていたのは・・・」
「が~っはっはっはっは♪ 厄介事を済ませて戻って来てみれば儂の居ぬ間にレヴィアタン街を襲うとは、海賊らしい姑息な事をしおるわい。
じゃが、これで広い海原を捜して回らずとも良くなるわ、一網打尽にしてやるからその場を動くなよぉ!!」
と、聞き覚えのある嫌な声が・・・
「モーヴィ爺かぁ! 我が海兵たちよ、愚か者どもを一網打尽にするべくモーヴィ提督が海から戻って来た。我らの勝利は目の前ぞ!!」
儂らに知らしめるかのように、あの女の声がその場に響き渡り、奥歯から漏れる音が一層大きくなっていくのを止める事が出来なかった。
「すいません、首領トゥラバ。急がせているのですが、抵抗が激しく制圧するまでにはもう暫しく・・・。」
儂の漏らした呟きを、隣でレヴィアタン街鎮守府制圧の指揮を執っている女海賊、ニーシュが聞き付けて謝罪の言葉を口にした。
そんな、彼女に儂は一言「そうか、急げよ」とだけ返し、口を閉ざす。
彼女は恐縮したように深々と頭を下げると、小走りに儂の隣を離れて行った。多分、鎮守府制圧を急がせるため指揮下に居る海賊どものケツを叩きに向かったのだろう。
だが、儂が漏らした一言は、配下の海賊たちがに向けての言葉では無かった。
儂の苛立ちを向けた先は、この場にはまだ顔を出していない男に向けてのもの・・
レヴィアタン街の領主の首を取ると息巻いていた、莫迦に向けてのものだった。
儂らがレヴィアタン街の鎮守府に攻め入って既に数刻が経とうとしていた。
計画では儂らケルシュ海賊団が海から鎮守府に攻め入るのを合図に、衛兵団を率いたミハイルが領主邸へと乗り込み、領主の首を取って儂らの元に駆けつけ、鎮守府に籠る海兵どもを抑えてレヴィアタン街全体を儂らの支配下に置く手筈になっていた。
しかし、ミハイルの莫迦は一向に姿を現さず、儂らは鎮守府に立て籠もる海兵相手に戦い続けなければならなくなっていた。そのおかげで、儂の可愛い手下たちにも多くの負傷者が出て来ていた。
もっとも、儂もモーヴィの奴が不在の状況でここまで海兵どもが頑強に抵抗してくるとは予想していなかった。これまでレヴィアタン街周辺の海域で儂ら海賊の天敵は領主のファレナと鎮守府で指揮を執るモーヴィの二人と考えていた。
実際、これまで儂ら海賊が拿捕されたり沈められた時は必ずファレナかモーヴィが船の舳先に立ち陣頭指揮を執っていた。
そのため、モーヴィ不在の状況でなら夜陰に乗じて奇襲を掛ければ簡単に鎮守府は制圧できると思っていたのだ。しかし、実際に蓋を開けてみれば、鎮守府の門は破ったものの、海兵どもは鎮守府内の通路を封鎖して頑強に抵抗を続け、その為に儂らは少なからぬ被害を出していた。
その苛立ちから、未だ現われないミハイルに対する愚痴が毀れてしまったのだ。
それにしても、ミハイルは何をしているのだ?総勢五十名を超す衛兵団を率いて領主邸に乗り込んだはず。なのに未だにファレナの首と共にこの場に現れぬとは。
まさか、ファレナに返り討ちに・・・
そう考えたものの儂は頭を左右に振りその悪い予想を振り払おうとした。しかし・・
「首領トゥラバ、大変です! ファレナが、レヴィアタン街領主ファレナ・レヴィアタンがぁ!!」
先程陣頭指揮を執る為に儂の隣を離れたニーシェが、血相を変えて駆け込んで来ると鎮守府を指差しながら声を上げた。
その言葉に、儂は言葉を失い腰掛けていた椅子から立ち上がりニーシェが指差す方向へ視線を向け、
「ふぁ、ファレナ・レヴィアタン・・・」
と、鎮守府の最上階に姿を現し、儂らを見下ろす我が宿敵の姿を目の当たりにし、思わ呟いた声が自分でも分かるほど震えていた。
「首領トゥラバ・・どうしたのですか?お顔の色が優れませんが。」
ファレナの出現に、儂の顔色が変わった事に当惑するニーシェ。そう言えば、あの女が領主となりモーヴィに海の事を任せて一線を退いてから既に二十年ほど経っている。ニーシェをはじめとした若い海賊たちはあの女の事を良く知らなくとも仕方のない事なのかもしれぬ。しかし、当時の事を知る儂らにとっては、忘れたくとも忘れられぬ『恐れ』が目の前に現れ、儂の心は千々に乱れ・・
「煩い!」
と、八つ当たり気味にニーシェを怒鳴りつけて、腰に下げていた蛮刀へと手を添えて抜きながら配下の海賊たちに『ファレナを討ち取れ』と号令を掛けようとしたのだが、そんな儂のことを見透かしているかのように、ファレナを自身の右腕を高々と掲げ手に持った扇をパッと広げ
「下郎・・これまで周辺海域を跳梁跋扈するだけだったゆえ大目に見て来たが、よくも我が愛しき街を土足で踏み躙ろうとしてくれたな。その罪、万死に値する!
