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第X章
悪銭身に付かず
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二日目。
十才は朝からばくばくと中華料理を頬張っていた。
昨日の夜、恵那の相手をしてレストランに行けず、軽食しか食べられなかった反動も手伝って、大量の料理があっという間に彼の胃袋に消えた。
すぐにスタッフの間で話題となり、イケメンを一目見ようと変わる変わる女子が料理を運びに来たが、色気より食気の十才は全く目もくれなかった。
「お味はいかがですか?」
「まじ、超うまいっす!あ、この糖醋排骨のお代わりをお願いしまっす…!」
「糖醋排骨」との出会いを決して忘れはしないだろう。一口食べた時の衝撃と言ったらなかった。
豚の骨付き肋肉を砂糖と酢で炒めた一品で、長時間煮込んで柔らかくなった肉に甘酸っぱいたれが絡んで絶妙な味に仕上がっている。十才史上一番白米が進んだ。さすが四字熟語は格が違う。
そしてもう一つ感動したのが、「锅包肉」。
薄く切った豚肉を衣に包んで揚げた後、やはり甘酸っぱいたれと炒めた料理で、外はさくさく中はふわふわである。好き嫌いは分かれるだろうが、ぱらぱらとかけられたパクチーと一緒に食べると、口の中が香ばしさでいっぱいになった。
上記に加え、他にも「松鼠桂鱼」や「小笼包」、「饺子」などあげたらきりがないほどの料理が現れては消え、最後にマンゴープリンで締める。
こんなに満足した食事はいつぶりだろうかとしみじみ振り返った。中華料理はなんというか日本料理とは丸切り方向性が違って、量が多い上に味付けも濃い。まるでそのお国柄を反映しているかのようだ。
「ごちそうさまでした…!」
軽く運動部全員で食べる量をぺろりと平らげると、十才は上機嫌でレストランを後にした。
これだけ食べればさすがにお昼はいらない。夜は試合前に軽く何かを腹に入れれば、それで十分だろう。恵那も舞台に出るので、差し入れとして何か持って行って一緒に食べるのもいいかもしれない。
さて、ただ飯も食ったことですし、船内調査といきますか。
十才はまずカジノを除く一番下から一番上のデッキを隅々まで見て回った。彼は一端の刑事のごとく情報を足で稼ぐことにした。
見取り図だけではいまいち何がどのような感じなのか分からないので、実際にその場に赴く必要があったのだ。皆忙しいのか、彼がどれだけうろうろしても、他の乗船客やスタッフは怪しむことさえしなかった。
次に大本命のカジノに足を踏み入れる。
プリマヴェーラ号のカジノはテーブルゲームやマシンゲームができる階と、格闘賭博を行う階とに分かれており、吹き抜けになっているので上の階から下の舞台を眺めることもできた。
舞台は観客席に四方を囲まれ、客席の間に通路が走っている。今はまだ時間ではないので封鎖されているが、夜の九時には満員になるのだろう。
あちこちでメディアに露出するような人々が、実業家や芸能人が賭け事に興じ、護衛や愛人がそばに付き従っている。
十才もただの見学というわけにいかないので、ちょうどゲームが終わったらしいテーブルに近付き、百万円(経費)を卓に置いた。カジノでは不正行為防止策として手渡しを禁じられている。
「お兄さん、チップに替えてくれます?」
「かしこまりました」
「百万って…」
ディーラーは愛想よく答えてくれたが、周りの客にくすくすと笑われてしまう。
見るとどこかの社長とその愛人らしき女だった。
むっとするが、見栄で国のお金を使い込むわけにもいかないので、ぐっと我慢した。ここでは明確に決められてはいないものの、最低でも一千万円から交換する客が多いのだ。
彼が手際よく現金と交換したチップを、やはり卓の上に並べる。
この卓ではバカラが行われており、さっそくゲームに参加する。
