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社会人編
恋しい人よ②
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懐いてくれている後輩が、実は自分に好意を寄せていたらしい。
伊織が思いもよらなかったその事実を知ってから、一週間が過ぎた。
駅からビルの僅かな距離で火照った頬を扇ぐ。日々、頭上からは太陽の光が、下からはアスファルトにたっぷりと蓄えられた熱気が道行く人々を苦しめている。
まだまだ夏の終わりは見えない。学生たちは長期休暇を楽しんでいるのだろうが、伊織たちのような社会人は暑かろうが寒かろうが毎日決まった通りに出勤しなければいけないのだ。
「伊織さん、おはようございます」
「おはよう」
「今日、午前会議ですよね。その後で例の案件のチェックしていただきたいんですが、いいですか?」
「午後は……社内だし、うん。大丈夫」
外よりも冷やされたエントランスで、背後からの声に振り向く。どれほど暑くても、彼の清涼感は失われることはない。丁度、大雅が伊織の方へと駆け寄ってくる最中だった。サイダーのテレビコマーシャルが似合いそうだと漠然と思った。
隣に並ぶと、少しばかり目線が上になる。話している時はそれほど身長差を感じないが、伊織が思うよりも大雅の方が背が高い。意識してみると、それがよく分かった。
よく見れば形の良い額にも、伊織と同じように汗が滲んでいた。
大雅が軽く鼻を啜ったのを見て、伊織は首を傾げる。
「風邪?」
「ってわけじゃないんですけど……昨日の夜クーラーを付けっぱなしで寝ちゃって」
「ああー……俺もたまにやる」
「消したら寝苦しいし、丁度いいところが分からないんですよね」
大雅の振る舞いは以前と変わらないように見える。
目の前で容量限界まで社員たちを乗せたエレベーターを見送って、次のエレベーターが来るまで待つ。
「学生の頃は夏って好きな季節だったんですけどね」
「夏休みがあるからね。祭りとか花火大会とか……行ってたなあ」
「俺も部活の奴らとよく行きましたよ。空気に酔って、ナンパとかして」
「え、意外」
「俺じゃないですよ! 俺は見てる側なんで」
心外だと言わんばかりに顔を顰めている。少しあどけなさを感じさせる表情に、伊織の唇から笑みが溢れた。
「そっか。やっぱりそういうタイプじゃないか」
「そうですよ。伊織さんもそうでしょ。なんならされる側」
「そんなことないよ。俺は言い寄られてる友達を助ける側」
懐かしい記憶が蘇る。大輪の夜の華に照らされる、美しい男の横顔。まだ伊織が恋を知らなかった頃の淡い思い出の一つである。
寂しがるようにぎゅっと心臓が縮こまって、伊織は気が付かれないようにため息を吐いた。
「一番カッコイイやつじゃないですか」
「実際はおどおどしながら怖々と横入りするんだけどね」
二人で何気ない会話を交わしていると、大雅が小さく声を洩らした。
「どうかした?」
「伊織さん」
「な、に………っ!」
ぐっと整った顔が近付いて、大雅の手が伊織の目元に伸びる。突然、眼前に迫ってきたかんばせは近くで見れば見るほど整っていた。驚いて、伊織は咄嗟に目を瞑る。大雅の指先が目元を掠めて離れていった。
「……え?」
きょとりと目を丸くして大雅を見る。大雅は摘んだ何かを払うような仕草をしながら言う。
「睫毛、ついてました」
「あっ……ありがとう」
「いえいえ。にしても中々来ませんね。どっかで詰まってそう」
大雅は平然としている。伊織の耳が熱くなる。恥ずかしい。これでは伊織がやたらと意識しているようではないか。
睫毛くらい言ってくれたら自分で取ったのに。
階数表示の点滅を見上げる大雅を横目に、伊織は声に出さずにぼやいた。
