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俺は君のヒーローだ。
僕の話side虎之助([休み時間]←という名の番外)
しおりを挟む僕は、原 虎之助。自分で言うのもなんだが、名前に似合わず顔が可愛い。何というか、アイドルになれるくらいには可愛い。でも、これは僕の自惚れじゃない。事実だ。
だから、女の子にもモテる。その上、性格も表向きには良いから男子から嫌われることもない。
これだけ聞いたら、僕って裏ではクズなんじゃない?って言われると思う。
でも、残念。僕は、顔を利用して悪い事をした事がない。
だって、僕にはヒーローがいるから。
悪になったら、ヒーローに嫌われてしまう。そんなの、僕には耐えられない。
大好きな僕の、僕だけのヒーロー。でも……
『まだ……ヒーローなのか。』
今日の真木ちゃんの言葉に段々と引っかかってきた。
まだ。
(もしかして、真木ちゃんはヒーロー…辞めたくなっちゃったのかな……。)
そう考えて、首を振る。
駄目だ。そんなの認めない。
(真木ちゃんが、ヒーローじゃなくなったら僕は…)
真木ちゃんへの思いは憧れだ。憧れなんだ。
だって、真木ちゃんはヒーローだから。
(ただでさえ、最近は嫌なのに……)
今までは学校が違って休みの日の真木ちゃんしか知らなかった。それに加えて、真木ちゃんは自分の事をあまり話さない。だから、考えなくて済んでいたのに……。
同じ学校になって、同じクラスになって…休みの日だけじゃなくて、毎日一緒にいるようになった。
だから、見たくないものまで見えるようになった。
真木ちゃんが僕以外の人の事で笑うところ。僕以外の人と話すところ。僕以外の人と仲良くするところ。
僕以外の人の所へ行ってしまうところ。
知りたくなかった。
見たくなかった。
(真木ちゃんは、僕のヒーローなのに……)
中でも、松山という男は気に入らない。真木ちゃんの隣は僕なのに、あいつはなにかと真木ちゃんの隣に行こうとする。
それに、初めて会った時に言っていた嫁という言葉が引っかかって仕方がない。
(真木ちゃんは、気にするなって言っていたけど……。)
あいつは真木ちゃんに助けられたっと言ってた。もし、真木ちゃんが僕以外の人を僕の知らないところで助けていたとしたら……。
(いいや、違う。)
だって、真木ちゃんは僕だけのヒーローなんだから。
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