バカラはまたの名を「カジノの王様」と言い、単純な規則と勝負が決着するのが速いことにより人気を集めているカードゲームである。
プレイヤーとバンカーそれぞれに、ディーラーが二枚ずつカードを伏せて配り、客は数字の合計が九に近い方に賭けるというもの。
プレイヤーとバンカーといっても、実際に人がいるわけではなく、先攻後攻くらいの意味で、要するにただの選択肢だ。(1)または(2)、beef or chicken、(ア)また(イ)と同じだと思ってもらえばよい。
そして数字の数え方だが、Aは1、2から9はそのままで、10からKを0とする。もし二枚の合計が二桁になった場合、一の位のみを有効とする。
以上が大まかな規則となるが、他にも三枚目を引く条件が細かくあって、簡単と謳われつつも奥が深い遊びだ(ここでは割愛する)。
「ベットしてください」
見下されて悔しかったので、十才はプレイヤーに十万円チップを一枚賭けた。勝算はなく、完全なるビギナーズラック頼りだ。こんなことなら最低限の規則だけでなく、必勝方法も勉強しておけばよかった…。
「…え!」
ところがプレイヤーが8(ナチュラル)、バンカーが7で、十才を嘲笑った二人がバンカーに賭けていた為、彼の一人勝ちとなった。
十万円が一分足らずで二倍の二十万円に増えた。これはもしかすると今日はいけるのではないかという謎の自信に満ち溢れた十才は、連続でゲームに参加して、最終的に百万円の元手を倍近くまでに増やした。
「どうも、じゃ、オレはこれで~」
わざとらしく満面の笑みを残して、彼はるんるんでチップを持って移動する。
結局ルーレット(カジノの女王)にブラックジャック、スロットマシンで大いに負けたから手もとにはもう十万円しか残らなかったが。
冷静になるとカジノというやつはなんて恐ろしいのかと思う。いい社会勉強になったとはいえ、たったの二時間で二百万円も使わせてしまう魔力があるのだから。
やっぱりバカラで儲けた時にやめておけばよかったかなと後悔する。
そうしたら、二百万円のうち百万円は国に返すとして、残り百万円でおやつを買えたのに。百円のドーナツなら一万個も買えたし、五百円で一箱のたこ焼きなら二千箱も買えたはずだ。
うう…オレはなんて愚かなことをしてしまったのだと落ち込んでいると、
「お飲み物はいかがですか?」
「い、いただきます…」
彼はがっくりと項垂れ、何も考えずにとりあえず受け取った。
「…って酒かよ!試合前に酒はまずいだろ…」
とてもではないが、飲酒して勝てる相手ではないので、十才は一口舐めただけで別のカクテルウェイトレスにそれを押し付けた。いつまでもうじうじしてはいられない、気持ちを切り替えて試合の準備をしよう。
最後にチップを現金に戻してカジノから抜け出すと、妙に現実に戻って来たかのような安堵を覚えた。
中にいる間はなんとも思わないが、金が一瞬にして増えたり消えたりする世界というのは、やはり普通ではないのだ。だからどこかほっとしたのだと思う。
窓から差し込む暖かな日差しに誘われて、十才は最上階にあるオープンデッキに向かった。
眩しさに思わず目を細める。
このまま猫のようにひなたぼっこできたら最高なのだろうが、潮風で髪がべたつくといけなかったので、しばらくしてその場を離れた。いつか自分のお金で海上を漂いながら、のんびりとデッキチェアに寝そべって昼寝がしたいものだ。
恵那に何を差し入れようかと考えて、野菜スムージーとフルーツサンドにした。
「お嬢?今の時間帯なら劇場だろうな。おまえさん、超能力者が珍しいからって、しつこくするなよ」
「分かってますよ、ちょっと差し入れを持って行くだけっすよ」
相島に彼女の居場所を聞くと、リハーサル中だから使われていない劇場にいるだろうと教えてもらった。脳内で劇場の位置を検索して正しい道順を導き出す。
ところが、劇場の外で見張っていた末吉が十才を頑なに拒んだ。
