10 / 26
二人の西宮君
彼の優しさ
しおりを挟む
ゆっくりと午後の時間を過ごし、二人で様々な話をした。一人暮らしが長い彼は私より物知りで沢山教えてくれた。少しは彼のことを知れた気がする。
夜ご飯は近くのファミレスにいった。高校から近いため同級生たちにばれてしまうかもしれない。少し不安もある中、二人でご飯を食べた。
荷物を運んだり、整理をしたりしたため、疲れが溜まっていた。
早くお風呂に入りたい。
「和門、お風呂借りていい?」
「うん。シャンプーとかもあるから使って。タオルは上の籠に入ってるから。」
あのシャンプー、どんな香りか。
私が使っているシャンプーより甘い。フローラルの香りが好きな私はそのシャンプーがとても気に入った。
入れ替わりで彼がお風呂に入った。私はこの長い髪の毛を乾かす。彼が出てくるまでの時間しか乾かす時間が無い。少し窮屈さを感じる。
「僕と同じ匂いがする。」
そう言って彼が抱き着いてきた。距離の近づけ方が今までになく、違和感を感じる。
少し気持ちが悪い。
でも、拒否をすることはなく、数分間そのままにしていた。
拒否ができなかったわけではない。
意図的にしなかった。
「千流。」
抱き着いたまま彼が耳元で囁くように言った。若干身震いして、でも、大人しく返事をする。
「んー?」
「僕のこと、嫌い?」
「なんで?」
私はバカだから、先に、質問で返してしまう。思ったことをすぐ口に出してしまう。これは良くない私の癖だ。
「やっぱりなんでもないや。これからよろしくね。」
「うん。」
彼はあまり突っ込んでこない。私の個人的事情も聞いてこない。
何故だろう。
彼の優しさか、何か。
とりあえず、私も彼のことはあまり聞かないでおこう。
夜ご飯は近くのファミレスにいった。高校から近いため同級生たちにばれてしまうかもしれない。少し不安もある中、二人でご飯を食べた。
荷物を運んだり、整理をしたりしたため、疲れが溜まっていた。
早くお風呂に入りたい。
「和門、お風呂借りていい?」
「うん。シャンプーとかもあるから使って。タオルは上の籠に入ってるから。」
あのシャンプー、どんな香りか。
私が使っているシャンプーより甘い。フローラルの香りが好きな私はそのシャンプーがとても気に入った。
入れ替わりで彼がお風呂に入った。私はこの長い髪の毛を乾かす。彼が出てくるまでの時間しか乾かす時間が無い。少し窮屈さを感じる。
「僕と同じ匂いがする。」
そう言って彼が抱き着いてきた。距離の近づけ方が今までになく、違和感を感じる。
少し気持ちが悪い。
でも、拒否をすることはなく、数分間そのままにしていた。
拒否ができなかったわけではない。
意図的にしなかった。
「千流。」
抱き着いたまま彼が耳元で囁くように言った。若干身震いして、でも、大人しく返事をする。
「んー?」
「僕のこと、嫌い?」
「なんで?」
私はバカだから、先に、質問で返してしまう。思ったことをすぐ口に出してしまう。これは良くない私の癖だ。
「やっぱりなんでもないや。これからよろしくね。」
「うん。」
彼はあまり突っ込んでこない。私の個人的事情も聞いてこない。
何故だろう。
彼の優しさか、何か。
とりあえず、私も彼のことはあまり聞かないでおこう。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

見えるものしか見ないから
mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。
第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

【完結】元お義父様が謝りに来ました。 「婚約破棄にした息子を許して欲しい」って…。
BBやっこ
恋愛
婚約はお父様の親友同士の約束だった。
だから、生まれた時から婚約者だったし。成長を共にしたようなもの。仲もほどほどに良かった。そんな私達も学園に入学して、色んな人と交流する中。彼は変わったわ。
女学生と腕を組んでいたという、噂とか。婚約破棄、婚約者はにないと言っている。噂よね?
けど、噂が本当ではなくても、真にうけて行動する人もいる。やり方は選べた筈なのに。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる