女装男子だけどね?

ここクマ

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第4章 女装男子とラブラブに

38 お人形 side絽紀

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 本当は、惹かれていた気持ち。

 自分と同じ人。

 だけど、自分には光が居た。

 心を明るく照らしてくれた人。

 忘れるなんて、できなかった。

 だから、心の奥でブレーキが掛かった。

(僕は…朔弥さんが、好きなんだ。)

 だけど、僕の恋は叶わない。

 そんな事は、恋をした時から…わかって居た事だ。



 だけど、彼の恋も…報われそうにない…。

 だから…夢を見ていた…。

 僕に都合のいい夢を…


 それなのに…


 また、僕は大切な人を失うかもしれない。

 僕にとっての傷が、彼にとっての幸福なんだ。



 そう、気持ちに区切りを付けて…だけど、理由は彼のためにという気持ちが捨てられなくて…。

 その横に、彼女のためがあるのを隠していた。


彼女…?いや、人形僕と同じ人のため。

つまりは、僕のため。



「父さん、僕…もう、自由になってもいいんだよね…。もう…母親あの人の着せ替え人形を消しても、いいんだよね……ねぇ、父さん…僕、頑張ったよね…。」

 実家の父の書斎。本と木の匂い…優しい色。だけど…誰もいない寂しい部屋。

「僕にはね…光がいたんだ。こんな真っ黒な僕を救ってくれた。今度は、僕が…光になりたいんだ…。」

 外の光と窓から吹く風、揺れるカーテン。机には、幼い時に唯一撮れた僕の本当の写真と、優しく笑う兄の顔、そして、父の愛した人の写真がある。

「ねぇ…父さん…。僕は、父さんが大好きだったよ。母親あの人に何言われても、父さんと兄さんがいたから僕は…。父さん…僕、もう…行くね。………じゃあね。」

 扉を開こうとすると、風が僕の頬を優しく撫でた。
溢れそうな涙を拭ってから、もう一度扉を開いた。



家を出て、電話をかける。

「……あ、エカテリーナ?僕だよ。絽紀だ。」

『何の用ヨ!あんたに、用はナイよ!』

「僕は、あるんだ。朔弥さんや、真琴を襲った犯人…。心当たりあるだろう?」

『な、ないよ!何言ってる!』

Вы свободны.君は自由だ

『…Я свободен…?』

「うん…君は自由だ。僕の計画に、君が乗ればね。」

『…な、っで…あなたが…мамаの言葉…。』

「…なんでだろうね。それで、乗る?」

『…私は、初めから自由ヨ。…でも、でも…』

「揺らぐ気持ちがあるなら、乗れ。僕は、絶対に君を裏切らない。」

『…мамаの言葉喋る人…ワタシ信じる。乗る。何すればイイ?』


こうして、僕の計画は動き出した。
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