君は誰よりも美しい

折方しょくえん

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変化

タルトとチーズケーキ

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 次の日、電話をしたら佐伯はすぐに私を誘ってくれた。
 同日の午後、私のバイトしているカフェで佐伯と会った。
「カプチーノひとつ。佐伯は。」
「俺はミルクティーで。」
「案外甘いのが好きなのね。」
「そうそう。本当は一緒にケーキも食べたかったんだけどね。」
「だったら、このタルトかチーズケーキもおすすめ。」
 私は気付いたら、身を乗り出して佐伯に話しかけていた。
 遠くにメニューがあったんだ、とでも言い訳しておこう。
 意識してしまい、赤くなっているうちに、彼はタルトもチーズケーキも頼んでいた。
「二つも食べれるの。」
「半分こ、でしょ?」
 何て純粋なまま育ったのかと思った。
「私は食べないわよ。」
「つれないな。いいから食べるぞ。」
 ちょっと強引なところも変わっていなかった。
 私の周りが、私がどんどん変わっていったなかったで、佐伯が全然変わっていなくて少し嬉しかった。
「変わらないわね、佐伯は。」
 彼は遠くを見ていた、気がした。
「こちら、春のタルトとチーズケーキです。」
「おっ。ありがとうございます。」
 こういうときにありがとう、と言えるのも佐伯の良いところだと思う。
 佐伯は品の良い人だった。
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