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第17話
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※流血シーンがあります。苦手な人は注意
ルイスとロベルトがオークを引き付けている間に、新人の一人は一生懸命、森の中を走る。
「はっ…はっはぁ…っ!」
早く援軍を呼ばないと仲間達が死んでしまうと、懸命に足を動かす。
そう、走っていると目の前に人の姿が見えた。
森に食材でも取りに来た冒険者だろうか、浅い所にいると言う事はそこまで強くはないであろうと思った新人騎士はその二人に忠告した。
「この先は今は危ない!今すぐ森から出るんだ」
特に若い女性二人だった為、オークと出くわしては危ないからと叫ぶ。
「やっぱり誰か襲われているみたいだねお姉ちゃん」
「そうね、あら貴方って確か第三騎士団の新人さんでしたよね?」
「え……あっ!【まんぷく亭】の方ですよね!
この先は今オークの群れが現れて危険なんです、だから私は今援軍を呼びに行く最中なので、貴女方も一緒に森を出ましょう」
女性をこの場に置いて騎士団に行くのは気が引けた新人騎士は共に森を出ようと提案するも、ソフィアとレティシアは彼の放った援軍と言う言葉に引っ掛かった。
「…もしかして今戦えてる人って団長さんと、ロベルトさんだけって事かな?」
「そうね、もしかして苦戦しているのかしら?」
「はい…団長と副団長が今オークを食い止めている所なんですが、とても数が多くどうなるか」
「あら!大変早く行きましょうレティ」
「うん!早く助けにいかないと」
「いや、だから危険なんですってば!オークですよ!?女性二人行っても危険が増すだけですよ!」
「でも、今行かないとルイスさん達が危ないわ…ね、レティ」
「うん!あ、これ見たら行かせてくれるかな?」
そう言ってレティシアが取り出したのは冒険者ギルドのランクが書いてあるギルドカードだった。
「なっ!Aランク!!!?」
レティシアの名前と共に載っていたランクに驚く新人騎士は、驚愕と共に一類の希望を胸に抱いた。
このまま第三騎士団へと戻り援軍を呼びに行ったとしても、時間がかかり過ぎてしまう。
その長い時間の間、団長と副団長だけで全てのオークを食い止める事など無謀に等しいだろう
ならば、今ここにいるAランクの冒険者に助けを求めた方が、仲間が助かる確率が上がるかもしれない。
団長の命令に背いてしまうし、国に仕えている騎士がAランクの冒険者であろうと守るべき相手である女性に助けて欲しいと頼むなど駄目であると分かってはいるが、どうしても仲間の命を救ってほしい新人騎士はレティシア達に頭を下げた。
「お願いします!こんな事を頼むなど駄目と分かってはいます、だけどこのままだと全員死んでしまいます…お願いします私達を助けて下さい」
地面に膝を付き懇願する新人騎士に、ソフィアとレティシアは当たり前だとばかりに頷いた。
「勿論です!」
「えぇ、私は戦えませんが怪我をした方に治癒魔法をかけることが出来ます」
「あ、ありがとうございます!」
二人の返事に安心し、オークと戦っている場所へ急いで案内する。
すると、20 体程のオークと戦っているルイスとロベルトの姿が見えた。
周りには倒したであろうオークの死骸が転がっている
半分以上倒したがだいぶ体力が落ちているのか二人とも息も荒く肩で息をしている様だ。
その二人の後方には怪我をして倒れている新人達が力なく地面に横たわっている、それを見たソフィアは慌てて駆け寄り治癒魔法をかけていく。
「レティはルイスさんと副団長さんを助けてあげて!」
「はーい!団長さんロベルトさん、今加勢しまーす」
そう言ってレティシアは颯爽と駆けルイスの前へ出た、新しく新調した双剣の試し切りとばかりに、鞘から剣をを抜いた。
新たな双剣には風魔法が付与されており、剣を振り下げる時の速度が加速される。
前の双剣よりサクッとオークの首を落とす事が出来て嬉しいレティシアは次々にオークを倒していく。
「凄く良い!この剣!」
流石お小遣い叩いて買っただけあるとレティシアは喜びながらオークを四体の妖精達と共に倒していく。
あっという間にオークの数がレティシアと四体の妖精の力により減っていく様子を見てルイスは呆然とした。
「何故、あの子がここにいるのだ?…それにしても強すぎるだろう」
