32 / 126
温室育ちの彼女の想い
彼と彼女の決意
しおりを挟む
「おお、あれこそ正しく我等が王の焔! やはりお告げは間違っていなかった!」
ローブの集団は俺の焔を見ると歓喜の声を上げ、俺を捕らえようと向かってくる。
「しつこ……っ!?」
返り討ちにしようと刀を構えなおしたが、限界を迎えたのか操作念糸が解除されその場に倒れ込んでしまう。
「「アリア!」」
クラガとエリシアが後ろから走ってくるのが音で分かるが、多分ローブの集団の方が早い。仮に二人の方が早くてもその後どうすれば……!
「――鋼糸・縛」
その瞬間、ローブの集団の動きが不自然に止まった。まるで見えない何かに縛られているような……。
「危なかったねぇ……思ったよりギリギリだったみたいだねぇ……」
「ダルナさん……? なんで……」
ローブの集団の後ろからふらりとダルナがこちらへ歩いてきた。
「そりゃあ……街中でどうどう攻撃魔法が使われてて……それに加えて異常な魔力がここから発せられてたからねぇぶっ」
「アリアちゃん!」
ダルナがゆらゆらとゆっくり近づいてくると思ったら、突然跳ね飛ばされて後ろからケーデが駆け寄ってきた。
「酷い怪我……待っててね、私が綺麗に治してあげるから」
そう言ってケーデは俺を抱き抱え回復魔法を発動する。ああ……柔らかい……何がとは言わないけど柔らかい……。
「痛い……とてもぞんざいに扱われた気がする……」
ダルナは拗ねたような口調で立ち上がると、一番近くのローブの男に近づいた。
「この仮面……やっぱ例の胡散臭い教団の一味なのかなぁ……」
「胡散臭いとは無礼な! あのお方こそこの世界を統べるに相応しいお方! 我等はあのお方を崇める崇高な教だ――」
男は最後まで言い終わる前に、細切れの肉塊へと崩れ落ちた。
「そういうのはいいんだよねぇ……君らのアジトとかぁ……潜伏先とかぁ……後はぁ……まあ……聞きたいことはいっぱいあるんだけどぉ……どうせ教えてはくれないんだろうねぇ……」
「当たり前だ! 貴様等なんぞに我等の目的を邪魔されてなるものか!」
「だよねぇ……どうせ君らなんて使い捨ての先兵程度なんだろうしねぇ……じゃあ、いいか」
ダルナは最後に酷く冷たい声で呟くと、両腕を勢い良く左右へと広げた。
「鋼糸・千片万華」
その瞬間、二十を超える白いローブの集団が紅く弾けた。文字通り千の欠片に崩れ、万の華のように飛沫を上げながら、白いローブの集団は紅い塊に成り果てた。
「うぷっ……」
「きゃ、アリアちゃん大丈夫? ちょっと、ダルナ教官! やるならもっと綺麗にしてくださいよ!」
「だって元々全身縛ってたしぃ……わざわざ縛りなおすのも面倒だしぃ……」
「そういう問題じゃ……はぁ……」
諦めたようにため息をつくケーデ。
……ダルナの面倒くさがりはもう誰かがどうこう出来るようなものではないしなぁ。
「ダルナさん。あのローブの集団って……」
「こいつらは”竜の目”っていう……宗教団体……みたいな? あの邪竜を崇拝してるっていう集まりでねぇ……団体自体は昔からあったんだけど……最近急に活発になってきてねぇ……時期的にもあの邪竜の気配が消えた時と一致してるんだよねぇ……」
……明らかにお前のことだよな。何お前、そんな団体従えてたの?
――知らぬわ。可笑しな人間どもが勝手に集まっとるだけだろう。
まあそんな気はしてたけど。
「ところで……」
不意にダルナは俺の方をちらりと見た。
「僕もさっき来たところだからぁ……一部始終見聞きしてたわけじゃないから……教えてほしいんだけど、なんであいつ等に襲われてたの?」
「……っ」
そうだ。最初俺はあいつ等をアルガーンのエルフ族の要人であるエリシアを狙った集団だと思っていたが、正体を聞くに俺……俺の中のドラグニールを狙って来ていた。なんで俺の中にドラグニールがいるのか分かったのかは分からないけど、それは間違いないだろう。
そして俺の知っているドラグニールからはあまりそんな気はしないが、こいつはかつて世界を滅ぼして、封印された邪竜だ。俺はそのことを知らないが、恐らくそれは事実なのだろう。そんな存在が俺の中にいると知られれば、穏便な雰囲気にはまずならないだろう。どう切り抜ける……?
