上 下
18 / 61
恋愛観と僕の過去を考えてみよう。

僕は性別をわかりたくない。

しおりを挟む

僕は、自分がわからないけれど恋愛の話は書く。

それでも、自分の恋愛と小説の中の恋愛が違うのがわかる。

それは、当たり前のことなのかもしれない。けれど、僕はやっぱりどこか変なんだ。

恋人はきっと大事にしないといけない。そうだ、大切にしていい存在だ。

きっと、恋人の優先順位は高くないといけない。

信頼していないといけない。

そんな気がするんだ。

でも、僕は彼女が居なくても生きていける。

これから、いないといけなくなるのか?

それなら、ゆっくり、ゆっくりと進みたかった。

僕が壊れるのが怖い。

彼女の隣にいると、彼女が求める性別に心が揺れる。

入れ物と心を伴わせないといけない衝動に駆られる。

それは、きっとこれから生きるのには“良いこと”なんだろう。

でも、それでも…これまで生きてきた自分が壊れそうなんだ。それが、とても、泣きたくなるほどに悲しい。

僕は、本当はこの入れ物が嫌いだ。それでも、僕は僕として生きないといけない。

だから、彼女といるのはいいことなんだろう。

僕は、誰かの求める形に心を捻じ曲げるだけでいい。
君の、望む形でいればいい。

きっと、彼女にこのことを話したら、僕の心を優先してくれるんだろう。

僕の存在を許してしまうだろう。

それが、嫌だ。

君にとってマイナスでしかない僕の心の歪み。それを、君がなんでもないように許してくれる。それが、辛い。

彼女は優しい人だ。僕が嫌がることや、苦しむことをしたくないと言ってくれる。
でも、それは僕も同じだ。同じだけれど、困るんだ。

だって、僕は悲しくていい。苦しくていい。
僕の心に性別はない。でも、それは僕の中では良くないことだ。

“君の隣にいる僕“にとって、よくないことだ。

だから、君の隣にいる時は入れ物の性別に従うんだ。だって、君が望むのは彼氏という人だと思うから。

入れ物の中身が違うなんて、欠陥にも程がある。

でも、こんな考えは、「今の時代なら理解があるよ」「普通のことだよ」って言われるんだろうな。

でもさ、本当に?

本当は、男が女を好きになる方が都合がいいだろ?

それが普通って、思ってるだろ。

僕は、自分に関してはそう思ってるよ。

他人の恋愛は自由だ。はっきり言って僕には関係ないし、とやかく言うつもりはない。

他の人に欠陥だなんて思わない。
僕は、素直に素敵だと思う。
それは確かな事だ。

他人になら、そう思えるよ。
男同士でも、女同士でも、愛し合ってるならそれでいいじゃないかって。幸せならそれでいいじゃないか、外野がとやかく言うことじゃない。そう言えるよ。

じゃなきゃ、男同士の恋愛小説を書いていないよ。

でも、でもね、僕は心と体が伴わないんだ。半分は多分諦めてるからか、体と一致させようって本能みたいなのが働いてるのか、ちゃんと伴ってる。と、思う。けど、もう半分は抗っている。違う性別を望んでる。

もう、性別に関して僕の心はぐちゃぐちゃなんだ。考えたくもない。だって、考えたところで体の性別は変わってくれない。

でも、どうしてもこの世界で生きていくには性別が必要らしいから。恋をするにも、友達をつくるにも、仕事をするにも、勉強するにも、そんな事必要か?ってくらい、性別が邪魔する。

その度に、僕は考えて、落ち込んで、どんどん自分がおかしい奴だって思わされる。

おかしい奴には1番なりたくなかったのに。

些細な言葉や、些細な制度が僕を異常だって認識させてくれる。

これでどうやって、普通って思えるようになるんだ?

こんなの、欠陥だって思うしかないだろ。

きっと、この欠陥がなければ今よりはだいぶ半分くらいは、彼女がいることを初めから喜べたと思うんだ。

本当に、色々彼女にはぶちまけた。
けれど、これだけは聞かれても言わない。僕は、僕の心を彼女にだけは許されたくない。

君の隣では、ちゃんと普通の恋人をしたいから。君が自慢できるような恋人になりたいよ…。
だから、絶対、君には死んでも言わない。
僕は、この心が変わっていく恐怖に耐えられなくなっても、言わないよ。

僕は、君に告白された日から、僕の性別は君に決められていたから。

それに従いたいし、従うしかないんだ。

だって、きっと、その方が良いだろ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天涯孤独のアーティスト

あまゆり
エッセイ・ノンフィクション
はじめに… 自分自身の波瀾万丈の人生を書いてます。 こんな生き方も参考にしてください。 学もない私が書いていきますので読みづらい、伝わりづらい表現などあるかもしれませんが広い心でお付き合い頂ければと思います。 平成や令和の方などには逆に新鮮に思えるような昭和な出来事などもありますので不適切な表現があるかもせれませんが楽しんでもらえたらと思います。 両親が幼い頃にいなくなった私 施設に行ったり、非行に走ったり 鑑別所や、少年院に入ったり 音楽を始めたり、住む家がなくフラフラして生きて、いつの間にか会社を経営して結婚して子どもが生まれたり、女装を始めたり こんな生き方でも今生きている自分がいるってことを伝えたいと思います。 過去を振り返ることで今の自分が怠けずに生きられているのか、自分を見つめ直すことができるので頑張って書いていこうと思います。 この物語に出てくる登場人物は本人を除いて一部の人は仮名で表現しております。

例えば何かを失くしたら+ネタ倉庫集

ここクマ
エッセイ・ノンフィクション
 例えば僕から何かを失くしたら  僕はどう思うだろうか。  僕は、何を思うだろうか。  例えば何かを失くしたら  世界はどう思うだろうか。  みんなは、何を思うだろうか。 __________ 後半は思いついた事をポエムとして書いてます。 恋やら、日常やら、愚痴やらを即興でやってます。 暇つぶしに僕の思考を覗いてみませんか?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

おてんばプロレスの女神たち ~男子で、女子大生で、女子プロレスラーのジュリーという生き方~

ちひろ
青春
 おてんば女子大学初の“男子の女子大生”ジュリー。憧れの大学生活では想定外のジレンマを抱えながらも、涼子先輩が立ち上げた女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスで開花し、地元のプロレスファン(特にオッさん連中!)をとりこに。青春派プロレスノベル「おてんばプロレスの女神たち」のアナザーストーリー。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

痴漢列車に挑む痴漢Gメン女子高生レイコ

ムーワ
大衆娯楽
朝の通勤電車はラッシュ時はギュウギュウ詰めの混雑状態! その混雑を利用して女子高生を中心に若い女の子をターゲットに頻繁に痴漢を繰り返す謎の男。 実際に痴漢にあっても怖くて何もいえず、泣きながら鉄道警察隊に相談する女子高生もいて、何度か男性の鉄道警察隊員が変装をして捕まえようとするが捕まえることができず、痴漢被害は増加する一方。 そこで鉄道警察隊はエリート大卒新人のレイコ氏に相談すると、レイコはとんでもない秘策を思いついた。

腐女子看護師の日常

とっぽ
エッセイ・ノンフィクション
看護師……それは白衣の天使。人々の癒やしであり、人々の苦痛を取り除き、日々笑顔を絶やさず聖母のごとき博愛精神で人々を包み込む清らかな職業。 一方、腐女子……それは腐臭漂う末期のヲタク。BがLしてれば人生ハッピー。火のないところに煙を立たせてなんぼな火起こし職人。 これは、腐女子兼看護師な主人公・とっぽが、日々襲い来るキラキラ同僚との会話やリアル社会への適応に苦しみながらも、必死に現代を生きていく、希望と愛の物語である───。(クソッ、夜勤だ!深夜アニメがリアタイできねぇ!)

処理中です...