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第X章
鶏を割く
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十才の思惑どおり正月が明けると、賀野が彼を組員として迎え入れる為に親子盃を交わしてくれた。
ただし、よくある大きな会場で袴姿の組員が並ぶ前で、厳かな雰囲気に包まれて行われる儀式とは違い、かなり簡素なものだった。
それには準備に時間もかかるし、いい日まで待たなければいけないので、体を張ってくれた十才には申し訳ないからと賀野が十才の安アパートで盃を交わしてくれた。それを武田が見届ける。二〇二三年一月、十才は二十七歳にして賀野の子分になった。
「咄嗟に庇ってくれて本当にありがとう」
「いえ、お役に立てて光栄です」
こうして賀野はあえて、十才の望むとおりに動いてやった。互いに秘密を抱えたまま、騙し合いが始まる。
十才は若いし、どちらかというと華奢な方だったが、格闘賭博での実績と賀野を庇った功績を考慮されて、いきなり幹部として迎え入れられた。組長付きとして賀野の外出時にはそばに付き従い、時には護衛として時には秘書として立ち回ることを求められた。
普通は若中と言って一番下の肩書きが何も与えられていない状態から(昔はもっと過酷な部屋住みから)始めるものだが、十才はその過程を丸々カットされたことになる。
当然といえば当然だが、異例であることには変わりない。十才は髪を黒色に戻し、沢山つけていたピアスもシンプルな一対だけにした。
賀野組では篠宮という青年が、複数いる組長付きをまとめていた。少し長い前髪を左右に流して後ろは短く刈っており、目は少し鋭いきらいはあったが、かなり容姿が端麗な男だった。
彼は十才ほどではないにしろ、他の組長付きのようにがっしりとしているわけでもなく、どちらかというと秘書色が強かった。その有能さと容姿のよさから賀野にとても気に入られており、普通は交代制であるにも関わらず、彼にはほとんど休みがなかった。
十才の教育は篠宮に一任された。
護衛として学ぶことはないだろうとこれも丸々カットされ、秘書のいろはを学ぶべく彼の補佐として、後をついて回る日々が始まる。
まず、賀野はとにかく全国を飛び回ることが多いので、十才たちもそれに従って移動して長旅になることも珍しくはなく、ホテルに着く頃にはへとへとになるというのもざらだった。
ヤクザ社会は表社会のように人付き合いを大切としている為、冠婚葬祭に当たる義理事には顔を出すのが礼儀とされ、たとえば法要や盃事、祝い事に呼ばれればどんなに遠くても賀野は必ず駆けつけている。
しかも、包むお金の額で器を測られる為、天童会二次団体の組長ともなれば大金を用意しなければならない。それが月十件以上はあるので、千万円単位でお金が軽く飛ぶ。
だが、色んな所に顔を出して己を売ることで初めてヤクザ社会では対等に渡り合える為、これは存外大事な仕事であった。人脈をきちんと構築すれば、払ったお金以上のお金が戻って来るのだ。
十才からしてみれば、丸々組本部長のなんとかさんだとかどこそこの舎弟頭の誰々さんとか、みんな似たような厳ついおじさんばかりなので、顔と名前を覚えるのが大変だったが。
少し想像してみて欲しい。急に「哀」と「衰 」と「衷」を目の前に並べられたって、全部同じようにしか見えないだろう。それと同じなのだ。
次に、義理事とこれまた同じくらい多いのが会議と会食だった。
ヤクザも悪巧みをする為に集まって知恵を出し合うということなのだろう、高級料亭を貸し切って親分たちが一堂に介して話し合いをする。
時にはフロント企業の役員にクラブやレストランで接待されたり、取引先とゴルフをしながら商談を進めたりすることもあって、組長の一日は本当にめまぐるしい。
てっきり、親分は下からお金を吸い上げるだけでいい暮らしができるのかと思っていたが、実際には賀野は組の誰よりも働いていた。これが普通の社長だったらなんて努力家なのだと尊敬の念を抱くところだ。ついでにいうと、賭博や覚醒剤などのシノギは武田を中心とした執行部が請け負っている。
そんな忙し過ぎる賀野を支えるのが組長付きの役目で、宿泊先や飲食店の予約はもちろんのこと、荷物持ち、スケジュール管理をこなした上で、目的地に至るまでの交通情報や賀野の趣味嗜好さえも全てを把握せねばならず、その業務は実に多岐に渡った。
「親父が安全かつ快適に過ごす為には常に先回りして、言われるより先に求められていることを察しなければならないんだ」
あれ、今って接客業の研修を受けているんだっけ?と思わず言ってしまいそうになったが、篠宮以外の組長付きたちも言われずとも飲み物や軽食を用意したり、エアコンの温度をこまめに調節したりしている。まさに至れり尽せりだ。
「待鳥、ちょっと」
いつものように義理事で、九州のホテルに泊まった時のこと。
賀野のスーツケースから衣服や日用品を取り出して整理をしていると、ちょいちょいと手招きをされた。この日篠宮は休みで、他の組長付きらは自室で荷解きをしていた。
