君は誰よりも美しい

折方しょくえん

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変化

シャンプー

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 私は、バイトを終わらせ颯爽と家に帰った。
 帰った時には、既に彼がご飯を作っていてくれたため、彼とご飯を食べることにした。
「美味しい。」
「ありがとう。」
 彼の作る料理は、少し薄味だった。多分私は、かつて雪国に住んでいたため、感覚がずれているのだろう。
 私は毎日彼に料理の感想を話している。でも、最近はパターン化してきていて、少し彼も飽きているのではないのかと感じてしまう。
 でも、私は今、それよりも彼女について質問したい。
 バイト先に表れて、名前まで聞かれたらもう、確実に何かがあるだろう。
 そして、私には聞く権利があるだろう。
 でも、でも……。
「ねえ。」
「なにした?」
「楠さんって誰なの。」
 何分無言でいただろう。彼は静かにご飯を食べていた。
 咀嚼音だけが響いていた。
 ああ、間違ったなと思った。せめて、食事中は避ければ良かったなと思った。
 何でこんな冷静なんだろう。
 自分に非がないと思っているからかな。
「千流。お風呂終わってから、話そう。」
「うん。」
 私は彼よりも少し早く食べ終わらせ、先にお風呂に入った。
 そこでもう一度、彼女について思い出していた。
 すごく美しかったなと思った。


 何故か今日はあのシャンプーを使いたくなった。
 彼女と同じ匂いがした。
 でも、不思議と、嫌ではなかった。
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