10 / 64
第9話
しおりを挟む
【まんぷく亭】の営業時間も過ぎ、ソフィアは一人閉店作業をしていたらドアの開く音が聞こえたと共に可愛らしい声が鳴り響いた。
「ただいまー!コカトリス捕まえられたよ
ギルド寄って解体して貰って、いらない素材は全部売ってきたよ」
声の主はレティシアだった。
姉に頼まれていた食材を無事に調達でき、嬉しそうに厨房にいる姉に抱きついた。
「おかえりなさい、ありがとう。今日の夕飯はこれで南蛮漬けにしましょうね」
抱き着いてきた妹の頭を撫で礼を言うと、早速夕食の準備を始めようとコカトリスの肉を受け取った。
「うん!それでね、コカトリスの素材が結構いいお値段で売れてお財布中がウハウハだから!次のお店お休みの日に街にお買い物しに行こ?」
おねだりする様にキラキラとした目で見上げるレティシアに優しく微笑み姉が同意する。
「あら、良いわね」
「ねぇねぇ!この前色違いで買ったワンピース着てい行こう?」
「ええ、レティの髪は私がセットしてあげるわ」
「わーい!ありがとうお姉ちゃん、そういえば団長さんは今日来たの?」
「来たわよ、用事があったそうで何時もよりは遅い時間だったの」
「そうなんだ!マフィンは渡せたの?」
「勿論!渡せたわよ、団長さんは甘い物も食べれるそうで2種類とも渡したわ」
「そっか!良かったね」
会話をしながらもソフィアは夕飯であるコカトリスの肉を捌いて一口サイズにカットし、下味に漬ける。
レティシアは先程まで姉がしていた閉店作業を引き続き行っている。
皿を洗っているとジュワーと油で揚げる音と香ばしい香りが厨房に広がった。
下味に漬けたお肉に経過魔法をかけたソフィアは臭みが無くなり味の染みた肉に小麦粉をまぶし熱した油の中へと入れた。
肉を油で揚げている内にタレの準備をするピーマン、玉ねぎ、人参をスライスしボールの中へと入れ
醤油、お酒、水、お酢、砂糖、みりんを分量通りに混ぜた調味液を野菜の入ったボールの中に入れて漬け、また少しだけ経過魔法をかけると野菜がしんなりと味が染みる。
その間に揚がったお肉の油を切り、タレの中へと入れるとコカトリスの南蛮漬けの完成。
「さぁ、出来たわよレティご飯にしましょうね」
「はーい!」
閉店作業の終わったレティシアが夕食の準備をしているとコカトリスの南蛮漬けが皿に盛られ、食卓へと置かれた。
「「いただきまーす」」
コカトリスの南蛮漬けはとても美味しかった。
※※※※※※※※※※
そして数日後、お店の定休日に姉妹は街へと買い物に出かけた。
お揃いの色違いのワンピースに身を包む、腰より少し上に付いた大きめのバックリボンがアクセントの大人可愛いワンピースで、色味は姉のソフィアがレッドブラウンで、妹のレティシアがオレンジブラウンである。
まだまだ寒い季節なのでボレロを上に羽織って、温かいブーツを履いて街を歩く。
「お姉ちゃんは何か買いたい物ってある?」
「そうねぇ…まだまだ寒い時期が続くから冬服をもう少し増やしましょうか」
「うん!良いね、だったらこの前リニューアルオープンした洋服屋さんに行ってみようよ!ショーウィンドウに可愛いコートが飾ってあったんだ」
「えぇ、そうしましょう」
楽しく二人でお喋りしながら20分程歩くとレティシアが言っていた洋服屋さんが見えてきた。
リニューアルオープンと言うだけあって真新しいガラス張りのショーウィンドウには素敵なお洋服を着たマネキンが多く並んでいた。
「入りましょ」
「うん!」
お店の中に入ると、どこから見ていくか悩む程に数多くの洋服達が並んでおりワクワクとした気持ちが湧いてきた。
「レティは何が欲しいの?」
「うーんとね…お姉ちゃんのコーディネートしたい!」
「あらあら、じゃあ私はレティのコーディネートをしようかしら」
姉妹同士で相手の似合う服を見つける為にお店の中を見て回る。