「あらあら、ルイスさん。私もいますよ」
「はっ!!?何故貴女がここにいる!!?」
ルイスは背後から聞こえた、聞き慣れた声に驚き振り向いた。
するとそこに見えたのは、怪我をして転がっている新人達に治癒魔法をかけているソフィアの姿だった。
「ふふ、それよりルイスさんはお怪我ありませんか?」
「大丈夫だが」
「新人の方は私が治療しますので、ルイスさんは気にせずにオークを倒しちゃって下さいね」
「あぁ、分かった」
聞きたい事は色々あるが、怪我をしている団員達に次々と治癒魔法をかけて治していくソフィアを横目で見ながらルイスはオークを倒していく。
レティシアと四体の妖精達の力のおかげで残りのオークは殆ど残っていない為、直ぐに終わらせる事が出来そうだと、ルイスは残りのオークに剣を振るった。
そして無事に全てのオークを倒す事が出来たルイスは、ホッとしてソフィアの方に向かおうと目を向けると。
なんとソフィアの後方からオークよりも一回り以上大きいオークキングが姿を現したのだ。
「「!!!!?」」
「お姉ちゃん!!逃げて!」
突然現れたオークキングにレティシアは逃げてとソフィアに叫んだ、それを聞いたソフィアはパッと後ろを振り向いた。
配下が全て殺られて怒っているのか斧を振り回し、ソフィアと怪我をした団員達に向かって走ってくる。
「どうしましょう、このままではこの人達が!」
まだ治癒魔法をかけ終えていない人もいる為この場から逃げる事が出来ない、そう思ってしまったソフィアも逃げ遅れてしまった。
ルイスは慌ててソフィアの方へ駆けた。
(間に合え!!!)
振り上げられたオークキングの斧がソフィアに斬りかかる寸前
ルイスは彼女の間に入り込み、オークキングの斧を剣を横にし両手で受け止めた。
だが、オークキングの力に耐えきれなかった剣が真っ二つに折れてしまい、斧がルイスの防具ごと身体を切り裂いた。
「グッ………」
肩から胸にかけてザックリと斬られたルイスはドサリとその場に崩れ落ちる、咄嗟に受け止めた剣と防具がクッションになり即死は免れたが、身体から血が大量に流れ落ち地面が赤く染まっていく。
「いや!!ルイスさん!!!」
ソフィアは倒れたルイスへと駆け寄り声をかけるがルイスの反応は無かった。
ルイスとロベルトがオークを引き付けている間に、新人の一人は一生懸命、森の中を走る。
「はっ…はっはぁ…っ!」
早く援軍を呼ばないと仲間達が死んでしまうと、懸命に足を動かす。
そう、走っていると目の前に人の姿が見えた。
森に食材でも取りに来た冒険者だろうか、浅い所にいると言う事はそこまで強くはないであろうと思った新人騎士はその二人に忠告した。
「この先は今は危ない!今すぐ森から出るんだ」
特に若い女性二人だった為、オークと出くわしては危ないからと叫ぶ。
「やっぱり誰か襲われているみたいだねお姉ちゃん」
「そうね、あら貴方って確か第三騎士団の新人さんでしたよね?」
「え……あっ!【まんぷく亭】の方ですよね!
この先は今オークの群れが現れて危険なんです、だから私は今援軍を呼びに行く最中なので、貴女方も一緒に森を出ましょう」
女性をこの場に置いて騎士団に行くのは気が引けた新人騎士は共に森を出ようと提案するも、ソフィアとレティシアは彼の放った援軍と言う言葉に引っ掛かった。
「…もしかして今戦えてる人って団長さんと、ロベルトさんだけって事かな?」
「そうね、もしかして苦戦しているのかしら?」
「はい…団長と副団長が今オークを食い止めている所なんですが、とても数が多くどうなるか」
「あら!大変早く行きましょうレティ」
「うん!早く助けにいかないと」
「いや、だから危険なんですってば!オークですよ!?女性二人行っても危険が増すだけですよ!」
「でも、今行かないとルイスさん達が危ないわ…ね、レティ」
「うん!あ、これ見たら行かせてくれるかな?」
そう言ってレティシアが取り出したのは冒険者ギルドのランクが書いてあるギルドカードだった。
「なっ!Aランク!!!?」
レティシアの名前と共に載っていたランクに驚く新人騎士は、驚愕と共に一類の希望を胸に抱いた。
このまま第三騎士団へと戻り援軍を呼びに行ったとしても、時間がかかり過ぎてしまう。
その長い時間の間、団長と副団長だけで全てのオークを食い止める事など無謀に等しいだろう