「だめだ、帰れ」
「でももうみんなの分を持って来ちゃったんで、中に入れてくださいよ」
ね?とお願いしても彼はだめだの一点張り。なら、せめて差し入れだけでも渡してくれと、袋を渡そうとした時、
「わ、十才さん!?どうしてここに?」
「やっほー、恵那ちゃん、頑張ってる?」
あと少しで末吉に門前払いされるところだったが、リハーサルが終わり、出て来た恵那が助けてくれたおかげで、それは免れた。末吉も門衛なのではと、勘繰ってしまうほど彼は仕事にまじめであった。
「だいたいおまえもこの後いろいろ準備があるはずだろう、お嬢も忙しいんだ、それを食ったら帰れよ」
「ありがとうございます」
末吉は釘を刺して再び見張りに徹した。
恵那を指導する講師や演出家、化粧係などにも差し入れを配るとたいそう喜んでくれた。皆が気を遣って、舞台裏の控室に二人きりにしてくれる。
「十才さん、わざわざありがとうございます。ちょうどお腹が空いていたんです」
「いいよ、気にしないで。オレ、恵那ちゃんの舞台すっごく楽しみにしてるからさ。お互い頑張ろうね!」
「私も十才さんを応援しています!」
彼女が苺と生クリームでぱんぱんに膨らんだサンドウィッチを頬張る。かわいらしいだけに、まるで一生懸命頬袋にひまわりの種を詰め込むハムスターのようだ。これだけ幸せそうに食べてもらえたら、料理人もサンドウィッチも本望だろう。
「甘くておいしい…!」
十才はキウイと生クリームのサンドウィッチに齧りついた。すると、ほどよく甘い生クリームと酸っぱいキウイの相性のよさに、驚かされた。
「ほんとだ、すげーうまい!」
酸味がしっかりと効いて飽きが来ない上に、サンドウィッチなのにケーキを食べたかのような満足感が得られるのもすばらしい。お手軽・おいしい・満たされるが全て揃った、これほど完全無欠な食べ物も他にないのではないか。
「じゃ、また後でね。オレもそろそろ着替えなきゃ」
「ありがとうございました、また後で!」
いよいよ天童会の選手と対面する。
十才は朝からばくばくと中華料理を頬張っていた。
昨日の夜、恵那の相手をしてレストランに行けず、軽食しか食べられなかった反動も手伝って、大量の料理があっという間に彼の胃袋に消えた。
すぐにスタッフの間で話題となり、イケメンを一目見ようと変わる変わる女子が料理を運びに来たが、色気より食気の十才は全く目もくれなかった。
「お味はいかがですか?」
「まじ、超うまいっす!あ、この糖醋排骨のお代わりをお願いしまっす…!」
「糖醋排骨」との出会いを決して忘れはしないだろう。一口食べた時の衝撃と言ったらなかった。
豚の骨付き肋肉を砂糖と酢で炒めた一品で、長時間煮込んで柔らかくなった肉に甘酸っぱいたれが絡んで絶妙な味に仕上がっている。十才史上一番白米が進んだ。さすが四字熟語は格が違う。
そしてもう一つ感動したのが、「锅包肉」。
薄く切った豚肉を衣に包んで揚げた後、やはり甘酸っぱいたれと炒めた料理で、外はさくさく中はふわふわである。好き嫌いは分かれるだろうが、ぱらぱらとかけられたパクチーと一緒に食べると、口の中が香ばしさでいっぱいになった。
上記に加え、他にも「松鼠桂鱼」や「小笼包」、「饺子」などあげたらきりがないほどの料理が現れては消え、最後にマンゴープリンで締める。
こんなに満足した食事はいつぶりだろうかとしみじみ振り返った。中華料理はなんというか日本料理とは丸切り方向性が違って、量が多い上に味付けも濃い。まるでそのお国柄を反映しているかのようだ。
「ごちそうさまでした…!」
軽く運動部全員で食べる量をぺろりと平らげると、十才は上機嫌でレストランを後にした。
これだけ食べればさすがにお昼はいらない。夜は試合前に軽く何かを腹に入れれば、それで十分だろう。恵那も舞台に出るので、差し入れとして何か持って行って一緒に食べるのもいいかもしれない。