昼休みになり、伊織は大きく伸びをして凝り固まった体を解す。
年齢のせいか、肩凝りや腰痛も気になるようになってきた。まとめて休みを取って、温泉にでも行きたい。肩を回しながら周囲に視線を巡らせると、大雅やその後輩たちが揃ってオフィスを出ていこうとしているのが見えた。
その時、大雅と目が合う。他の者たちとは一人外れて、大雅が伊織のデスクへと寄ってきた。
「いいな。外でランチ?」
「伊織さんも行きます?」
「いやあ、若い子たちに混じるのはちょっと」
「大丈夫ですよ」
「ここは笑うとこ。やりたいことあるから、今日は遠慮しとくよ」
「了解です。あー、伊織さんが来ないと俺の奢りなんですよね」
「こら、先輩を財布扱いしない」
大雅は悪戯っぽく笑いながら、オフィスから出ていく。つい頬を緩ませながらその姿を見送ると、伊織は再びパソコンに向き合った。
軽食を片手に作業を進め、オフィスの外から近づいてくる同僚たちの声に伊織は顔を上げた。時計を見ればもう昼休みも十分ほどしか残っていない。
しかしその甲斐はあった。キーボードを叩くスピードも緩やかに落ちて、書類もあと少しで完成というところである。
不意に伊織の左の手の甲にひんやりとした冷気を感じた。そちらを見れば、少し汗をかいたコーヒーチェーンのカップがデスクに置かれている。
「日向くん」
「昼返上ですか?」
斜め上を見上げると、大雅が眉を顰めてパソコンを見つめていた。
「午前の会議で突っ込まれたところだし、はやく直しておきたくてね」
「そういうところは流石ですけど、無理しないでくださいよ」
「大丈夫。これ、俺に買ってきてくれたの?」
「はい。アイスカフェラテ」
「ありがとう」
大雅はよく伊織のことを見ている。ブラックコーヒーも飲めないことはないが、こちらの方が好みだ。いや、大雅は別に伊織のことばかりを見ているのではないだろう。周りをよく見ているという意味で、などと誰に聞かれているわけでもないのに言い訳を並べていた。
そんな伊織の心情など知るはずもない大雅が隣の席から椅子を引っ張ってきて腰を掛ける。
軽く咳払いをしてから伊織はストローに口をつけた。まろやかなコーヒーの香りがいっぱいに広がって、氷で冷えた液体が体に心地よく滲んでいく。
年下の面倒見もいいし、年上への気遣いもできる。見目も良く同年代の女性たちが放っておかないだろう男が、何故、伊織なんかに惹かれているか、考えれば考えるほど分からなくなりそうだ。
「どこに食べに行ったの?」
「ラーメン屋です」
「もしかして裏の? あそこ、安くて美味しいよね」
「伊織さんが教えてくれたんですよ」
「そうだっけ?」
「はい。初めて連れて行ってくれたところです」
伊織は首を傾げていたが、大雅ははっきりと言い切っていた。生憎、伊織には覚えがない。そもそも大雅を初めて食事に連れて行ったのも、もう随分と前になるのだ。
「よく覚えてるね」
伊織が笑うと、大雅のくっきりとした瞳がどこか恨めしげに半目になった。
椅子ごと大雅の体が近寄る。伊織の顔を覗き込んだ大雅は、拗ねた子どものように僅かに唇を尖らせていた。
「覚えてますよ」
「記憶力いいなあ」
「そうじゃなくて。伊織さんのことだから」
「………っ」
伊織は瞬きを繰り返す。絡み合った瞳の奥に燻る熱と甘さを見つけてしまって、言葉が喉につっかえた。
その時、伊織のスマホのアラームが震えた。あくまで淡々と、昼休みの終わりの五分前を知らせている。
「じゃ、午後も頑張りましょうね」
大雅の体が傾いて、一瞬、伊織の耳元を柔らかな声が撫でていく。
伊織が何か言う前に、大雅はさっさと席を立って自分のデスクへと戻ってしまった。澄ました顔をしていたが、その後ろ姿はなんだか愉しげである。
こそばゆい感覚が、少し遅れて胸の内に広がっていく。今のはずるい。そんな感情が思わず込み上げる。不意打ちだった。