ならば、今ここにいるAランクの冒険者に助けを求めた方が、仲間が助かる確率が上がるかもしれない。
団長の命令に背いてしまうし、国に仕えている騎士がAランクの冒険者であろうと守るべき相手である女性に助けて欲しいと頼むなど駄目であると分かってはいるが、どうしても仲間の命を救ってほしい新人騎士はレティシア達に頭を下げた。
「お願いします!こんな事を頼むなど駄目と分かってはいます、だけどこのままだと全員死んでしまいます…お願いします私達を助けて下さい」
地面に膝を付き懇願する新人騎士に、ソフィアとレティシアは当たり前だとばかりに頷いた。
「勿論です!」
「えぇ、私は戦えませんが怪我をした方に治癒魔法をかけることが出来ます」
「あ、ありがとうございます!」
二人の返事に安心し、オークと戦っている場所へ急いで案内する。
すると、20 体程のオークと戦っているルイスとロベルトの姿が見えた。
周りには倒したであろうオークの死骸が転がっている
半分以上倒したがだいぶ体力が落ちているのか二人とも息も荒く肩で息をしている様だ。
その二人の後方には怪我をして倒れている新人達が力なく地面に横たわっている、それを見たソフィアは慌てて駆け寄り治癒魔法をかけていく。
「レティはルイスさんと副団長さんを助けてあげて!」
「はーい!団長さんロベルトさん、今加勢しまーす」
そう言ってレティシアは颯爽と駆けルイスの前へ出た、新しく新調した双剣の試し切りとばかりに、鞘から剣をを抜いた。
新たな双剣には風魔法が付与されており、剣を振り下げる時の速度が加速される。
前の双剣よりサクッとオークの首を落とす事が出来て嬉しいレティシアは次々にオークを倒していく。
「凄く良い!この剣!」
流石お小遣い叩いて買っただけあるとレティシアは喜びながらオークを四体の妖精達と共に倒していく。
あっという間にオークの数がレティシアと四体の妖精の力により減っていく様子を見てルイスは呆然とした。
「何故、あの子がここにいるのだ?…それにしても強すぎるだろう」
「あらあら、ルイスさん。私もいますよ」
「はっ!!?何故貴女がここにいる!!?」
ルイスは背後から聞こえた、聞き慣れた声に驚き振り向いた。
するとそこに見えたのは、怪我をして転がっている新人達に治癒魔法をかけているソフィアの姿だった。
「ふふ、それよりルイスさんはお怪我ありませんか?」
「大丈夫だが」
「新人の方は私が治療しますので、ルイスさんは気にせずにオークを倒しちゃって下さいね」
「あぁ、分かった」
聞きたい事は色々あるが、怪我をしている団員達に次々と治癒魔法をかけて治していくソフィアを横目で見ながらルイスはオークを倒していく。
レティシアと四体の妖精達の力のおかげで残りのオークは殆ど残っていない為、直ぐに終わらせる事が出来そうだと、ルイスは残りのオークに剣を振るった。
そして無事に全てのオークを倒す事が出来たルイスは、ホッとしてソフィアの方に向かおうと目を向けると。
なんとソフィアの後方からオークよりも一回り以上大きいオークキングが姿を現したのだ。
「「!!!!?」」
「お姉ちゃん!!逃げて!」
突然現れたオークキングにレティシアは逃げてとソフィアに叫んだ、それを聞いたソフィアはパッと後ろを振り向いた。
配下が全て殺られて怒っているのか斧を振り回し、ソフィアと怪我をした団員達に向かって走ってくる。
「どうしましょう、このままではこの人達が!」
まだ治癒魔法をかけ終えていない人もいる為この場から逃げる事が出来ない、そう思ってしまったソフィアも逃げ遅れてしまった。
ルイスは慌ててソフィアの方へ駆けた。
(間に合え!!!)
振り上げられたオークキングの斧がソフィアに斬りかかる寸前
ルイスは彼女の間に入り込み、オークキングの斧を剣を横にし両手で受け止めた。
だが、オークキングの力に耐えきれなかった剣が真っ二つに折れてしまい、斧がルイスの防具ごと身体を切り裂いた。
「グッ………」
肩から胸にかけてザックリと斬られたルイスはドサリとその場に崩れ落ちる、咄嗟に受け止めた剣と防具がクッションになり即死は免れたが、身体から血が大量に流れ落ち地面が赤く染まっていく。
「いや!!ルイスさん!!!」
ソフィアは倒れたルイスへと駆け寄り声をかけるがルイスの反応は無かった。
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