さて、ただ飯も食ったことですし、船内調査といきますか。
十才はまずカジノを除く一番下から一番上のデッキを隅々まで見て回った。彼は一端の刑事のごとく情報を足で稼ぐことにした。
見取り図だけではいまいち何がどのような感じなのか分からないので、実際にその場に赴く必要があったのだ。皆忙しいのか、彼がどれだけうろうろしても、他の乗船客やスタッフは怪しむことさえしなかった。
次に大本命のカジノに足を踏み入れる。
プリマヴェーラ号のカジノはテーブルゲームやマシンゲームができる階と、格闘賭博を行う階とに分かれており、吹き抜けになっているので上の階から下の舞台を眺めることもできた。
舞台は観客席に四方を囲まれ、客席の間に通路が走っている。今はまだ時間ではないので封鎖されているが、夜の九時には満員になるのだろう。
あちこちでメディアに露出するような人々が、実業家や芸能人が賭け事に興じ、護衛や愛人がそばに付き従っている。
十才もただの見学というわけにいかないので、ちょうどゲームが終わったらしいテーブルに近付き、百万円(経費)を卓に置いた。カジノでは不正行為防止策として手渡しを禁じられている。
「お兄さん、チップに替えてくれます?」
「かしこまりました」
「百万って…」
ディーラーは愛想よく答えてくれたが、周りの客にくすくすと笑われてしまう。
見るとどこかの社長とその愛人らしき女だった。
むっとするが、見栄で国のお金を使い込むわけにもいかないので、ぐっと我慢した。ここでは明確に決められてはいないものの、最低でも一千万円から交換する客が多いのだ。
彼が手際よく現金と交換したチップを、やはり卓の上に並べる。
この卓ではバカラが行われており、さっそくゲームに参加する。
バカラはまたの名を「カジノの王様」と言い、単純な規則と勝負が決着するのが速いことにより人気を集めているカードゲームである。
プレイヤーとバンカーそれぞれに、ディーラーが二枚ずつカードを伏せて配り、客は数字の合計が九に近い方に賭けるというもの。
プレイヤーとバンカーといっても、実際に人がいるわけではなく、先攻後攻くらいの意味で、要するにただの選択肢だ。(1)または(2)、beef or chicken、(ア)また(イ)と同じだと思ってもらえばよい。
そして数字の数え方だが、Aは1、2から9はそのままで、10からKを0とする。もし二枚の合計が二桁になった場合、一の位のみを有効とする。
以上が大まかな規則となるが、他にも三枚目を引く条件が細かくあって、簡単と謳われつつも奥が深い遊びだ(ここでは割愛する)。
「ベットしてください」
見下されて悔しかったので、十才はプレイヤーに十万円チップを一枚賭けた。勝算はなく、完全なるビギナーズラック頼りだ。こんなことなら最低限の規則だけでなく、必勝方法も勉強しておけばよかった…。
「…え!」
ところがプレイヤーが8(ナチュラル)、バンカーが7で、十才を嘲笑った二人がバンカーに賭けていた為、彼の一人勝ちとなった。
十万円が一分足らずで二倍の二十万円に増えた。これはもしかすると今日はいけるのではないかという謎の自信に満ち溢れた十才は、連続でゲームに参加して、最終的に百万円の元手を倍近くまでに増やした。
「どうも、じゃ、オレはこれで~」
わざとらしく満面の笑みを残して、彼はるんるんでチップを持って移動する。
結局ルーレット(カジノの女王)にブラックジャック、スロットマシンで大いに負けたから手もとにはもう十万円しか残らなかったが。
冷静になるとカジノというやつはなんて恐ろしいのかと思う。いい社会勉強になったとはいえ、たったの二時間で二百万円も使わせてしまう魔力があるのだから。
やっぱりバカラで儲けた時にやめておけばよかったかなと後悔する。
そうしたら、二百万円のうち百万円は国に返すとして、残り百万円でおやつを買えたのに。百円のドーナツなら一万個も買えたし、五百円で一箱のたこ焼きなら二千箱も買えたはずだ。