耳裏にまで昇った熱を冷ますように、伊織はアイスカフェラテを吸い上げた。
伊織が思いもよらなかったその事実を知ってから、一週間が過ぎた。
駅からビルの僅かな距離で火照った頬を扇ぐ。日々、頭上からは太陽の光が、下からはアスファルトにたっぷりと蓄えられた熱気が道行く人々を苦しめている。
まだまだ夏の終わりは見えない。学生たちは長期休暇を楽しんでいるのだろうが、伊織たちのような社会人は暑かろうが寒かろうが毎日決まった通りに出勤しなければいけないのだ。
「伊織さん、おはようございます」
「おはよう」
「今日、午前会議ですよね。その後で例の案件のチェックしていただきたいんですが、いいですか?」
「午後は……社内だし、うん。大丈夫」
外よりも冷やされたエントランスで、背後からの声に振り向く。どれほど暑くても、彼の清涼感は失われることはない。丁度、大雅が伊織の方へと駆け寄ってくる最中だった。サイダーのテレビコマーシャルが似合いそうだと漠然と思った。
隣に並ぶと、少しばかり目線が上になる。話している時はそれほど身長差を感じないが、伊織が思うよりも大雅の方が背が高い。意識してみると、それがよく分かった。
よく見れば形の良い額にも、伊織と同じように汗が滲んでいた。
大雅が軽く鼻を啜ったのを見て、伊織は首を傾げる。
「風邪?」
「ってわけじゃないんですけど……昨日の夜クーラーを付けっぱなしで寝ちゃって」
「ああー……俺もたまにやる」
「消したら寝苦しいし、丁度いいところが分からないんですよね」
大雅の振る舞いは以前と変わらないように見える。
目の前で容量限界まで社員たちを乗せたエレベーターを見送って、次のエレベーターが来るまで待つ。
「学生の頃は夏って好きな季節だったんですけどね」
「夏休みがあるからね。祭りとか花火大会とか……行ってたなあ」
「俺も部活の奴らとよく行きましたよ。空気に酔って、ナンパとかして」
「え、意外」
「俺じゃないですよ! 俺は見てる側なんで」
心外だと言わんばかりに顔を顰めている。少しあどけなさを感じさせる表情に、伊織の唇から笑みが溢れた。
「そっか。やっぱりそういうタイプじゃないか」
「そうですよ。伊織さんもそうでしょ。なんならされる側」
「そんなことないよ。俺は言い寄られてる友達を助ける側」
懐かしい記憶が蘇る。大輪の夜の華に照らされる、美しい男の横顔。まだ伊織が恋を知らなかった頃の淡い思い出の一つである。
寂しがるようにぎゅっと心臓が縮こまって、伊織は気が付かれないようにため息を吐いた。
「一番カッコイイやつじゃないですか」
「実際はおどおどしながら怖々と横入りするんだけどね」
二人で何気ない会話を交わしていると、大雅が小さく声を洩らした。
「どうかした?」
「伊織さん」
「な、に………っ!」
ぐっと整った顔が近付いて、大雅の手が伊織の目元に伸びる。突然、眼前に迫ってきたかんばせは近くで見れば見るほど整っていた。驚いて、伊織は咄嗟に目を瞑る。大雅の指先が目元を掠めて離れていった。
「……え?」
きょとりと目を丸くして大雅を見る。大雅は摘んだ何かを払うような仕草をしながら言う。
「睫毛、ついてました」
「あっ……ありがとう」
「いえいえ。にしても中々来ませんね。どっかで詰まってそう」
大雅は平然としている。伊織の耳が熱くなる。恥ずかしい。これでは伊織がやたらと意識しているようではないか。
睫毛くらい言ってくれたら自分で取ったのに。
階数表示の点滅を見上げる大雅を横目に、伊織は声に出さずにぼやいた。
昼休みになり、伊織は大きく伸びをして凝り固まった体を解す。
年齢のせいか、肩凝りや腰痛も気になるようになってきた。まとめて休みを取って、温泉にでも行きたい。肩を回しながら周囲に視線を巡らせると、大雅やその後輩たちが揃ってオフィスを出ていこうとしているのが見えた。
