女装男子だけどね?

ここクマ

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第5章 女装男子と永遠に

19 蒼い炎side秋桐

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 僕は、知らない。

 真琴がどうして彼女に執着するのか。

 僕には、わからない。

 殺されかけてまで、彼女の気持ちを知りたいと言う真琴の事が。

 頭では、きっとわかっている……彼女に合って話を聞くことが、真琴にとって大切な事なんだって…。

 それでも、どこか置いていかれてしまうような感覚と、分からないままの真琴の気持ちに胸がざわついた。

 真琴から離れるように歩き出した彼女の目に溜まる涙を見て分かった。

(あの子は…真琴が好きなんだ…。)

 彼女をそのまま行かせれば、きっと真琴は彼女の気持ちに触れないまま…

 けれど、進めないまま僕の隣に居るんだろう。

 心が揺らぐ、僕の欲と真琴の心。

「待ってよ!」

 真琴の悲しい叫びに、僕は歩き出していた。



「美緒ちゃん…?」

 泣いている彼女を見て、真琴は不安な顔をした。きっと、どうして泣いて居るのか理解できていないんだろう。

「……いっそ、死んでくれればよかったのに……」

 彼女が、唇を噛みながら涙とともに言葉を落とす。
 僕は、その言葉に拳を握りしめた。

「……そうすれば、私も一緒に居なくなれたのに……」

 歪んでる。黒くて、暗くてドロドロした彼女の言葉。
 僕は、真琴の耳を塞いで、彼女を突き飛ばしてここから離れたかった。

 けれど、真琴は彼女に手を伸ばした。

「俺は…君と一緒には死なないよ。」

 真琴と一瞬目があった気がした。

「俺には、ずっと一緒にいるって決めた人が居るから……それに、俺が君に殺されたら、そいつは凄い形相で君を恨みに行くと思うし…そんな事、大事な人にさせられない。」

「じゃあ!私はどうすればよかったのよ!」

 彼女が真琴の手を払って叫ぶ。

「一緒には、死なない。けど、一緒に生きようよ。それじゃ、ダメなの?」

 真琴の言葉は残酷だ。きっと、まだ分かってないんだろう。本当の、彼女の気持ちを…。

「…ダメに、決まってんでしょ…!あんたの隣には、いつだって誰かが居るんだから!私の居場所なんて、あんたの中にはどこにも無いんだから!」

「っ、そんなこと!だって、前みたいに居れば……」

「前見たいって…あんたの友達として、一緒にいること?……あぁ、そうね、あんた私と友達に戻りたいとか言ってたわね。答えは、ノー。あんたとなんて、友達にはなれない。」

「っ……どうして…」

 きっと、今種明かしを僕がするのは野暮なんだろう。でも、僕が言わないと真琴はまた落ち込んでグダグダして……彼女のことを考えるんだろう。

(それだったら…)

「真琴、僕もその子と友達に戻るのは難しいと思うよ。」

「っ、秋桐…なんで、そんな事」

「だって、僕と真琴が友達に戻る事だってできないでしょ?」

「それはそうだし、そんなの嫌だけ…ど…」

 僕の言葉に流石の真琴も気が付いた様だった。

「……美緒ちゃんは…俺が…好き、なの?」

 遠慮がちに聞いた真琴に彼女の頬が赤くなった。

 僕は、この場所から早く逃げ出したかった。
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