うう…オレはなんて愚かなことをしてしまったのだと落ち込んでいると、
「お飲み物はいかがですか?」
「い、いただきます…」
彼はがっくりと項垂れ、何も考えずにとりあえず受け取った。
「…って酒かよ!試合前に酒はまずいだろ…」
とてもではないが、飲酒して勝てる相手ではないので、十才は一口舐めただけで別のカクテルウェイトレスにそれを押し付けた。いつまでもうじうじしてはいられない、気持ちを切り替えて試合の準備をしよう。
最後にチップを現金に戻してカジノから抜け出すと、妙に現実に戻って来たかのような安堵を覚えた。
中にいる間はなんとも思わないが、金が一瞬にして増えたり消えたりする世界というのは、やはり普通ではないのだ。だからどこかほっとしたのだと思う。
窓から差し込む暖かな日差しに誘われて、十才は最上階にあるオープンデッキに向かった。
眩しさに思わず目を細める。
このまま猫のようにひなたぼっこできたら最高なのだろうが、潮風で髪がべたつくといけなかったので、しばらくしてその場を離れた。いつか自分のお金で海上を漂いながら、のんびりとデッキチェアに寝そべって昼寝がしたいものだ。
恵那に何を差し入れようかと考えて、野菜スムージーとフルーツサンドにした。
「お嬢?今の時間帯なら劇場だろうな。おまえさん、超能力者が珍しいからって、しつこくするなよ」
「分かってますよ、ちょっと差し入れを持って行くだけっすよ」
相島に彼女の居場所を聞くと、リハーサル中だから使われていない劇場にいるだろうと教えてもらった。脳内で劇場の位置を検索して正しい道順を導き出す。
ところが、劇場の外で見張っていた末吉が十才を頑なに拒んだ。
「だめだ、帰れ」
「でももうみんなの分を持って来ちゃったんで、中に入れてくださいよ」
ね?とお願いしても彼はだめだの一点張り。なら、せめて差し入れだけでも渡してくれと、袋を渡そうとした時、
「わ、十才さん!?どうしてここに?」
「やっほー、恵那ちゃん、頑張ってる?」
あと少しで末吉に門前払いされるところだったが、リハーサルが終わり、出て来た恵那が助けてくれたおかげで、それは免れた。末吉も門衛なのではと、勘繰ってしまうほど彼は仕事にまじめであった。
「だいたいおまえもこの後いろいろ準備があるはずだろう、お嬢も忙しいんだ、それを食ったら帰れよ」
「ありがとうございます」
末吉は釘を刺して再び見張りに徹した。
恵那を指導する講師や演出家、化粧係などにも差し入れを配るとたいそう喜んでくれた。皆が気を遣って、舞台裏の控室に二人きりにしてくれる。
「十才さん、わざわざありがとうございます。ちょうどお腹が空いていたんです」
「いいよ、気にしないで。オレ、恵那ちゃんの舞台すっごく楽しみにしてるからさ。お互い頑張ろうね!」
「私も十才さんを応援しています!」
彼女が苺と生クリームでぱんぱんに膨らんだサンドウィッチを頬張る。かわいらしいだけに、まるで一生懸命頬袋にひまわりの種を詰め込むハムスターのようだ。これだけ幸せそうに食べてもらえたら、料理人もサンドウィッチも本望だろう。
「甘くておいしい…!」
十才はキウイと生クリームのサンドウィッチに齧りついた。すると、ほどよく甘い生クリームと酸っぱいキウイの相性のよさに、驚かされた。
「ほんとだ、すげーうまい!」
酸味がしっかりと効いて飽きが来ない上に、サンドウィッチなのにケーキを食べたかのような満足感が得られるのもすばらしい。お手軽・おいしい・満たされるが全て揃った、これほど完全無欠な食べ物も他にないのではないか。
「じゃ、また後でね。オレもそろそろ着替えなきゃ」
「ありがとうございました、また後で!」
いよいよ天童会の選手と対面する。
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