その時、大雅と目が合う。他の者たちとは一人外れて、大雅が伊織のデスクへと寄ってきた。
「いいな。外でランチ?」
「伊織さんも行きます?」
「いやあ、若い子たちに混じるのはちょっと」
「大丈夫ですよ」
「ここは笑うとこ。やりたいことあるから、今日は遠慮しとくよ」
「了解です。あー、伊織さんが来ないと俺の奢りなんですよね」
「こら、先輩を財布扱いしない」
大雅は悪戯っぽく笑いながら、オフィスから出ていく。つい頬を緩ませながらその姿を見送ると、伊織は再びパソコンに向き合った。
軽食を片手に作業を進め、オフィスの外から近づいてくる同僚たちの声に伊織は顔を上げた。時計を見ればもう昼休みも十分ほどしか残っていない。
しかしその甲斐はあった。キーボードを叩くスピードも緩やかに落ちて、書類もあと少しで完成というところである。
不意に伊織の左の手の甲にひんやりとした冷気を感じた。そちらを見れば、少し汗をかいたコーヒーチェーンのカップがデスクに置かれている。
「日向くん」
「昼返上ですか?」
斜め上を見上げると、大雅が眉を顰めてパソコンを見つめていた。
「午前の会議で突っ込まれたところだし、はやく直しておきたくてね」
「そういうところは流石ですけど、無理しないでくださいよ」
「大丈夫。これ、俺に買ってきてくれたの?」
「はい。アイスカフェラテ」
「ありがとう」
大雅はよく伊織のことを見ている。ブラックコーヒーも飲めないことはないが、こちらの方が好みだ。いや、大雅は別に伊織のことばかりを見ているのではないだろう。周りをよく見ているという意味で、などと誰に聞かれているわけでもないのに言い訳を並べていた。
そんな伊織の心情など知るはずもない大雅が隣の席から椅子を引っ張ってきて腰を掛ける。
軽く咳払いをしてから伊織はストローに口をつけた。まろやかなコーヒーの香りがいっぱいに広がって、氷で冷えた液体が体に心地よく滲んでいく。
年下の面倒見もいいし、年上への気遣いもできる。見目も良く同年代の女性たちが放っておかないだろう男が、何故、伊織なんかに惹かれているか、考えれば考えるほど分からなくなりそうだ。
「どこに食べに行ったの?」
「ラーメン屋です」
「もしかして裏の? あそこ、安くて美味しいよね」
「伊織さんが教えてくれたんですよ」
「そうだっけ?」
「はい。初めて連れて行ってくれたところです」
伊織は首を傾げていたが、大雅ははっきりと言い切っていた。生憎、伊織には覚えがない。そもそも大雅を初めて食事に連れて行ったのも、もう随分と前になるのだ。
「よく覚えてるね」
伊織が笑うと、大雅のくっきりとした瞳がどこか恨めしげに半目になった。
椅子ごと大雅の体が近寄る。伊織の顔を覗き込んだ大雅は、拗ねた子どものように僅かに唇を尖らせていた。
「覚えてますよ」
「記憶力いいなあ」
「そうじゃなくて。伊織さんのことだから」
「………っ」
伊織は瞬きを繰り返す。絡み合った瞳の奥に燻る熱と甘さを見つけてしまって、言葉が喉につっかえた。
その時、伊織のスマホのアラームが震えた。あくまで淡々と、昼休みの終わりの五分前を知らせている。
「じゃ、午後も頑張りましょうね」
大雅の体が傾いて、一瞬、伊織の耳元を柔らかな声が撫でていく。
伊織が何か言う前に、大雅はさっさと席を立って自分のデスクへと戻ってしまった。澄ました顔をしていたが、その後ろ姿はなんだか愉しげである。
こそばゆい感覚が、少し遅れて胸の内に広がっていく。今のはずるい。そんな感情が思わず込み上げる。不意打ちだった。
耳裏にまで昇った熱を冷ますように、伊織はアイスカフェラテを吸い上げた。
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