君は誰よりも美しい

折方しょくえん

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変化

佐伯理人

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 次の日、私はいつも通りに彼に接した。
 一緒に暮らしているのに、いつまでもきまずいままだといけないと思ったからだ。少しはポジティブに考えないと、また精神がやられそうになった。
               ~♪
「ちょっと電話してくる。」
「わかった。先食べてるよ。」
 私は寝室に行き、電話に出た。
『もしもし。』
『久しぶりー!覚えてるか!?』
『どちら様でしょうか。』
 私は一つ思い当たる節があった。
『もしかして、佐伯か。』
『そう!佐伯!佐伯理人さえきりひと。』
『久しぶりだね。急にどうしたの。』
『この前街で里村を見掛けたんだけど、なんか悲しそうな顔してたからさ。ついつい電話掛けちまったよ。』
 いつの間に。でも、友達の中で気付いたのは、佐伯だけだ。
『ちょっと私生活で色々あって。』
『まあ、愚痴にはいくらでも付き合うから、今度久しぶりに一緒に出掛けようぜ。』
『わかった。ありがとう。』
『おう!じゃあ切るからな。またな。』
『うん。』
              プツン
 懐かしい友達からの電話だった。
 佐伯理人。佐伯は、中学校で一番最初にできた友達だった。
 そうは言っても私は、あまり周りと積極的にコミュニケーションをとるタイプではなかった。そのため、友達は二人しかできなかった。
 そのうちの一人が佐伯というわけだ。
 かつては、ちーちゃん、りひくん、なんて呼び合っていたのもよく覚えている。今はもうできない淡い過去。
 

 私は佐伯を頼ってみようかと思った。
 明日、電話をしてみよう。
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