二人姉妹の恋愛事情〜騎士とおくる恋の物語〜

みぃ

文字の大きさ
上 下
25 / 64

第23話

しおりを挟む



(どうしよう…どうしたらいいの?)

ソフィアは頭の中で自問自答する、ルイスの事は好きだけれど自分がこれからどうすれば良いのか分からず、泣きそうな気持ちになりながら家へと走り帰宅した。



家に着くなり妹の顔をみたソフィアの目からは大粒の涙がポロポロと溢れ出た。



「お姉ちゃん!?どうしたの、何があったの?」



姉の異様な様子にレティシアは慌てて駆け寄った。



「レティ……私っ」



ソフィアは先程あった事をレティに話し始めた。





「私…どうすれば良いのか分からなくて」





話終わりまたソフィアの目から涙が溢れる。





「お姉ちゃんは団長さんの事好き?」





「………うん、好き…だけど、私が伯爵家に嫁ぐだなんて」





「ねぇ、お姉ちゃんは団長さんの筋肉が別の女の人のものになっても良いの!」





「え!?」





妹の斜め上からの言葉にソフィアは驚き涙が止まった。





「あの逞しい上腕二頭筋に他の女の人が抱かれるのが我慢できるの!?」





「レ、レティ!?」





どうして聞いてくるものが全て筋肉なのか、確かにルイスの筋肉は大好きだが、何故今それを言うのかソフィアの頭に?が浮かんだ。



そんなソフィアにレティシアはギュッと抱きつき言葉を続ける。



「お姉ちゃんなら大丈夫だよ、ねぇ…好きになった人に好きなって貰えるなんて滅多に無い事だよ。

その手を掴む事が出来るのに伯爵家だか、伯爵夫人だかに怖じ気付いて手放すの?

伯爵夫人だって何だって、お姉ちゃんならなれるよ」





「私ならなれるって…レティ…

それに、私が嫁いでしまったらレティが一人になってしまうわ。お父さんやお母さんだって中々帰ってこれないのに」





「お姉ちゃん、私の事は良いんだよ。私も後1年したら成人するんだし。お姉ちゃんはお姉ちゃんだけの幸せを考えて良いんだよ」





「レティ…」





「ね!それに団長さんだったら私、お義兄さんって呼んでも良いかな!だって自分の命を投げ出してまでお姉ちゃんの事を守れる人なんて他にいないもん!団長さんが言ったお姉ちゃんを守りたいって言葉に嘘は無いよ、何があっても団長さんならお姉ちゃんを守ってくれる。だから私も安心出来るな」





「守ってくれる…」





先程のルイスの告白の言葉を思い出したソフィア、伯爵ということ怖気づいていて、ちゃんとルイスの告白を聞くことが出来なかった。

何て自分は酷い事をしたのだろうかとソフィアは自分を責めた、あんなに口下手なルイスが自分の為に一生懸命愛の告白をしてくれていたのに、まともに答える事も出来ずに逃げてしまったのだから。



「どうしよう…レティ…私、ルイスさんに酷いことしたわ、あんなにも私に好きだと告げてくれたのに私はルイスさんの爵位と自分の事しか考えれていなかった」



もっとちゃんと聞かなくてはいけない事が沢山あったのに。



「嫌われちゃったかしら……」



自分の行動がルイスを傷付けていると知ったソフィアは泣きそうになった。





「もう…駄目かも」





「お姉ちゃん!今から当たって砕けておいで!」





俯向いて泣き言を言う姉にレティシアは活を入れる。





「レティ」





「誠心誠意自分の言葉を伝えるんだよ、これから結婚するかも知れない相手に自分の想いをちゃんと伝えられないでどうするの?ルイスさんならお姉ちゃんの不安も思いも何でもきっと聞いてくれるから、ね」





「そうかな」





「うん!それでもし駄目だったら一緒に沢山泣いてあげるからね!」





妹に活を入れられて、今度は自分から告白しようと思い外へ出た。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

せっかくですもの、特別な一日を過ごしましょう。いっそ愛を失ってしまえば、女性は誰よりも優しくなれるのですよ。ご存知ありませんでしたか、閣下?

石河 翠
恋愛
夫と折り合いが悪く、嫁ぎ先で冷遇されたあげく離婚することになったイヴ。 彼女はせっかくだからと、屋敷で夫と過ごす最後の日を特別な一日にすることに決める。何かにつけてぶつかりあっていたが、最後くらいは夫の望み通りに振る舞ってみることにしたのだ。 夫の愛人のことを軽蔑していたが、男の操縦方法については学ぶところがあったのだと気がつく彼女。 一方、突然彼女を好ましく感じ始めた夫は、離婚届の提出を取り止めるよう提案するが……。 愛することを止めたがゆえに、夫のわがままにも優しく接することができるようになった妻と、そんな妻の気持ちを最後まで理解できなかった愚かな夫のお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID25290252)をお借りしております。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども

神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」 と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。 大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。 文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

貴方誰ですか?〜婚約者が10年ぶりに帰ってきました〜

なーさ
恋愛
侯爵令嬢のアーニャ。だが彼女ももう23歳。結婚適齢期も過ぎた彼女だが婚約者がいた。その名も伯爵令息のナトリ。彼が16歳、アーニャが13歳のあの日。戦争に行ってから10年。戦争に行ったまま帰ってこない。毎月送ると言っていた手紙も旅立ってから送られてくることはないし相手の家からも、もう忘れていいと言われている。もう潮時だろうと婚約破棄し、各家族円満の婚約解消。そして王宮で働き出したアーニャ。一年後ナトリは英雄となり帰ってくる。しかしアーニャはナトリのことを忘れてしまっている…!

愛人をつくればと夫に言われたので。

まめまめ
恋愛
 "氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。  初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。  仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。  傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。 「君も愛人をつくればいい。」  …ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!  あなたのことなんてちっとも愛しておりません!  横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。 ※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました

しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。 そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。 そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。 全身包帯で覆われ、顔も見えない。 所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。 「なぜこのようなことに…」 愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。 同名キャラで複数の話を書いています。 作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。 この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。 皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。 短めの話なのですが、重めな愛です。 お楽しみいただければと思います。 小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...