「んー…お姉ちゃんは何でも似合うから迷っちゃう」
「あら、レティに似合いそうな洋服を見つけたわ」
「どれどれ…わぁ!凄く可愛いね」
ソフィアが持ってきた服はブラウスとスカートだった。
ブラウスは白色で、大きめの丸衿とカフスに花や蔦の刺繍が施されているガーリースタイル。
スカートは黒いチェック柄のタイトな膝上丈で、左右のタッグの上の部分に金のボタンが2個づつ飾りとして付いている。
「とても似合うと思うわ」
「うん!ありがとう」
「レティは決まった?」
「うーん…コレとコレで迷ってるの、どちらもお姉ちゃんに似合いそうで」
右手に持つはくすみグリーンのニットワンピース、衿と袖にふわふわとした白いファーが付いており大人可愛い。
左手に持つは淡いブルーのAラインワンピース、裾に白い糸で雪の結晶の刺繍が施されている、刺繍している糸にラメが入っているのか光が当たるたびにキラキラと光ってとても綺麗である。
「まぁ、どちらも良いわね!凄いわレティ」
「でしょ!……でもどっちも良過ぎて決めれないんだ」
「ふふ、レティがせっかく選んでくれたんですもの、どちらも買う事にするわ」
「良いの?」
「ええ、今日は奮発する事にするわ!これに似合う靴も選んでくれる?」
「うん!任せて」
そうして、レティが選んだリボンがアクセントの白いショートブーツも一緒に購入した。
結構な量を買ったが、なかなかリーズナブルなお値段にまた春の服も一緒に買いに行こうと約束して店を出た。
「ただいまー!コカトリス捕まえられたよ
ギルド寄って解体して貰って、いらない素材は全部売ってきたよ」
声の主はレティシアだった。
姉に頼まれていた食材を無事に調達でき、嬉しそうに厨房にいる姉に抱きついた。
「おかえりなさい、ありがとう。今日の夕飯はこれで南蛮漬けにしましょうね」
抱き着いてきた妹の頭を撫で礼を言うと、早速夕食の準備を始めようとコカトリスの肉を受け取った。
「うん!それでね、コカトリスの素材が結構いいお値段で売れてお財布中がウハウハだから!次のお店お休みの日に街にお買い物しに行こ?」
おねだりする様にキラキラとした目で見上げるレティシアに優しく微笑み姉が同意する。
「あら、良いわね」
「ねぇねぇ!この前色違いで買ったワンピース着てい行こう?」
「ええ、レティの髪は私がセットしてあげるわ」
「わーい!ありがとうお姉ちゃん、そういえば団長さんは今日来たの?」
「来たわよ、用事があったそうで何時もよりは遅い時間だったの」
「そうなんだ!マフィンは渡せたの?」
「勿論!渡せたわよ、団長さんは甘い物も食べれるそうで2種類とも渡したわ」
「そっか!良かったね」
会話をしながらもソフィアは夕飯であるコカトリスの肉を捌いて一口サイズにカットし、下味に漬ける。
レティシアは先程まで姉がしていた閉店作業を引き続き行っている。
皿を洗っているとジュワーと油で揚げる音と香ばしい香りが厨房に広がった。
下味に漬けたお肉に経過魔法をかけたソフィアは臭みが無くなり味の染みた肉に小麦粉をまぶし熱した油の中へと入れた。
肉を油で揚げている内にタレの準備をするピーマン、玉ねぎ、人参をスライスしボールの中へと入れ
醤油、お酒、水、お酢、砂糖、みりんを分量通りに混ぜた調味液を野菜の入ったボールの中に入れて漬け、また少しだけ経過魔法をかけると野菜がしんなりと味が染みる。
その間に揚がったお肉の油を切り、タレの中へと入れるとコカトリスの南蛮漬けの完成。
「さぁ、出来たわよレティご飯にしましょうね」
「はーい!」
閉店作業の終わったレティシアが夕食の準備をしているとコカトリスの南蛮漬けが皿に盛られ、食卓へと置かれた。
「「いただきまーす」」
コカトリスの南蛮漬けはとても美味しかった。
※※※※※※※※※※
そして数日後、お店の定休日に姉妹は街へと買い物に出かけた。