「んなの俺らが知りてぇよ。まあ俺は巻き込まれた様なもんだが」
「全くですわ。私もアリアと楽しくお買い物をしていただけですのに」
どういい返すか考えていると、後ろからクラガとエリシアが悪態をつきながら近づいてきた。
「そうなんだ……通りでアリアちゃん可愛い服着てると思ったぁ……」
「本当。でも残念ね、こんなボロボロになっちゃって……」
ケーデが俺の着ているドレスを撫でながら残念そうに呟く。
さっきまで必死で全く気にしてなかったけど、そういえば俺エリシアが買ってくれたドレス着たままだったな。爆発とか炎とかで最早ドレスっぽい布を羽織っているというほうが近いけど……これ確かかなりいい値段いってたような……。
「構いませんわ。お友達にまた新しいプレゼントが送れると考えれば楽しみが増えるというものです」
そう言ってエリシアはにこりと微笑む。ほんと初対面の印象とは真逆すぎる本性だよなぁ。
「貴女……もしかしてエリシア様!?」
エリシアの姿を見て、ケーデが思わず耳を塞ぎたくなるほどの驚きの声を上げ、エリシアも面食らったような表情を浮かべながら頷いた。
「え、ええ。私はアルガーン国エルフ族代表ノクトアール家第三皇女のエリシアですが……」
「あ、すっ、すいません! 私ったら驚いてしまって……つい……」
「いえ、お気になさらず……あら、貴女ハーフエルフなのね?」
ケーデの何かを感じ取ったのか、エリシアはケーデをジッと見るとそう言った。
ていうかケーデさんってハーフエルフなの? そういわれれば耳がちょっと尖っているような……ないような?
……そういえばギルドの冒険者のエルフが言ってたけど、エルフは純血至上主義な人が多くて混血のハーフエルフを嫌う人も多いって……これは不味いか?
ケーデもそう思ったのかとっさに耳を手で隠して顔をそむけた。しかしエリシアはその手を掴みケーデの耳を露わにさせると、ケーデの目を真っ直ぐ見た。
「なぜ隠すのです。貴女は貴女の母君と父君が種族を超え愛を成した、その結晶なのです。誇りこそすれ、隠す必要がどこにあるのです。確かに今は貴女の様な存在をよく思わないエルフがいることは確かです。ですが貴女の存在はそうでないエルフがいる証拠でもあるのです。それに――」
エリシアは一度言葉を切ると、俺を抱きしめ花のような笑顔を浮かべた。
「私自身がヒューマンであるアリアとこんなに仲良しなんですもの! きっと直ぐにそんな偏見無くして見せますわ! ……けれどもそれは簡単なことでないの。貴女も協力してくださる?」
「――はい!」
優しく微笑み差し出した手を、ケーデは涙を浮かべながら握った。
……ほんと、いい人だよな。いつもは我儘お姫様演じてるのがもう信じられない……ん?
「私、エリシア様のこと誤解してたみたいで……とても我儘なお姫様って聞いてたから、てっきりハーフエルフの私をよく思わないかなって……」
「え? ……あっ! あー……いやですわね! 私はちゃんと我儘な……ね!?」
ようやく気付いたのかしどろもどろに言い訳をひねり出そうとして、最後に助けを求めるようにこちらに視線を向けるエリシア。
残念だが流石に無理だ。
黙って目をつぶって首を振る俺に、エリシアはがくりと肩を落とす。
まあエリシアのあの演技は家の人をだますものであって、一冒険者のケーデにばれたところでどうってことはないだろう。
「……ねぇ、そろそろいいかなぁ……? 一応今回のことギルドに報告しないとだからぁ……アリアちゃんにも来て欲しいんだけどぉ……」
「あ、はい。分かりました」
地面にのの字を書く作業に飽きたのか、ダルナが立ち上がってそう言った。
……この人なんか今日散々だな。
ケーデの魔法でかなり体力も回復したのか、快調ではないが普通に歩けるほどには回復しており、俺は立ち上がると刀を持ってクラガさんの方へ歩いた。
「すいません。まだ未完成なのに無茶な使い方して鞘壊してしまって……」
「気にすんな。俺が完成を先延ばしにしてたのにも責任があるんだ。あんときのオリハルコンはまだ余ってるしな。今度はもっと気合入れて作ってやらぁ」
ニカリと笑って乱雑に俺の頭を乱暴に撫でるクラガ。こうやって俺が落ち込まないよう励ましてくれているのだろう。
「ありがとうございます! エリシアさんも、今日は遊んでくれてありがとうございました。また今度遊びに行きましょうね!」
「ええ、きっと」
俺は手を振って二人に別れを言うとケーデとダルナに合流した。
「あ、ダルナ教官はここの掃除してからギルドに来てくださいね」
「えっ……」
「当たり前じゃないですか。ここはギルドの私有地でもなければ国外でもないんですよ。人の家の軒先です。そんな場所にあんなもの置きっぱなしで帰るつもりですか?」
「……はぁい」
ダルナ……ほんと今日良いところねぇなぁ。というかケーデ、最近あまり見なかったけど随分しっかりしたような?
そうして俺とケーデはダルナを置いて一足先にギルドに戻ったのだった。
***
「……なあ、話があるんだが」
「奇遇ですわね。私もです」
アリアから受け取った刀……未完成とはいえ僅かにヒビの入ったオリハルコン製の刀を見ながら呟くクラガに、エリシアも木刀を強く握りそう返した。
「あの……ダルナ、さん」
「お話がありますの」
そうして二人は、死体の処理に本気で困っているダルナに話しかけた。
ローブの集団は俺の焔を見ると歓喜の声を上げ、俺を捕らえようと向かってくる。
「しつこ……っ!?」
返り討ちにしようと刀を構えなおしたが、限界を迎えたのか操作念糸が解除されその場に倒れ込んでしまう。
「「アリア!」」
クラガとエリシアが後ろから走ってくるのが音で分かるが、多分ローブの集団の方が早い。仮に二人の方が早くてもその後どうすれば……!
「――鋼糸・縛」
その瞬間、ローブの集団の動きが不自然に止まった。まるで見えない何かに縛られているような……。
「危なかったねぇ……思ったよりギリギリだったみたいだねぇ……」
「ダルナさん……? なんで……」
ローブの集団の後ろからふらりとダルナがこちらへ歩いてきた。
「そりゃあ……街中でどうどう攻撃魔法が使われてて……それに加えて異常な魔力がここから発せられてたからねぇぶっ」
「アリアちゃん!」
ダルナがゆらゆらとゆっくり近づいてくると思ったら、突然跳ね飛ばされて後ろからケーデが駆け寄ってきた。
「酷い怪我……待っててね、私が綺麗に治してあげるから」
そう言ってケーデは俺を抱き抱え回復魔法を発動する。ああ……柔らかい……何がとは言わないけど柔らかい……。
「痛い……とてもぞんざいに扱われた気がする……」
ダルナは拗ねたような口調で立ち上がると、一番近くのローブの男に近づいた。
「この仮面……やっぱ例の胡散臭い教団の一味なのかなぁ……」
「胡散臭いとは無礼な! あのお方こそこの世界を統べるに相応しいお方! 我等はあのお方を崇める崇高な教だ――」
男は最後まで言い終わる前に、細切れの肉塊へと崩れ落ちた。
「そういうのはいいんだよねぇ……君らのアジトとかぁ……潜伏先とかぁ……後はぁ……まあ……聞きたいことはいっぱいあるんだけどぉ……どうせ教えてはくれないんだろうねぇ……」
「当たり前だ! 貴様等なんぞに我等の目的を邪魔されてなるものか!」
「だよねぇ……どうせ君らなんて使い捨ての先兵程度なんだろうしねぇ……じゃあ、いいか」
ダルナは最後に酷く冷たい声で呟くと、両腕を勢い良く左右へと広げた。
「鋼糸・千片万華」
その瞬間、二十を超える白いローブの集団が紅く弾けた。文字通り千の欠片に崩れ、万の華のように飛沫を上げながら、白いローブの集団は紅い塊に成り果てた。
「うぷっ……」
「きゃ、アリアちゃん大丈夫? ちょっと、ダルナ教官! やるならもっと綺麗にしてくださいよ!」
「だって元々全身縛ってたしぃ……わざわざ縛りなおすのも面倒だしぃ……」
「そういう問題じゃ……はぁ……」
諦めたようにため息をつくケーデ。
……ダルナの面倒くさがりはもう誰かがどうこう出来るようなものではないしなぁ。
「ダルナさん。あのローブの集団って……」
「こいつらは”竜の目”っていう……宗教団体……みたいな? あの邪竜を崇拝してるっていう集まりでねぇ……団体自体は昔からあったんだけど……最近急に活発になってきてねぇ……時期的にもあの邪竜の気配が消えた時と一致してるんだよねぇ……」
……明らかにお前のことだよな。何お前、そんな団体従えてたの?
――知らぬわ。可笑しな人間どもが勝手に集まっとるだけだろう。
まあそんな気はしてたけど。
「ところで……」
不意にダルナは俺の方をちらりと見た。
「僕もさっき来たところだからぁ……一部始終見聞きしてたわけじゃないから……教えてほしいんだけど、なんであいつ等に襲われてたの?」
「……っ」
そうだ。最初俺はあいつ等をアルガーンのエルフ族の要人であるエリシアを狙った集団だと思っていたが、正体を聞くに俺……俺の中のドラグニールを狙って来ていた。なんで俺の中にドラグニールがいるのか分かったのかは分からないけど、それは間違いないだろう。
そして俺の知っているドラグニールからはあまりそんな気はしないが、こいつはかつて世界を滅ぼして、封印された邪竜だ。俺はそのことを知らないが、恐らくそれは事実なのだろう。そんな存在が俺の中にいると知られれば、穏便な雰囲気にはまずならないだろう。どう切り抜ける……?
「んなの俺らが知りてぇよ。まあ俺は巻き込まれた様なもんだが」
「全くですわ。私もアリアと楽しくお買い物をしていただけですのに」
どういい返すか考えていると、後ろからクラガとエリシアが悪態をつきながら近づいてきた。
「そうなんだ……通りでアリアちゃん可愛い服着てると思ったぁ……」
「本当。でも残念ね、こんなボロボロになっちゃって……」
ケーデが俺の着ているドレスを撫でながら残念そうに呟く。
さっきまで必死で全く気にしてなかったけど、そういえば俺エリシアが買ってくれたドレス着たままだったな。爆発とか炎とかで最早ドレスっぽい布を羽織っているというほうが近いけど……これ確かかなりいい値段いってたような……。
「構いませんわ。お友達にまた新しいプレゼントが送れると考えれば楽しみが増えるというものです」
そう言ってエリシアはにこりと微笑む。ほんと初対面の印象とは真逆すぎる本性だよなぁ。
「貴女……もしかしてエリシア様!?」
エリシアの姿を見て、ケーデが思わず耳を塞ぎたくなるほどの驚きの声を上げ、エリシアも面食らったような表情を浮かべながら頷いた。
「え、ええ。私はアルガーン国エルフ族代表ノクトアール家第三皇女のエリシアですが……」
「あ、すっ、すいません! 私ったら驚いてしまって……つい……」
「いえ、お気になさらず……あら、貴女ハーフエルフなのね?」
ケーデの何かを感じ取ったのか、エリシアはケーデをジッと見るとそう言った。
ていうかケーデさんってハーフエルフなの? そういわれれば耳がちょっと尖っているような……ないような?
……そういえばギルドの冒険者のエルフが言ってたけど、エルフは純血至上主義な人が多くて混血のハーフエルフを嫌う人も多いって……これは不味いか?
ケーデもそう思ったのかとっさに耳を手で隠して顔をそむけた。しかしエリシアはその手を掴みケーデの耳を露わにさせると、ケーデの目を真っ直ぐ見た。
「なぜ隠すのです。貴女は貴女の母君と父君が種族を超え愛を成した、その結晶なのです。誇りこそすれ、隠す必要がどこにあるのです。確かに今は貴女の様な存在をよく思わないエルフがいることは確かです。ですが貴女の存在はそうでないエルフがいる証拠でもあるのです。それに――」
エリシアは一度言葉を切ると、俺を抱きしめ花のような笑顔を浮かべた。
「私自身がヒューマンであるアリアとこんなに仲良しなんですもの! きっと直ぐにそんな偏見無くして見せますわ! ……けれどもそれは簡単なことでないの。貴女も協力してくださる?」
「――はい!」
優しく微笑み差し出した手を、ケーデは涙を浮かべながら握った。
……ほんと、いい人だよな。いつもは我儘お姫様演じてるのがもう信じられない……ん?
「私、エリシア様のこと誤解してたみたいで……とても我儘なお姫様って聞いてたから、てっきりハーフエルフの私をよく思わないかなって……」
「え? ……あっ! あー……いやですわね! 私はちゃんと我儘な……ね!?」
ようやく気付いたのかしどろもどろに言い訳をひねり出そうとして、最後に助けを求めるようにこちらに視線を向けるエリシア。
残念だが流石に無理だ。
黙って目をつぶって首を振る俺に、エリシアはがくりと肩を落とす。
まあエリシアのあの演技は家の人をだますものであって、一冒険者のケーデにばれたところでどうってことはないだろう。
「……ねぇ、そろそろいいかなぁ……? 一応今回のことギルドに報告しないとだからぁ……アリアちゃんにも来て欲しいんだけどぉ……」
「あ、はい。分かりました」
地面にのの字を書く作業に飽きたのか、ダルナが立ち上がってそう言った。
……この人なんか今日散々だな。
ケーデの魔法でかなり体力も回復したのか、快調ではないが普通に歩けるほどには回復しており、俺は立ち上がると刀を持ってクラガさんの方へ歩いた。
「すいません。まだ未完成なのに無茶な使い方して鞘壊してしまって……」
「気にすんな。俺が完成を先延ばしにしてたのにも責任があるんだ。あんときのオリハルコンはまだ余ってるしな。今度はもっと気合入れて作ってやらぁ」
ニカリと笑って乱雑に俺の頭を乱暴に撫でるクラガ。こうやって俺が落ち込まないよう励ましてくれているのだろう。
「ありがとうございます! エリシアさんも、今日は遊んでくれてありがとうございました。また今度遊びに行きましょうね!」
「ええ、きっと」
俺は手を振って二人に別れを言うとケーデとダルナに合流した。
「あ、ダルナ教官はここの掃除してからギルドに来てくださいね」
「えっ……」
「当たり前じゃないですか。ここはギルドの私有地でもなければ国外でもないんですよ。人の家の軒先です。そんな場所にあんなもの置きっぱなしで帰るつもりですか?」
「……はぁい」
ダルナ……ほんと今日良いところねぇなぁ。というかケーデ、最近あまり見なかったけど随分しっかりしたような?
そうして俺とケーデはダルナを置いて一足先にギルドに戻ったのだった。
***
「……なあ、話があるんだが」
「奇遇ですわね。私もです」
アリアから受け取った刀……未完成とはいえ僅かにヒビの入ったオリハルコン製の刀を見ながら呟くクラガに、エリシアも木刀を強く握りそう返した。
「あの……ダルナ、さん」
「お話がありますの」
そうして二人は、死体の処理に本気で困っているダルナに話しかけた。
11
お気に入りに追加
814
あなたにおすすめの小説
TS転生したけど、今度こそ女の子にモテたい
マグローK
ファンタジー
秋元楓は努力が報われないタイプの少年だった。
何をやっても中の上程度の実力しかつかず、一番を取ったことは一度もなかった。
ある日、好きになった子に意を決して告白するもフラれてしまう。
傷心の中、傷を癒すため、気づくと川辺でゴミ拾いのボランティアをしていた。
しかし、少しは傷が癒えたものの、川で溺れていた子供を助けた後に、自らが溺れて死んでしまう。
夢のような感覚をさまよった後、目を覚ますと彼は女の子になっていた。
女の子になってしまった楓だが、女の子にモテることはできるのか。
カクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
宝で願いを叶えたら女の子になりましたッ!?
ブレイブ
ファンタジー
ダンジョンの最下層、そこには願いを叶える宝があり、リアは中性的な姿をしていることと自分の不幸体質が嫌で、宝で理想の自分にしようとしたが、宝はなぜかリアを女の子にした
転生少女は元に戻りたい
余暇善伽
ファンタジー
平凡な社会人だった飛鳥はある日友人と共に異世界に飛ばされてしまう。しかも友人は少年になっていたのに対して、自分はなぜか少女になっていた。慣れない少女の体や少女としての扱いに動揺したり、異世界での環境に流されながらも飛鳥は元の世界、元の体に戻るべく奮闘していく。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる