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恋愛観と僕の過去を考えてみよう。

家族は怖い

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僕の家族の話をしようと思う。
けれど、あまり良い話ではないのでぼかして綴っていく。

小さい時は普通だと思っていた僕の家族。

友達ができて、他の家族を知るとその普通が違うことに気が付いた。

今でこそある程度平和になったが、昔は酷かった。

父は怖い。
それはもう、怖い。

簡単に言うと壁に穴が空くのは父のせいだった。

僕は、それが怖かった。父が怖かった。

時間に縛られているような、緊迫した状況に恐怖を抱くようになったのは父のおかげだ。

だが、今は僕も自分の心の守り方を覚えた。そうなってから見る父は、可哀想な人だった。

酒が入れば、怒鳴り声を上げながら自分の境遇を嘆き、僕を不眠にさせる。
まぁ、これは昔から変わっていない。

けれど、昔の方が酷かった記憶がある。

とにかく、大きな音が苦手になったのも父のおかげだと思う。

こう言った皮肉めいた書き方も父に教わった。

父は可哀想な人だが、親でなければ近寄りたくない人だ。
だが、まぁ、仕方ない。
けれど、幼稚な癇癪を起こすところや、人のせいにする生き方は気に入らない。そうするしかできなかったのかもしれないとは思うのだが…まぁ、好きじゃない。

兎に角、父は怖い人だった。暴力を振るわない代わりに物に当たる。引き戸のガラスを父が割った時、僕は過呼吸を起こしかけたこともある。両親は知らないが、僕はガラスの破片が怖いんだ。ガラスが割れる音と、散らばる音、尖った破片。振り切れてしまえばそれも好きなのだが、通常時は無理だ。とにかく、混乱しないようにするので精一杯だった。だが、部屋から出ようにもそのガラスを越えなければでられなかった。本当に、あの時はおかしくなりそうだった。

ちなみに今でも引き戸のガラスは割れている。

とにかく、壁に穴が空くのは僕にとっては日常の範囲内だった。

まぁ、今は酒さえ飲まなければ父は可哀想な人で済む。

問題はもう一人の人だ。
両親の一人。父じゃない方。

僕はその単語すらすんなり言えないくらいその人を認識したくない。

幼い頃は、父の癇癪で落ち込んだその人を慰めに行き、泣いている時も慰め、僕を置いて出て行くと言い出した時は泣きながら止めた。
だが、そうだ。幼い時から話を聞いてくれない人だった。いや、徐々にそうなったのか?まぁ、今の僕にはそれはわからない。
だが、僕が泣いているときにあの人はその真似をしてきた。僕は、それが嫌で怒ったが、掌で転がされているような感覚が幼心にわかった。そこで、落ち着いて「なんで、真似するの?僕は悲しいんだよ。」と対話を試みた。

無駄だった。

まぁ、小さい頃にはよくあることかもしれない。

その程度なら、よかったんだ。

ただ、まぁ、親同士で喧嘩して、子供心には怖い 物を壊す父と僕を残して家を出て行くと言っていたのはどうかと思うが。

とりあえず、あの人は簡単に言うと精神がぶっ壊れた。

元々、強い人ではなかったらしいが、僕が小学生になる頃には治ったと思われていた。

いたのだが…妹が幼稚園に入り、あの人がパートを始めてから…。

何かが狂い始めた。

夜遅くにならないと帰ってこない日が続いた。

夜中に虚空に向かって話している時があった。

読めない字で何かを書くようになった。

急に大声で笑い出すようになった。

何度か警察から電話が来たりもした。

本当は、寄り添ってあげなくちゃいけなかったんだろう。

でも、僕は怖かった。怖いままだった。
普通の時があるから、尚更怖かったんだ。

それでも、僕なりにその怖い人に優しくしようと思ったんだ。実際頑張っていたと思う。



それが一年続いたある日、僕はあの人への良心を捨てた。



僕の大切な最愛の妹を危険に晒したのだ。


だが、本人にその自覚はない。悪びれもせず、いや、何が悪いのかも、何を怒っているかもわかっていなかった。

ヘラヘラして、大袈裟なこと言っているなくらいのことしか思ってなかったんだろう。

だから、僕はあの人を親として見れなくなった。

いくら精神がぶっ壊れているせいとはいえ、親という肩書があるのは代わりない。
それなのに、大切な我が子を、どうして…。

そんなことを思って、僕の我慢も超えた。仕方ないじゃ済まされない。しょうがないじゃないだろ。

なんで、僕が泣かないといけない?なんで僕が心配しないといけない?

家族だから我慢しなさい、寄り添いなさい、優しくしなさい、相手は病人なんだ、精神がおかしいだけなんだ、家族だろう、我慢しなさい、仕方ないことじゃないか、諦めなさい。

たくさんの言葉が僕の頭に回って、回って、回って、死にたくなった。

僕が死ねば、あの人が悪で僕は可哀想な子になるんじゃないか、僕があの人を突き離しても許されるんじゃないだろうか。そんなことばかり考えていた。

あの人のことがとても要らないと思ったけれど、あの人をいらないと思う自分こそいらない。そう考えたりもした。

あの人がおかしくなって、僕の中で家族が壊れて、死にたくなって、心も壊れていった。

父の癇癪もあの人の煩さも、僕を壊すには十分だったよ。

だけど、僕が最も恐れたのはあの人みたいに狂うこと。
だから、感情を擦り減らして壊れないように、壊されないように必死だった。


あの人を憎む自分を辞めて、あの人を他人のように思って、あの人に関して感情を抱かないようにした。

最近、テレビで家族の話がやっているのを見た。病気の親に子供は仕方ない。そう言って笑っていた。僕より年下の子だ。

あぁやって、僕も受け入れないといけなかったのか?

仕方ない。しょーがない。そうやって、我慢すれば良かったのか?今も、我慢すれば良いの?

女の人が苦手になったのはあの人が原因なのに?笑い声が怖くなったのもあの人のせいなのに?

仕方ない、僕はあの人がいなきゃ産まれてなかったんだ。感謝しなきゃって?

ねぇ、僕は良い子でいなきゃいけないの?

僕が僕のことを嫌いなのも、死にたいと思ったきっかけをくれたのもあの人だったんだよ?

確かに、今の僕を作ったのは家族だ。
価値観も考え方も家族の反面教師や、悲しいことを糧に手に入れた。それは、確かに感謝してる。

でも、それだけだ。

ねぇ、僕は良い子でいなきゃいけなかったの?
あの時、妹を危険に晒したあの人を許せなきゃいけなかったの?

僕も狂えば良かったの?

今もわからないんだ。

あの人は壊れたままだし、父は酒でうるさくなる。
それでも、妹はあの人たちが好きだし、家族だって思ってる。

ねぇ、僕だけだよ。僕だけだ。僕がおかしいんだ。

あの人に触れるのが気持ち悪い。あの人の声が気持ち悪い。顔も見たくない。話したくない。

それでも、ありがとうは言わなきゃ、最低限は答えなきゃ。

ねぇ、僕はそれしかできない。あの人に対して何もしたくない。関わりたくないんだよ。

何度、部屋の中で助けを求めただろう。

今だって、書いていて思い出して、苦しくて泣いている。

本当は、誰かに助けて欲しかった。
もういいよって、頑張ったよって言って欲しかった。

それでも、何から助けて欲しいのかなんてわからなくて、誰に助けを求めて良いかもわからなかったから。

だから、心を殺すしかなかったんだ。

そしたら、恋心まで消えてしまった。
人に愛されるのが怖くなってしまった。

あの人みたいに、いつ変わるかわからない。

貰うのは怖い。

家族は怖い。


あの人への良心が消えてからも、たまにこうやって暗くなる。

心に根付いたものは消えない。

その暗いのに作り笑顔を貼りつけて、ポジティブを貼りつけて、楽しさで隠せば周りには普通の人に見えるだろう。

家族に目を向けなくなって、僕は楽しく振り切って生きていた。

でも、やっぱり家には帰らないといけないから、怖いのは消えない。


だから、僕はお話を作るようになった。

僕があの人を、嫌いと言ったら誰かに親不孝だって言われる。でも、お話なら別だ。お話の中のキャラクターにそれで良いんだよって、許してもらう。

悲しいことがあったら、キャラクターに似たような悲しみを作って、僕が欲しい言葉を別のキャラクターに言ってもらう。

そうやって、僕は現実の逃れられない家族という恐怖から自分を切り離していった。


だから、何度も書くが感謝はしている。始まりは悲しいけれど、小説を書くのは楽しかったから。それに、今の自分もそう言った悲しみがあったから作られたから。

でもね、やっぱり僕は家族は怖い。

結婚したくない。

愛されたくない。

親になりたくない。

早く、僕の帰る場所が欲しい。
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