我が雄々しき海の兵たちよ。我らが愛するレヴィアタン街に仇なす者どもに、日頃鍛えし武威を示すは今ぞ!!」
「「「「「うぉおおおおお~!!」」」」」
儂たちには睨みを利かせておいてから、鎮守府内に籠る海兵に対する督励に、呼応して足を踏み鳴らし雄叫びを上げる海兵たち。
と次の瞬間、獰猛な猛獣の彷彿とさせる笑みを浮かべたファレナは、扇を儂らに向けて振ると同時に
「我が海兵たちよ、愛しき街に仇なす愚か者どもを蹂躙せよ!」
と告げた。その督励に合わせ鎮守府内から漏れていていた海兵どもの声と跫音(踏み鳴らす足音)が徐々に近づいて来たかと思うと、鎮守府内の通路を塞ぐ障害物の排除を行っていた筈の配下たちが鎮守府内から押し出され、その後に続いて現われたのは憤怒の表情を浮かべた海兵たちがその姿だった。
海兵どもは何故かいつも儂らを取り締まる際に手にする呉鉤や直剣といった武具を腰に下げたままで姿を現したのだが、その中の海竜人族の海兵たちが鎮守府から姿を現した途端腰に下げていた武具を鞘のまま腰から外してその場に打ち捨てると、魚人族や他の人族の海兵に先駆け、鬨の声を上げながら徒手空拳で配下の海賊たちに躍りかかって来た。
初め配下の海賊たちはファレナの号令を受けて姿を現した海兵に及び腰になりかけたものの、姿を現すなり武具を捨てて迫ってくる海竜人族の海兵の挙動に、これから行われる一歩的な蹂躙を想像して嗜虐的な笑みを浮かべ、海兵が近づいてくるのを待ち構えていたのだが、いざ海賊たちが持つ武具が届く距離にまで迫った海兵に対し武具を振り降ろして行ったのだが、海賊たちの攻撃は全て躱され、あるいは弾かれて次の瞬間には対峙した穢兵たちの拳や蹴りによって土を舐める事となった。
その光景を目の当たりにし、儂は遅まきながらレヴィアタン街で日常的に行われている風景が思い出された。
それは、海竜人族を中心に街のあちらこちらで行われていた武術鍛錬。
翼を持ち速い動きを身上とする翼竜人族。
巨躯とその体に見合った膂力を持ち、肩に頑強な甲羅を備えた甲竜人族。
それら二つの竜人族に比べ、柔軟性はあるものの線の細い如何にも荒事が苦手というような体つきの海竜人族。
そんな体躯で劣る海竜人族が日常的に行っていた武術の鍛練に一体何の意味が?と思っていたが、まさかその答えをこの様に示されるとは・・・
そんな思いが儂の頭の中を駆け巡り、思わず噛み締めた奥歯からギリギリと心の内を吐露する音が周囲へ漏れ出した。
その音に振り返るニーシェ以下儂の周りを固める海賊たち。そして、血相を変えて配下の海賊たちを反撃するよう鼓舞する様に声を張り上げてゆく。
それが功を奏したのか、海賊たちが一方的に地を舐めさせられるような姿は見なくなったものの、それでも押されているのは儂らの陣営であることに変わりは無かった。
そんな中、海賊たちの指揮を執っているニーシェが儂の元へと歩み寄り、
「#首領__ドン__#トゥラバ、残念ながらこのままでは海兵どもの勢いを止める事は難しいかと・・
首領は海に戻り、捲土重来を!」
と儂に耳元へ囁いた。儂は思わずニーシェを睨み付けたが、確かにこのままでは配下の海賊たちがすべて死ぬまで戦ったとしても、海兵どもを道ずれにするのがやっと。とてもその後のレヴィアタン街の制圧までは無理なことが容易に察せられた。
それでも、これまで商人に身を窶していた年月が、儂の返答を遅らせた。
『ギュイィィィ、ガァ~リガリガリガリ』
突然、鎮守府の目の前にある岸壁に停泊してある船の方から木と木を擦り合わせるような耳障りな音が響いて来た。
「「な、何事だぁ(かぁ)!」」
状況把握の為に儂とニーシェは同時に、声を上げていた。すると、後方に控えていた海賊の一人が顔を青くして走り寄って声を上げた。
「た、大変です!海に出ていたと思われる鎮守船隊の一隻が、岸壁に停泊してあった海賊船に強襲を掛けて来ましたぁ!」
「何だとぉ!?鎮守府の船が戻って来たぁ?だが、たかが一隻だろう奇襲を掛けて来たところで乗り込む海兵もたかが知れている。早々に対処せんかぁ!!」
突然、鎮守船隊の船一隻が港に戻り儂らの船を襲撃して来たとの報告がもたらされた。その報告に、さっさと対処しろと儂は苛立ちと共に声を荒げたのだが、
「それが、鎮守船隊の船に乗っていたのは・・・」
「が~っはっはっはっは♪ 厄介事を済ませて戻って来てみれば儂の居ぬ間にレヴィアタン街を襲うとは、海賊らしい姑息な事をしおるわい。
じゃが、これで広い海原を捜して回らずとも良くなるわ、一網打尽にしてやるからその場を動くなよぉ!!」
と、聞き覚えのある嫌な声が・・・
「モーヴィ爺かぁ! 我が海兵たちよ、愚か者どもを一網打尽にするべくモーヴィ提督が海から戻って来た。我らの勝利は目の前ぞ!!」
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