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彼女に告白されてからの僕。
トラウマのクリスマスイブ
しおりを挟む彼女と友達でいる事が楽しかった。
友達で、よかった。
好き。好きだよ。だって、友達だから。
こんなに気の合う友達が大学生になって現れるなんて思ってもいなかった。
君が仲間に誘ってくれたおかげで、友達ができて、距離感がわかってきて…。
きっと、君と出会わなかったら、ユニークに声をかけることもなかった。(ユニークには、僕が声をかけたんだ。)
人との距離感をあの仲間の中で身につけられた。
大事な友達。大切な友達。
『好きです』
その4文字が、僕の心を締め付けた。
実際に言われたわけじゃない。
でも、これがSNSだったら、ユニークの時みたいに避けられたかもしれない。
動かない証拠。手書きの文字。
楽しかったクリスマスイブ。
家に帰れば、地獄が待っていた。
ノリで買って交換したプレゼント。
箱に刺さる手紙。
目を疑った。
そういった冗談を言う人じゃないと、僕は知っていた。
だからこそ・・・困った。
嘘だと、現実から目を背けたかった。きっと冗談だと、逃げ道を探すように何度も手紙を読み返した。
そして、もう一つの事実に気が付く。
冬休みに入ってしまったんだ。
2週間。
彼女と会わなくなる。
頭をフル回転させて、なすべき仁義を考えた。
でも、僕の答えは悲しいかな、決まっていた。ある意味、消去法に近いけれど・・・。
僕は、彼女の言葉を断れない。
できるだけ、彼女の望みを叶えたかった。そのためになら、苦手な外食もしたし、1人にさせないように努めた。
彼女が悲しまないように、傷付かないように、傷付けないように。
そうやって、約4ヶ月を過ごした。
大切な友達だから。大事にしたい友達だから。
だから、本当に困ったんだ。
恋人になんて、なりたくなかった。
僕は、僕が嫌いだったんだ。
これから書くことは、矛盾で溢れているだろう。けれど、僕の本心だ。
僕は、僕という男が嫌いだった。
けれど、僕の考え方は好きだった。
でも、僕という存在は嫌いだった。
ゲーム仲間との満ち足りた時間でさえも、幸せな反面、僕が消えてしまえばいいのにと思っていた。
僕は、僕がいない世界の幸せを望んでいた。
けれど、僕が誰かの大事な人になってしまったらそれは叶わない。
楽しそうに、幸せにしていないといけない。そうじゃないと、僕の生き方が成立しなくなってしまう。
僕は、僕の見える範囲の世界だけでも幸せであって欲しかった。傷付く人を減らしたかった。
僕の手の届く範囲だけでも、そうであって欲しかった。
僕の見える範囲に、僕は含まれないことを理解して欲しかった。
でも、それを言えば誰かが悲しいと言うだろう。だから、誰にも言わないで、心に秘めた。
そして、この願いを叶えるには、僕は誰かの大事な人になるわけにはいかなかった。
僕の勝手なエゴに必要以上に巻き込まないように、一線を引いていたはずだった。
でも、普通を勘違いしてその線を誤った。
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