二人姉妹の恋愛事情〜騎士とおくる恋の物語〜

みぃ

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第1話

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東大陸で1.2を争うほどの大国であるガルシア王国の王都でとても賑わっているお食事処がある。

第三騎士団の建物の近くにある小ぢんまりとしているがとても雰囲気の良い【まんぷく亭】と言うお店では他では食べる事の出来ない少し変わった料理を提供している。





森の木々が紅く染まりうろこ雲が空に浮かぶ季節

王都の平民街、西門近くの【まんぷく亭】では

ガヤガヤと賑わう店中にまだ幼さの残る可愛らしい声が響いていた。





「お姉ちゃんー!もうお肉ないよ」





冷蔵ボックスの中を覗き困ったように伝えたのはこれから使う食材が足りないという内容であった。



「え!?本当!困ったわ…まだ夜の営業があるのに」



それに答えたのは姉であるソフィア。

妹とお揃いの淡いピンクゴールドの髪を1つに束ね、料理を作っている。

今は昼の営業が終わりかけでお客も少ない為、ギリギリ今ある食材で足りそうだが夜の営業では足りないのは明確である。



こようか?」



妹の金の瞳と姉の碧の瞳が交差し、姉が頷いた。



「そうね、お願いしていいかしら」



「勿論!すぐ戻って来るね、ファングボアで良いかな?夜は確かカツと煮込みだったよね」



「そうよ、ファングボアなら西でかってこれたわよね」



「うん!だから夜の仕込みするまでには帰ってくるね」



「気をつけてね~」



もう昼のオーダーは終わっており妹が食材の調達に行っても問題なく、テキパキと妹のレティシアは準備をしていく。



「なんだ?レティシアちゃんどこか行くのか?」



それに声をかけてきたのは常連の若い男性。

男性は直ぐそこにある第三騎士団の騎士であり、ほぼ毎日の様に姉妹が営んでいる【まんぷく亭】に食べに来ている。



「そうなんですー!夜の食材をちょっとかってきます!」



「そうか買い出しか、気を付けて行っておいで」



「はーい!いってきます」



マスコットキャラクターの様に愛されているレティシアを気にかけるように店にいた人達が次々に声をかけていきレティシアはそれに答えお店を後にした。





「さーて!一狩り行きましょうか!」





《ディメンションムーブ》

無詠唱で魔法を展開すると瞬時に屋根の上に転移し空を走るように移動する。姉よりは短めの肩甲骨まで伸びたキラキラと光るピンクゴールドの髪を靡かせて走る姿はまるで羽の生えた妖精のようである。



「急いでファングボア探さないと!血抜きの時間もいるもんね…ファングボアだったら西の森の中腹にいるかな」



慣れたように彼女が向かうのは王都の付近で特に鬱蒼と茂る森の1つである。

森の中は様々な魔物が生息し森の奥に入るには騎士団が討伐隊を編成しなければいけないほど厄介な場所である。

西の森の浅い所では魔物は殆ど出ないが奥へと入るに連れて徐々に強い魔物が姿を現す。



そう、レティシアはこれからその森へ向おうとしているのだ。



常連の人達は1つ勘違いしている様だがレティシアは今から食材を買ってくるのではない、狩ってくるのである。



「さぁ!行くよ、ルビー、サフィ、エメ、リン!」



空を駆けながら影から召喚したのはレティシアの相棒達である四妖精。

情熱の赤を身にまとう炎の妖精ルビー

純粋の青を身にまとう水の妖精サフィ

爽快の翠を身にまとう緑の妖精エメ

朗らかな黄を身にまとう地の妖精リン



4体の妖精達はレティシアに呼ばれて嬉しそうにその可憐な羽を羽ばたかせる。



「今日も宜しくね!」



「「「「キュウー!!!!」」」」



そうして一人と4体は昼間の空を颯爽と駆けていったのであった。



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