君は誰よりも美しい

折方しょくえん

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変化

5ヶ月

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 ああ、もう嘘のように時間が過ぎていき、気付けば2か月も経っていた。
 あれから、明かされたことは何もない。同棲の理由も、シャンプーも、伊頼って人のことも。
 ただただ単調な日々を繰り返すだけ。今になって思えば、安易に返事をした自分が悪かったのね、と考えられるようになった。あの日みたいに取り乱す様子は、それ以降も何度か見られた。
 でも、触れてはいけないんだと思い、生活していた。


 変わらない毎日。安定している。なのに、こんなにも心にくるものはあって、精神は安定しない。
 もっとずっと楽しいものを想像していた。
 自分の考えの未熟さに嫌気がさしてくる。

 この5ヶ月の間に唯一変わったことは、体の関係をもってしまったことだ。お酒の力とかでもなんでもなくて、ただ行為をした。私はきっと、誰かと間違えられてた。
 虚しいよ。もちろん。
 虚しくないわけないじゃん。勝手に好意を抱いていたら、その相手に別の人と思われて行為をしたのだ。
 虚無感が否めない。
 彼がどう思っていたのかは分からない。本当は私だと分かっていて抱いたのかもしれない。
 でも、そんなことあるはずない。思い込み、かしら。
 行為自体は、4回行った。



 不健康な関係だと思った。
 同棲……か。
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