ソムリエ相談役

日向コタ

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6.親友とのワイン会

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 ケイの店には時たま、ホテルソムリエ時代の親友、「タカ」が飲みにやってくる。タカも元ソムリエで、歳もケイと同い年だったため、今でも親交がある。
 この日は開店と同時にタカがやってきて、フランス・ブルゴーニュ地方のピノ・ノワールを注文し、二人で飲んでいる。タカはボトルで注文し、ケイと飲み交わすのがお決まりだ。
 「うーん、相変わらず美味いね。しなやかさの中に力強さがある。」いつ聞いても、だいたい同じコメントだ。
 「お前と飲むと、懐かしいホテル時代を思い出すよ。あの頃は忙しかったけど、いい思い出だな。」ケイは懐かしみながらワインを一口、口に含んだ。
 「そうそう、年に一度は旅行に行ったよな!覚えてるか?伊香保温泉に遊びに行って朝まで飲み明かしたんだけど、宿を予約してなくて車中泊した時のこと。」
 「当たり前だろ。真冬の車の中はさすがに寒すぎたよな~」二人はケラケラと笑いあった。
 「それだけに、朝7時からオープンする朝風呂が待ち遠しかったよな!温泉がまるで天国のようだった、、」タカは酔いも回ってきて、上機嫌だ。
 「あれは最高だったな。あそこまで無茶は出来ないけど、また遊びに行きたいねぇ。せっかくの第二の人生だし、楽しまなくちゃな。」ケイはまるで仕事中とは思えないほど、くつろいでいた。
 「なーに言ってるんだよ。お前は十分楽しそうじゃないか。立派な店構えて。それはそうと、来月の平日、どこかで温泉旅行でも行くか!独身老人の二人旅、案外楽しいかもよ?」タカはニヤニヤしている。
 「そーだな、予定考えとく。しかし、若い女の子が沢山いるようなとこはダメだぞ!お前騙されるからな。」ケイはタカに発破をかけた。そう、タカは若い女の子にぼったくられるのが得意だ。
 「それで気持ちが若くいられるなら、いいんじゃねーか?」タカは笑いながらワインを飲み干した。
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