暗香浮動 第二章

澪汰

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零れた感情は溢れるばかりで、

零れた感情は溢れるばかりで、#02

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「……あっ……っ、やひ……こ……くん?」
「……っ痛!?」

 千景は弥彦を認識するや否やダンっ、と弥彦を布団へ引き摺り倒す。
 今しがた千景を見下ろしていたはずの弥彦は、一瞬にして千景を見上げる立場になる。

「……はぁっ……んんっ……あっ、はぁ……やひこ……く、ん……挿れさせて……っ」
「……なあ「駄目だよ」」

 口を開きかけた弥彦の言葉を遮って、千景はもう一度言う。

「挿れてもいい……?」
「……準備、出来てる」
「うん……、ありがと」

 もうほとんど理性なんて残ってないはずだろう。それでも、千景は頑なにそこだけは譲ろうとしなかった。

「あっ……くっ……んっ、んっ」
「はぁ……はっ、ああっ……ふっ……あっ」

 この行為にもだいぶ慣れた。男の自分が〝挿れられる側〟という事に不満が無いわけではないが、それでも相手が千景なら良いかとも思う。以前千景に『何故、自分が下なのか』と聞いたら、千景の体質のせいで千景自身が〝抱かれる側〟になるのは無理なのだと言われた。千景のこの特異な体質については、外国で何やら研究されているらしいが、詳しい事は分からない。弥彦が知ってるのは〝千景に三か月に一度、発情期が来る〟という事だけ。それ以外はいくら聞いても教えてもらえない。自分で調べようにも、この日本において、そんな事例は発生していないようだった。いや、無い事はないんだろうけど、多分隠されている。実際千景がこうなっているのは、未だに千景と弥彦だけの秘密だった。

 そもそもこんな事になったのは、千景が京屋の先代――つまり弥彦の父親が、千景を家に迎え入れ、彼を弥彦の付き人に指名してからだ。
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