お揃いの色違いのワンピースに身を包む、腰より少し上に付いた大きめのバックリボンがアクセントの大人可愛いワンピースで、色味は姉のソフィアがレッドブラウンで、妹のレティシアがオレンジブラウンである。
まだまだ寒い季節なのでボレロを上に羽織って、温かいブーツを履いて街を歩く。
「お姉ちゃんは何か買いたい物ってある?」
「そうねぇ…まだまだ寒い時期が続くから冬服をもう少し増やしましょうか」
「うん!良いね、だったらこの前リニューアルオープンした洋服屋さんに行ってみようよ!ショーウィンドウに可愛いコートが飾ってあったんだ」
「えぇ、そうしましょう」
楽しく二人でお喋りしながら20分程歩くとレティシアが言っていた洋服屋さんが見えてきた。
リニューアルオープンと言うだけあって真新しいガラス張りのショーウィンドウには素敵なお洋服を着たマネキンが多く並んでいた。
「入りましょ」
「うん!」
お店の中に入ると、どこから見ていくか悩む程に数多くの洋服達が並んでおりワクワクとした気持ちが湧いてきた。
「レティは何が欲しいの?」
「うーんとね…お姉ちゃんのコーディネートしたい!」
「あらあら、じゃあ私はレティのコーディネートをしようかしら」
姉妹同士で相手の似合う服を見つける為にお店の中を見て回る。
「んー…お姉ちゃんは何でも似合うから迷っちゃう」
「あら、レティに似合いそうな洋服を見つけたわ」
「どれどれ…わぁ!凄く可愛いね」
ソフィアが持ってきた服はブラウスとスカートだった。
ブラウスは白色で、大きめの丸衿とカフスに花や蔦の刺繍が施されているガーリースタイル。
スカートは黒いチェック柄のタイトな膝上丈で、左右のタッグの上の部分に金のボタンが2個づつ飾りとして付いている。
「とても似合うと思うわ」
「うん!ありがとう」
「レティは決まった?」
「うーん…コレとコレで迷ってるの、どちらもお姉ちゃんに似合いそうで」
右手に持つはくすみグリーンのニットワンピース、衿と袖にふわふわとした白いファーが付いており大人可愛い。
左手に持つは淡いブルーのAラインワンピース、裾に白い糸で雪の結晶の刺繍が施されている、刺繍している糸にラメが入っているのか光が当たるたびにキラキラと光ってとても綺麗である。
「まぁ、どちらも良いわね!凄いわレティ」
「でしょ!……でもどっちも良過ぎて決めれないんだ」
「ふふ、レティがせっかく選んでくれたんですもの、どちらも買う事にするわ」
「良いの?」
「ええ、今日は奮発する事にするわ!これに似合う靴も選んでくれる?」
「うん!任せて」
そうして、レティが選んだリボンがアクセントの白いショートブーツも一緒に購入した。
結構な量を買ったが、なかなかリーズナブルなお値段にまた春の服も一緒に買いに行こうと約束して店を出た。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

婚約者の不倫相手は妹で?
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!

貴方誰ですか?〜婚約者が10年ぶりに帰ってきました〜
なーさ
恋愛
侯爵令嬢のアーニャ。だが彼女ももう23歳。結婚適齢期も過ぎた彼女だが婚約者がいた。その名も伯爵令息のナトリ。彼が16歳、アーニャが13歳のあの日。戦争に行ってから10年。戦争に行ったまま帰ってこない。毎月送ると言っていた手紙も旅立ってから送られてくることはないし相手の家からも、もう忘れていいと言われている。もう潮時だろうと婚約破棄し、各家族円満の婚約解消。そして王宮で働き出したアーニャ。一年後ナトリは英雄となり帰ってくる。しかしアーニャはナトリのことを忘れてしまっている…!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる