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零れた感情は溢れるばかりで、
零れた感情は溢れるばかりで、#05
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◆◇◆
『……っ、はぁ……ぁ…ぅ……くっ』
「……っ!?」
稽古を終え、千景と二人で家に帰ってすぐのこと。そろそろあの時期だった。
弥彦の予想通り、千景は家に着くとすぐにどこかへ向かう。その後をそっとつける。着いたのは千景の部屋だった。いつもは用心深い千景だが、その日は部屋の鍵もかけず急いた様子で布団へ向かうとそのまま倒れこむように寝転ぶと、おもむろに自慰を始める。普段の千景なら、弥彦が後をつけていることくらい簡単に気付くだろう。それに帰宅早々慌てて厠ならまだしも、自慰など彼じゃなくとも少々不自然だ。彼にしては相当珍しく〝自分の事しか見えていない〟そんな状況が、千景の状態が普通ではない事の何よりの証拠だった。
「……んんんっ、ンッっ!」
千景は声を出すまいと必死になりながらも、決して操を勃てる手を止めない。思わず〝ゴクリ〟と喉が鳴る。
「…………」
無意識に足が千景の方へ向く。千景に近付く程、感じるのは〝甘い匂い〟。匂いに引き寄せられるように、弥彦は歩みを進める。
「あっ……や、やひこ……くん……なっ、……なんで!?」
「……アンタが……いつも……急いで行くから、気になって後を……」
千景の熱にあてられながら、弥彦はなんとか言い訳を口にする。別に間違ったことは言っていない。
「……悪い人ですね。ただ……、あいにくと……君とのんびり話をしていられる程、余裕はないんです……。来てしまったものは仕方ないですね……。けど、ちょうどよかった。一人で処理するには、少々きついんです……少し、俺に付き合ってもらいますよ……っ」
『……っ、はぁ……ぁ…ぅ……くっ』
「……っ!?」
稽古を終え、千景と二人で家に帰ってすぐのこと。そろそろあの時期だった。
弥彦の予想通り、千景は家に着くとすぐにどこかへ向かう。その後をそっとつける。着いたのは千景の部屋だった。いつもは用心深い千景だが、その日は部屋の鍵もかけず急いた様子で布団へ向かうとそのまま倒れこむように寝転ぶと、おもむろに自慰を始める。普段の千景なら、弥彦が後をつけていることくらい簡単に気付くだろう。それに帰宅早々慌てて厠ならまだしも、自慰など彼じゃなくとも少々不自然だ。彼にしては相当珍しく〝自分の事しか見えていない〟そんな状況が、千景の状態が普通ではない事の何よりの証拠だった。
「……んんんっ、ンッっ!」
千景は声を出すまいと必死になりながらも、決して操を勃てる手を止めない。思わず〝ゴクリ〟と喉が鳴る。
「…………」
無意識に足が千景の方へ向く。千景に近付く程、感じるのは〝甘い匂い〟。匂いに引き寄せられるように、弥彦は歩みを進める。
「あっ……や、やひこ……くん……なっ、……なんで!?」
「……アンタが……いつも……急いで行くから、気になって後を……」
千景の熱にあてられながら、弥彦はなんとか言い訳を口にする。別に間違ったことは言っていない。
「……悪い人ですね。ただ……、あいにくと……君とのんびり話をしていられる程、余裕はないんです……。来てしまったものは仕方ないですね……。けど、ちょうどよかった。一人で処理するには、少々きついんです……少し、俺に付き合ってもらいますよ……っ」
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