「それが終わってからで構わないから、紅茶を淹れてくれないか」
「かしこまりました」
「ちなみに、私は紅茶はロイヤルミルクティーしか飲まないから、よろしく」
「…かしこまりました、少々お待ちください」
なんだよロイヤルミルクティーって、水道水でも飲んでろよ!と思ったが、こうなったら完璧なロイヤルミルクティーを作ってやると十才は意気込んだ。
最後の一着をクローゼットにしまうと、台所に足を運ぶ。
十才は一度も料理はしたことがないので上手くできるか自信はなかったが、やるしかない。作り方を検索してみると、ややこしい事実が判明した。
そもそもミルクティーとロイヤルミルクティー(和製英語)は全くの別物である。
ミルクティーが紅茶と牛乳をそれぞれ別に用意して、後からかけ合わせて作るのに対して、ロイヤルミルクティーは最初から、茶葉を牛乳で煮出して作るという違いがある。どちらも至極作り方がめんどうくさいのは共通しているが。
やっぱり市販のものを温めるだけではだめだろうかとむだなことを考えながら、アッサム産茶葉入り牛乳が温まるまで待つ。沸騰する直前で火を止め、茶漉しで漉してから、ガラスのティーポットに注いだ。トレイにティーセットを乗せて賀野が待つリビングルームに向かう。一応これで様にはなっているはずだ。
「…そうだな、先方からの要望で前回の倍は用意しろと言われているんだ」
電話越しに賀野が誰かと話すのが聞こえた。
これはもしや。
「うちのは質がいいんだと。…在庫にはまだ余裕があるだろ?…ああ、頼む。取引は来月の十九日で場所は…」
十才は震えた。
やっとだ、やっと賀野が喋った!
捜査開始から一年以上が経ち、いつの間にか二十七歳になっていた十才だったが、ようやくその努力が報われる日が来た。きっと賀野は油断して、つい覚醒剤取引の話をしてしまったに違いない。スパイが耳をそば立てていることも知らずに。
だが、窓ガラスに賀野の妖しい笑みが反射されていたことを、十才は知らない…。
ーーーーー
【余談1】
よく似ている漢字について。
例:「悲哀」、「衰退」、「折衷」
【余談2】
篠宮は実は元一流ホスト。賀野さんがキャバ嬢とのアフターで、来店したのがきっかけで出会った。
その後もたびたび店に通って口説かれたので、根負けして引退後に賀野組へ入る。今でも伝説のホストとして、歌舞伎町ではその名が語り継がれている。
【余談3】
賀野さんは別にそこまでロイヤルミルクティーが好きではなく、ただめんどうな注文して困らせたかっただけ。美食という美食を味わい尽くしているので、特に好き嫌いはない。
ただし、よくある大きな会場で袴姿の組員が並ぶ前で、厳かな雰囲気に包まれて行われる儀式とは違い、かなり簡素なものだった。
それには準備に時間もかかるし、いい日まで待たなければいけないので、体を張ってくれた十才には申し訳ないからと賀野が十才の安アパートで盃を交わしてくれた。それを武田が見届ける。二〇二三年一月、十才は二十七歳にして賀野の子分になった。
「咄嗟に庇ってくれて本当にありがとう」
「いえ、お役に立てて光栄です」
こうして賀野はあえて、十才の望むとおりに動いてやった。互いに秘密を抱えたまま、騙し合いが始まる。
十才は若いし、どちらかというと華奢な方だったが、格闘賭博での実績と賀野を庇った功績を考慮されて、いきなり幹部として迎え入れられた。組長付きとして賀野の外出時にはそばに付き従い、時には護衛として時には秘書として立ち回ることを求められた。
普通は若中と言って一番下の肩書きが何も与えられていない状態から(昔はもっと過酷な部屋住みから)始めるものだが、十才はその過程を丸々カットされたことになる。
当然といえば当然だが、異例であることには変わりない。十才は髪を黒色に戻し、沢山つけていたピアスもシンプルな一対だけにした。
賀野組では篠宮という青年が、複数いる組長付きをまとめていた。少し長い前髪を左右に流して後ろは短く刈っており、目は少し鋭いきらいはあったが、かなり容姿が端麗な男だった。
彼は十才ほどではないにしろ、他の組長付きのようにがっしりとしているわけでもなく、どちらかというと秘書色が強かった。その有能さと容姿のよさから賀野にとても気に入られており、普通は交代制であるにも関わらず、彼にはほとんど休みがなかった。
十才の教育は篠宮に一任された。
護衛として学ぶことはないだろうとこれも丸々カットされ、秘書のいろはを学ぶべく彼の補佐として、後をついて回る日々が始まる。
まず、賀野はとにかく全国を飛び回ることが多いので、十才たちもそれに従って移動して長旅になることも珍しくはなく、ホテルに着く頃にはへとへとになるというのもざらだった。
ヤクザ社会は表社会のように人付き合いを大切としている為、冠婚葬祭に当たる義理事には顔を出すのが礼儀とされ、たとえば法要や盃事、祝い事に呼ばれればどんなに遠くても賀野は必ず駆けつけている。
しかも、包むお金の額で器を測られる為、天童会二次団体の組長ともなれば大金を用意しなければならない。それが月十件以上はあるので、千万円単位でお金が軽く飛ぶ。
だが、色んな所に顔を出して己を売ることで初めてヤクザ社会では対等に渡り合える為、これは存外大事な仕事であった。人脈をきちんと構築すれば、払ったお金以上のお金が戻って来るのだ。
十才からしてみれば、丸々組本部長のなんとかさんだとかどこそこの舎弟頭の誰々さんとか、みんな似たような厳ついおじさんばかりなので、顔と名前を覚えるのが大変だったが。
少し想像してみて欲しい。急に「哀」と「衰 」と「衷」を目の前に並べられたって、全部同じようにしか見えないだろう。それと同じなのだ。
次に、義理事とこれまた同じくらい多いのが会議と会食だった。
ヤクザも悪巧みをする為に集まって知恵を出し合うということなのだろう、高級料亭を貸し切って親分たちが一堂に介して話し合いをする。
時にはフロント企業の役員にクラブやレストランで接待されたり、取引先とゴルフをしながら商談を進めたりすることもあって、組長の一日は本当にめまぐるしい。
てっきり、親分は下からお金を吸い上げるだけでいい暮らしができるのかと思っていたが、実際には賀野は組の誰よりも働いていた。これが普通の社長だったらなんて努力家なのだと尊敬の念を抱くところだ。ついでにいうと、賭博や覚醒剤などのシノギは武田を中心とした執行部が請け負っている。
そんな忙し過ぎる賀野を支えるのが組長付きの役目で、宿泊先や飲食店の予約はもちろんのこと、荷物持ち、スケジュール管理をこなした上で、目的地に至るまでの交通情報や賀野の趣味嗜好さえも全てを把握せねばならず、その業務は実に多岐に渡った。
「親父が安全かつ快適に過ごす為には常に先回りして、言われるより先に求められていることを察しなければならないんだ」
あれ、今って接客業の研修を受けているんだっけ?と思わず言ってしまいそうになったが、篠宮以外の組長付きたちも言われずとも飲み物や軽食を用意したり、エアコンの温度をこまめに調節したりしている。まさに至れり尽せりだ。
「待鳥、ちょっと」
いつものように義理事で、九州のホテルに泊まった時のこと。
賀野のスーツケースから衣服や日用品を取り出して整理をしていると、ちょいちょいと手招きをされた。この日篠宮は休みで、他の組長付きらは自室で荷解きをしていた。
「それが終わってからで構わないから、紅茶を淹れてくれないか」
「かしこまりました」
「ちなみに、私は紅茶はロイヤルミルクティーしか飲まないから、よろしく」
「…かしこまりました、少々お待ちください」
なんだよロイヤルミルクティーって、水道水でも飲んでろよ!と思ったが、こうなったら完璧なロイヤルミルクティーを作ってやると十才は意気込んだ。
最後の一着をクローゼットにしまうと、台所に足を運ぶ。
十才は一度も料理はしたことがないので上手くできるか自信はなかったが、やるしかない。作り方を検索してみると、ややこしい事実が判明した。
そもそもミルクティーとロイヤルミルクティー(和製英語)は全くの別物である。
ミルクティーが紅茶と牛乳をそれぞれ別に用意して、後からかけ合わせて作るのに対して、ロイヤルミルクティーは最初から、茶葉を牛乳で煮出して作るという違いがある。どちらも至極作り方がめんどうくさいのは共通しているが。
やっぱり市販のものを温めるだけではだめだろうかとむだなことを考えながら、アッサム産茶葉入り牛乳が温まるまで待つ。沸騰する直前で火を止め、茶漉しで漉してから、ガラスのティーポットに注いだ。トレイにティーセットを乗せて賀野が待つリビングルームに向かう。一応これで様にはなっているはずだ。
「…そうだな、先方からの要望で前回の倍は用意しろと言われているんだ」
電話越しに賀野が誰かと話すのが聞こえた。
これはもしや。
「うちのは質がいいんだと。…在庫にはまだ余裕があるだろ?…ああ、頼む。取引は来月の十九日で場所は…」
十才は震えた。
やっとだ、やっと賀野が喋った!
捜査開始から一年以上が経ち、いつの間にか二十七歳になっていた十才だったが、ようやくその努力が報われる日が来た。きっと賀野は油断して、つい覚醒剤取引の話をしてしまったに違いない。スパイが耳をそば立てていることも知らずに。
だが、窓ガラスに賀野の妖しい笑みが反射されていたことを、十才は知らない…。
ーーーーー
【余談1】
よく似ている漢字について。
例:「悲哀」、「衰退」、「折衷」
【余談2】
篠宮は実は元一流ホスト。賀野さんがキャバ嬢とのアフターで、来店したのがきっかけで出会った。
その後もたびたび店に通って口説かれたので、根負けして引退後に賀野組へ入る。今でも伝説のホストとして、歌舞伎町ではその名が語り継がれている。
【余談3】
賀野さんは別にそこまでロイヤルミルクティーが好きではなく、ただめんどうな注文して困らせたかっただけ。美食という美食を味わい尽くしているので、特に好き嫌いはない。
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