ガランド・マカロン「特別な人編」

第Y章

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　「今日はありがとうございました。またよろしくお願いしますね！」
　「ああ、また連絡するよ。こちらこそありがとう」
　店を出た後、二人はアフターでラウンジに行った。その帰りに賀野がタクシーで去ったのを見送ると、リサはやっと呼吸が楽にできるようになった。
　最後まで自然に笑えたかどうか自信がない。せっかくアフターまで行ってくれたのに、踊り子の男が気になって仕方がなかったせいだ。
　帰宅するとメイクを落とすのもシャワーを浴びるのも後回しにして、とりあえず画像検索をかけたが、全くの別人しか出て来なかった。みんな似たような髪型、顔をしているが踊り子の男と似て非なる者ばかりだった。
　容姿を生かして芸能関係の仕事でもしているのかと思ったが、どうやら彼は間違いなく有名人ではなく一般人のようだった。
　顔で探すのがだめなら服装から絞ってやろうと、次にオタクの友達に写真を見せると、こんな衣装を着たキャラクターは見たことがないので、おそらくオリジナルキャラクターのコスプレではないかという話だった。
　それで教えてもらったコスプレイヤーが集まるサイトで夜通し血眼になって探してみたが、それらしき男はいなかった。
　SNSでも思いつく限りの関連タグを検索したが、全く別のコスプレイヤーが出て来るばかり。いったいどういう関係なのか突き止めようと彼女なりに調べたわけだが、結局何も分からずじまいだ。
　せめて名前さえ分かればSNSのアカウントの一つや二つ、見つかるかもしれないのにと、もどかしい気持ちを抱えたまま時間は過ぎていく。
　しかしながら、賀野がまた通ってくれるようになったので、リサは一旦踊り子の男を忘れることにした。
　そんな時に予想だにしない出来事が起こる。