【ガランド】羽切りトトセ【せっかく領主様に助けてもらったのに、結局空を飛べなくなった話】

解き放たれた鳥

　みんな、やっていることはMACAROON編とほぼ同じです。ただ、結末がハッピーエンドとは言いがたく、十才がかわいそうな目に遭います。
　それでも問題がないという方のみ、この先へお進みください。

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　はあ、はあ、はあ。
　真夏にも関わらず、薄汚れたマントに身を包んだ青年が街を駆け抜ける。
　彼はたった今、奴隷として飼われていたサーカス団から逃げ出して来たところだった。　

　とうとう逃げたぞ、逃げてやったぞ…！
　団長のやつ、今頃慌ててオレを探しているに違いない。いつも気に食わないことがあると、鞭でオレを叩く最低な野郎だった。
　だが、それも今日でおさらばだ。
　二度とおまえのためなんかには踊らないぜ。
　オレを使って大々的に集客していたんだ、観客になんて言いわけするのか見たかったなあ…。
　ざまあ見やがれ…！

　彼は顔がにやけるのを止められなかった。
　オレはあいつに一杯食わせてやったんだ。
　あとはこの街から逃げればいいんだ。そうすれば、自由が待っているんだ。
　青年は興奮冷めやらぬ様子で炎天下のもと、走り続けた。